抗酸化サプリメントが抗がん剤の効果を弱める?!

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

がん患者さんで抗酸化作用のあるサプリメントを内服しているケースが多々あります

抗酸化作用のあるサプリメントには

ビタミンA(レチノール、βカロテンなど)

ビタミンC

ビタミンE

リポ酸コエンザイムQ10

などがあります

抗がん剤や放射線治療は、活性酸素を発生させてがん細胞をアポトーシスに導きます

その際に、抗酸化作用のあるサプリメントを摂取していると、活性酸素を除去するため抗がん剤の効果が弱まる可能性が指摘されています

ただ、これまでの研究を見てみると

抗酸化物質が抗がん剤の効果を弱めるかどうかについては結論が出ていません

下記のように、抗酸化物質は化学療法や放射線治療の効果を妨げず、下記の論文のように逆に治療効果を高めるという報告もあります

Antioxidants and other nutrients do not interfere with chemotherapy or radiation therapy and can increase kill and increase survival, Part 2(抗酸化物質やその他の栄養素は化学療法や放射線療法を妨げず、殺傷力を高め、生存率を高めることができる)


抗酸化作用と抗がん剤の効果についての結論は出ていませんが、高濃度ビタミンC点滴では、ヒトでのランダム化比較試験がいくつか行われています

①膵臓がん

A randomized trial of pharmacological ascorbate, gemcitabine, and nab-paclitaxel for metastatic pancreatic cancer

転移のある膵がんで、GnP療法に高濃度ビタミンC点滴を併用することで生存期間が有意に延長した 

②大腸がん

A Randomized, Open-Label, Multicenter, Phase 3 Study of High-Dose Vitamin C Plus FOLFOX ± Bevacizumab versus FOLFOX ± Bevacizumab in Unresectable Untreated Metastatic Colorectal Cancer (VITALITY Study)

転移性のある大腸がんで、FOLFOX±アバスチン療法に高濃度ビタミンC点滴を併用しても生存期間は変わらなかった(ただし、BRAF陽性症例においては無増悪生存期間が延長した

③前立腺がん

High-Dose Intravenous Vitamin C Combined with Docetaxel in Men with Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer: A Randomized Placebo-Controlled Phase II Trial

去勢抵抗性転移性前立腺がんでは、ドセタキセルに高濃度ビタミンC点滴を併用しても生存期間は変わらなかった

今のところ、臨床試験の結果が出ているのは上記の3種類のがんだけですが、高濃度ビタミンC点滴に限っては抗がん剤と併用しても効果を弱めることは無さそうです

高濃度ビタミンC点滴の場合は、がん細胞中の活性酸素を増やす働きがあるので相乗効果が期待できるのは当然かもしれません

高濃度ビタミンC点滴以外、例えば抗酸化サプリメントなどが抗がん剤の効果を弱めるかどうかについては、まだ結論が出ていないというのが正直なところです

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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