
【エンハーツ】臓器横断型HER2治療が申請された!


こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
これまで、臓器横断型の治療というと
MSI-High →キイトルーダ
TMB-High →キイトルーダ
NTRK融合遺伝子変異 →ロズリートレク
の3種類がありました。
今回は新たな臓器横断型治療として、HER2陽性(遺伝子増幅)固形がんに対するエンハーツが承認申請されました!
HER2治療薬は現在、ハーセプチン、パージェタ、フェスゴ、カドサイラ、エンハーツ、タイケルブ(経口)があります。
そして、HER2陽性乳がんに対して新薬ツカチニブも先日承認申請されました。


エンハーツはすでに、乳がん、胃がん、非小細胞肺がんで有効性が認められ、承認されています。
上記以外のがんでも、HER2陽性であればエンハーツが有効なことが臨床試験で明らかになりました。




唾液腺がんでは奏効率100%!、子宮体がんでは83%と高い奏効率が見られています。
また、がんセンターのプレスリリースによると


13種類 (食道がん、大腸がん、唾液腺がん、子宮体がん、子宮頸がん、胆道がん、卵巣がん、小腸がん、尿路上皮がん、胃がん、悪性黒色腫、パジェット病、前立腺がん)のがんで縮小が見られたということです。
エンハーツは確かにすごい薬なのですが、副作用が結構問題となります。
添付文書によると、悪心・嘔吐、疲労が高い割合で見られます。


先の臨床試験でも、悪心(58%)、食欲不振(53%)、倦怠感(40%)、貧血(39%)が見られたようです。
あと、エンハーツで命にかかわる注意すべき副作用に間質性肺炎があります。
臨床試験では、26%に間質性肺炎が見られ、そのうちの7割が間質性肺炎により治療を中止したようです。(死亡に至る重篤な間質性肺炎はなし)
エンハーツは副作用に注意しながら慎重に投与しなければならない薬剤ですが、多くの患者さんにとって治療選択肢が増えることはありがたいですね。
ただ、HER2を調べるための遺伝子パネル検査がなかなか進んでいない現状があるので、そこが早く改善して欲しいです。
遺伝子パネル検査がもっと早期にできるようになり、また医師も積極的に進めるようになれば、がん難民をもっと減らせるのになぁ、、、
ちなみに、当院では血液検査でHER2タンパクを調べることができます。
血中HER2タンパク高値=パネル検査でHER2陽性とは必ずしもならないですが、参考にはなります。
血中HER2タンパク採血 22,000円(初診料込み)
結果が出るまでに5-7日かかります
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