【驚きの症例報告】オプジーボ+糖尿病薬(メトホルミン)が膵臓がんに効く!?

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

日本からこんな症例報告がありました

Durable Response to Nivolumab Combined With Metformin in Advanced Pancreatic Cancer: A Case Report With Seven Years of Follow-Up

日本語訳すると

”進行膵臓がんにでニボルマブ(オプジーボ)とメトホルミンの併用による長期的な反応:7年間の追跡調査による症例報告”

といった感じでしょうか。

症例の経過を簡単にまとめます。

58歳男性 低分化型膵臓がん ステージ4?

FOLFIRINOX療法を開始し奏功したが、10か月で腫瘍増大

第1b相臨床試験でオプジーボ+メトホルミンを開始したところ、7年以上腫瘍が縮小したまま経過

途中でステージ1の肺がんが見つかり切除した

腫瘍マーカー等の経過を表したグラフはこちら

この症例は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を予測する3つの因子に関して、

MSI→MSS(マイクロサテライト安定)

PD-L1→未測定

TMB→未測定

と、MSSだけを見るとICIの効果は期待できません。

ただ、測定はしていないものの、低分化型膵臓がんではPD-L1の高発現が7割近くで見られるという報告があり、PD-L1の高発現が関与した可能性があります。

それにしても、7年以上という長期間オプジーボが奏功したというのは前例がないということで、メトホルミンが影響しているのでは?と考えられています。

オプジーボとメトホルミンを併用した臨床試験は、岡山大学病院を中心として行われていて、そのうちの一例がこのような結果になったようです。

メトホルミンは制御性T細胞(Treg)や免疫抑制細胞(MDSCs)を抑制したり、腫瘍内でキラーT細胞が働くようにしたりする働きがあると言われています。

その相乗効果によって長期間膵臓がんを抑えられているのかもしれません。

ただ、メトホルミンが1000㎎以上と高用量の方が生存率が高くなるという報告や

https://ar.iiarjournals.org/content/42/3/1487

ICIとメトホルミンの併用は生存期間が延びなかったという報告

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37852737

MSSの転移性大腸がんには有効ではなかった

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37852737

などがあり、まだ効果が確定した治療法ではありません。

分子標的薬との併用も研究されています。

日本がん対策図鑑
【EGFR陽性肺がん】「メトホルミン+EGFR-TKI」vs「EGFR-TKI」 | 日本がん対策図鑑 EGFR遺伝子変異陽性の人は「EGFR-TKI阻害薬(イレッサ、タルセバ、ジオトリフ)」単剤治療に「メトホルミン」の上乗せを選択することで無増悪生存期間、生存期間が延長する...

もし糖尿病がある患者さんであれば、免疫チェックポイント阻害薬に併用してみても良いと思います。

糖尿病がなくても、メトホルミンは古くて安い薬ですし、試してみやすいです。

ちなみに、当院でも処方可能です。

料金等、詳しくはお問い合わせください。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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