がん温熱療法(ハイパーサーミア)について。効果やデメリットを解説

濱元誠栄院長

当院で行っている温熱療法(ハイパーサーミア)について解説します。

温熱療法(ハイパーサーミア)とは?

がん組織内の温度を上げることでがん細胞を熱で死滅させる治療法です。

一般的には高周波電磁波を利用して加熱する方法が用いられます。当院ではマイクロ波を使用してます。

【当院の温熱療法機材】

温熱療法が、がんに作用する仕組みを教えてください

正常な組織は加温しても血管を拡張させて熱を逃がす仕組みが存在します。しかし、がん組織は血管が未熟で拡張せず、加温された熱を逃がすことができません。

そのため温熱療法を行うと、がん組織内の温度が上昇しやすくなります。

がん細胞は43℃以上で死滅してしまうため、温熱療法では43℃を目標に加温していきます。

【イメージ】※画像をタップすると拡大します

【当院の症例①:乳がんステージ4(骨転移)】

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濱元誠栄院長

この患者さんは、右の乳がんとリンパ節転移、胸骨転移で来院されました。がん専門病院で抗がん剤治療を勧められましたが、何とか主治医を説得し、ホルモン治療を選択されました。

ホルモン治療だけでは心もとないということでしたので、高濃度ビタミンC点滴+マイクロ波温熱療法を勧めました。

原発の乳がんと骨転移(1か所)の部位が、約3か月後にはPET検査で写らなくなりました。腫瘍マーカーも正常値近くまで低下し、ホルモン治療との相乗効果がみられたと判断しました。

【当院で行った治療】
①マイクロ波温熱療法
②高濃度ビタミンC点滴 50g

【治療についての説明】
①温熱療法によるがん細胞の壊死を狙う治療 
②ビタミンCががん細胞に取り込まれる過程で過酸化水素が発生し、がん細胞を死滅させると考えられている

【副作用・リスク】
①低温やけど、加温に伴う局所の熱感、倦怠感が出ることがあります。
②血管痛、のどの渇き、吐き気、頭痛、眠気、低血糖(糖尿病の場合)などを起こすことがありますが、一時的です。

【費用】
①マイクロ波温熱療法 11,000円×6回
②高濃度ビタミンC点滴50g 17,600円×2回

【当院の症例②:花咲き乳がん】

以下、実際に体表にある乳がんの画像が出てきますので苦手な方はご注意ください。

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濱元誠栄院長

この患者さんは「花咲き乳がん」という、皮膚に浸潤した乳がん(肺転移あり)で来院されました。

抗がん剤+がんゲノム医療にて肺転移は消失したものの、皮膚浸潤がなかなか良くならず治療に難渋していました。

そこでマイクロ波温熱療法を始めたところ、どんどんがん組織が柔らかくなり、皮膚浸潤が消失して短期間で皮膚に置き換わっていきました。

【当院で行った治療】
マイクロ波温熱療法(保険診療でカドサイラ点滴中)

【治療についての説明】
温熱療法によるがん細胞の壊死を狙う治療

【副作用・リスク】
低温やけど、加温に伴う局所の熱感、倦怠感が出ることがあります。

【費用】
マイクロ波温熱療法 11,000円×8回

【当院の症例③:胃GISTステージ4(肝転移)】

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濱元誠栄院長

この患者さんは、胃のGIST(消化管間質腫瘍)多発肝転移で来院されました。

地元の病院で抗がん剤(グリベック)の内服治療を開始しましたが、原発巣も転移巣も腫瘍が大きいため、温熱療法の併用を希望されました。

抗がん剤治療に加えて、週に1回のマイクロ波温熱療法を開始しました。

治療開始後約3か月で、原発巣、転移巣ともに腫瘍部位がほぼ消失し、のう胞が残るのみとなりました。通常の抗がん剤治療との相乗効果がみられたと判断しました。

【当院で行った治療】
マイクロ波温熱療法

【治療についての説明】
温熱療法によるがん細胞の壊死を狙う治療

【副作用・リスク】
低温やけど、加温に伴う局所の熱感、倦怠感が出ることがあります。

【費用】
マイクロ波温熱療法 11,000円×9回

温熱療法は、がん細胞に対する免疫力が向上することも確認されています。

つまり温熱療法は、がん細胞を縮小させるだけでなく、再発を防止する効果も期待できます。

温熱療法はどんな種類のがんに効果がありますか?

あらゆる種類のがんに対して加温することが可能です。

当院のマイクロ波温熱療法は体表に近い臓器のがん(乳がん、甲状腺がん、皮膚がん、肉腫など)に対してはサーモグラフィーで確認しながら、がん細胞が死滅する43℃に達するまで加温します。

がんの転移や再発にも効果があるのですか?

皮膚転移や骨転移など体表に近い転移巣は直接的な温熱効果が期待できます。

また、がん細胞が体内に広がってしまっている場合でも、温熱療法によって免疫細胞を活性化することで、治療効果が期待できます。

どんな人に温熱療法はおすすめですか?

腫瘍の増大スピードが速い人は、新生血管が未熟で熱を逃がすことが難しいため、温熱療法による加温効果が期待できます。もちろん増大スピードが遅くても時間をかけることで十分に加温することができます。

温熱効果によって痛みの緩和も期待できるため、がん自体や骨転移による痛みが強い人にもおすすめしています。

温熱療法は他のがん治療と併用できますか?併用したほうが良いですか?

温熱療法を併用することで、抗がん剤や放射線治療の効果が高まることが分かっています。

温熱療法によって熱ショックタンパクという物質が生じ、その作用で免疫細胞ががん細胞を発見しやすくなります。

また温熱療法で樹状細胞を活性化させる効果と免疫にブレーキをかけてしまう制御性Tリンパ球を抑える効果があるため、免疫療法との相乗効果が期待できます。

温熱療法はどれくらいの間隔で実施するのが望ましいですか?

1週間に1~2回程度の頻度で実施することが望ましいです。

治療時間はどれくらいかかりますか?

一部位であればと10分ほどで終了します。腫瘍の大きさや転移の範囲によっては、全て治療するのに1時間ほどかかることもあります。

温熱療法の副作用・危険性・デメリット・問題点を教えてください

加温に伴う熱感が伴います。長時間の加温で低温やけどが起こることがあります。

全身状態が悪い人だと疲労感が強く出ることがありますが、一時的です。

心不全など循環動態の悪い人は、心血流が増え心不全が悪化する可能性があります。

銀座みやこクリニックで行う温熱療法の特徴

温熱療法は、がん細胞にダメージを与えるために高温状態に曝す治療法ですが、当院では温度調整を適切に行い、患者さんに負担をかけないように配慮しています。

温熱療法は、がん細胞を縮小させる治療法として注目されていますが、効果を最大限に引き出すためには適切な治療法の選択や治療のタイミング、治療の頻度などが重要です。

当院では患者さんのそれぞれの状態に合わせた最適な治療プランの提案を心がけています。

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