腎臓がんの初期症状と三大症状。治療法の特徴や4つのリスク因子とは?

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濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

今回のテーマは「健康診断で見つける!抗がん剤が効かない腎臓がん」です。「腎臓がんの症状」「腎臓がんの危険因子と治療法」「腎臓がんでよくある質問」についてお話していきます。

目次

年々増えている腎臓がん

皆さんの周りで腎臓がんになったという人はあまり聞いたことがないかもしれません。でも有名人でも腎臓がんになった人は結構おられて、作詞家の阿久悠さん、俳優の小西博之さん、お笑いコンビ「おぎやはぎ」の小木博明さん、「はんにゃ」の川島章良さんなどが腎臓がんでした。

腎臓がんは年々急増していて50年前と比べて約10倍に増えています。幅広い年代で見られピークは50代から70代ですが、若い人でも見られます。

ちなみに「はんにゃ」の川島さんは32歳で腎臓がんが見つかっています。男女別で言うと、男性の方が女性の約2倍多く見られます。

腎臓という臓器について

腎臓がんの話の前に、まずは腎臓という臓器について説明します。

腎臓は背中と腰の境目くらいに位置していて背骨を挟んで左右にひとつずつあります。そら豆のような形をしていて、大きさは握りこぶしより少し大きいくらいです。

腎臓は血液をろ過して水分や老廃物などを尿として体の外に排出する働きをしています。腎臓の働きが悪くなると尿が出なくなり、水分や老廃物が体の中に溜まって命にかかわるようになります。

そんな大事な腎臓なので、ボクシングでは腎臓のある背中側を打つことが禁止されているくらいです。

腎臓の働きは他にも「血圧を調整する」「赤血球を増やすホルモンを産生する」「骨を強くするビタミンDの働きを活発にする」などの働きがあり、体の中でとても重要な働きをしています。腎臓の機能が悪くなってしまったら透析や腎臓移植となります。

腎臓がんの初期症状、三大症状について

そんな腎臓にできる腫瘍が腎臓がんです。良性腫瘍であることもありますが、割合はかなり低いです。

初期の腎臓がんでは症状はほとんどありません。進行して見られる三大症状は血尿、背中や腰の痛み、お腹のしこりです。

腎臓がんから尿の中に出血することで血尿が見られます。ひどい場合には、尿が真っ赤になることもあります。

がんが進行して大きくなると背中や腰、脇腹あたりに鈍い痛みが出てきます。

また普段はお腹側から腎臓を触れないのですが、肋骨の下あたりでお腹側からしこりとして触れるようになります。

エコー検査やCT検査が無い時代には、この三大症状を頼りに腎臓がんを疑って手術していました。しかし今では腎臓がんの8割近くが健康診断のエコー検査やCT検査で、無症状の早期の段階で見つかっていて、これらの症状はあまり見かけなくなりました。

進行した際の症状は他にも体重減少、倦怠感、発熱、足のむくみなどが見られることがあります。

また肺転移による呼吸困難骨転移による骨折など、転移した先での症状が見られることもあります。

腎臓がんの症状のまとめです。

血尿  尿に血が混じるという程度ではなく、真っ赤な尿になります

背中、腰の痛み

お腹のしこり

※他にも、体重減少、倦怠感、発熱、足のむくみなど他のがんでも見られる症状や呼吸困難や骨折など転移先での症状が見られることがあります。

ただ最近では腎臓がんの8割近くは早期の無症状の段階で健康診断などの画像検査で見つかっているので、現代ではこれらの症状はあまり参考にならないかもしれません。

腎臓がんを診断する最も簡単で負担の少ない方法は腹部エコー検査です。

少しお金はかかりますが健康診断などでエコー検査をオプションで付け定期的に調べるようにしましょう。

腎臓がんの危険因子

腎臓がんの危険因子として生活習慣、化学物質、透析、遺伝の4つがあります。

生活習慣では、肥満と高血圧、喫煙が腎臓がんのリスクと関連しています。

肥満度が高ければ高いほど腎臓がんのリスクが高まります。理由は不明ですが男性の場合は痩せすぎも腎臓がんのリスクが高まります。

また血圧が高ければ高いほど腎臓がんのリスクが高まります。

タバコの中の有害物質が腎臓でろ過される際に、腎臓の細胞を傷つけ、がんになりやすくなるようです。また化学物質では有機溶剤やカドミウム、アスベストが腎臓を傷つけることで腎臓がんになりやすいと言われています。これらも腎臓でろ過される際に、腎臓の細胞を傷つけることでがんになりやすくなります。

長い期間透析をしている人は透析をしていない人と比べて、15から20倍も腎臓がんになりやすいです。

長期間透析をしていると腎臓にのう胞という袋ができてきますが、その中に老廃物がたまり濃縮されることで腎臓の細胞を傷つけて腎臓がんになりやすくなると考えられています。

腎臓がんになりやすい遺伝性の病気というものがあります。フォン・ヒッペル・リンドウ病という遺伝性の病気では、約半数の人が腎臓がんになります。しかも、この病気の人は若いうちから腎臓がんになり、最も若い症例では15歳で腎臓がんになっていました。

腎臓がんの危険因子についてまとめです。

肥満  男性では痩せすぎもリスクになります

高血圧

タバコ

化学物質  有機溶剤、カドミウム、アスベストなどです

長期間の透析

フォン・ヒッペル・リンドウ病

腎臓がんの治療について

腎臓がんは抗がん剤と放射線治療が全く効かないという珍しいがんで、基本的に治療は手術となります。

手術は腎臓を摘出します。片方を摘出後はもう一つの残った腎臓で生活していかなければなりません。

腎臓の機能をできるだけ残そうと早期であればがんの一部分だけを切除する部分切除を行います。早期で見つかった場合は5年生存率90%以上とかなり治療成績が良いです。

遠隔転移のあるステージ4で手術が難しい場合には以前はお手上げで、5年生存率も20%くらいでした。しかし最近は分子標的薬免疫チェックポイント阻害薬という新しい薬剤が登場し、生存率も向上してきています。

腎臓がんのよくある質問

腎臓に腫瘍が見つかり、良性か悪性か分からないと言われました。分かる方法はないでしょうか。

手術で切除する以外に診断を付ける方法がありません。腎臓にできる腫瘍の9割は悪性、つまりがんだと言われています。

手術して腎臓が一つだけになったら、その後の生活はどうなるのでしょうか。

一つになった腎臓でろ過することになるので、どうしても負担がかかります。塩分を控えたり、薬で血圧をコントロールしたり、糖尿病にならないようにしたりと、腎臓を守るための生活習慣が必要になります。

残った腎臓がダメになった場合には、どうなるのでしょうか。

透析や腎移植を行います。

残った腎臓に転移することはありますか。

かなり低い確率ですが、可能性はあります。

腎臓がんで手術した腎臓を移植するという話を聞いたことがあるのですが、大丈夫なのでしょうか。

がんの箇所を部分切除した腎臓を移植に用いていた病院があり、一時期話題になりました。現在、臨床研究で本当に大丈夫なのかどうかを調べています。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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