【永久保存版】免疫療法はどれくらで効き始めるの?効果はどれくらい持続するの?

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

当院で行っている免疫療法は6種複合免疫療法というものです。

多数ある免疫療法の中で、なぜ6種複合免疫療法を選んだのかは、こちらにまとめました。

 ↓↓

6種複合免疫療法は期待できるのか?

最新の免疫療法や、免疫療法全般については以下にまとめています。

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さて、6種複合免疫療法のカウンセリングを行っているとよく尋ねられるのが、

どれくらいで効果が分かるのか?

②効果はどれくらい続くのか?

の2点です。

自由診療の免疫療法を考えられる方はステージ4でしかも標準治療が終了した方が多いため、効き始めるタイミングはかなり気になるところです。

ネットで調べると、AIがこう回答していました。

他の免疫療法を調べても、数週間から数か月後に効果が見られるとありました。

ちなみに、保険診療で行われている免疫チェックポイント阻害薬は、効果が見られ始めるのが、1‐3か月後と言われています。

それには免疫細胞ががんを攻撃する仕組みが関わっています。

目次

免疫細胞ががんを攻撃する仕組み

免疫チェックポイント阻害薬は抗がん剤治療のように投与後すぐに効果が表れる治療ではありません。

投与後、免疫チェックポイント阻害薬が免疫細胞にかかっているブレーキ(免疫チェックポイント)を外します。

しかし、ブレーキが解かれた免疫細胞はがんを攻撃する態勢を整えるまでに時間がかかるため、効果の発現にはある程度の期間が必要です。

免疫細胞が正常細胞を攻撃して起こる免疫チェックポイント阻害薬特有の副作用(irAE)は、治療効果と一致するとも考えられています

副作用は早ければ2週間後から遅ければ数か月後から出てくるので、免疫細胞が活性化し攻撃態勢に入るには2週間以上かかると考えられます。

中には数か月経ってから起こる副作用もあり、治療効果も数か月後から出てくるというケースもあります。

では、自由診療の免疫療法はどうか。

自由診療の免疫療法は大きく分けて

・間接的な攻撃(樹状細胞療法)

・直接的な攻撃(NK療法、NKT療法など)

・総合的な攻撃(6種複合免疫療法)

の3種類に分けられます。

普通に考えると、効果の出る速さは

直接的な攻撃 ≒ 総合的な攻撃 > 間接的な攻撃

だと思います。

ただ、直接的な攻撃とは言っても、50‐100億個の免疫細胞を投与するだけなので、体内のがん細胞を全て攻撃できる訳ではありません。

がん細胞の数は1㎤あたり10億個なので、ステージ4で多発転移がある人などは1兆個以上がんが存在していると考えます。

そんな巨大な敵に対して50-100億個の免疫細胞で直接攻撃しても、新たに生まれるがん細胞を攻撃するだけで、本丸を攻撃するには到底足りません。

しかも、がん細胞を攻撃するT細胞の寿命は数日~数週間しかありません。

寿命の短い少数精鋭部隊で何ができるのか??

正直に言うと、初めの攻撃という意味ではほとんど何もできません。

『じゃあ免疫療法は意味がないじゃないか』と言うとそんなことはありません。

免疫細胞ががん細胞を死滅させたことでがん細胞の死骸からがん抗原(がん細胞の目印となるもの)があふれ出すのですが、それを体内の1兆個近くある免疫細胞が記憶します。

がん抗原を記憶し活性化するのに数週間かかるため、効果が表れ始めるのはやはり数週間かかります。

ちなみに、このがん細胞を認識した免疫細胞(メモリーT細胞と言います)は、寿命が数か月~数年と言われています。

一度記憶してしまえば、がんの顔つきが大きく変わらない、もしくは免疫療法が効かない脳転移などが現れない限りは数年効き続けると考えられます。

免疫チェックポイント阻害薬が奏功した人の中で、何年も効き続ける人がいるのは、このメモリーT細胞の影響があるとされています。

当院でも、小細胞肺がんの患者さんで、もう4年近く6種複合免疫療法が奏功している方がおり、この方はメモリーT細胞が働き続けているのだと思われます。

話が難しくなったので、一度まとめます。

免疫チェックポイント阻害薬が効き始めるまでの期間

免疫細胞のブレーキが外され攻撃態勢に入る(活性化する)のにかかる数週間~数か月

自由診療の免疫療法が効き始めるまでの期間

免疫細胞の攻撃によって生じたがん抗原を記憶して、体内に存在している免疫細胞が攻撃に転じるまでの数週間

*体内のがん細胞が少ない場合には、投与した免疫細胞の攻撃によってすぐに効果が表れる可能性がある

免疫療法の効果の持続期間

一度効き始めるとがんの性質が変化したり免疫細胞が届かない場所(脳など)に転移ができたりしない限りは効き続ける

免疫療法を始めるのにオススメの時期は

免疫療法を始める時期について。

ステージ4でしかも標準治療が終わっている状態の方は、がん細胞の数が多く、免疫細胞も弱っていることがほとんどです。

パワーバランスが以下のようになっているため

がん細胞数×増殖の速さ >> 体内の免疫細胞数×強さ

効果として現れ始めるのに、より時間がかかる可能性があります。

そのため、免疫療法を始めるタイミングはより早い段階の方が良いです。

ちなみに、免疫チェックポイント阻害薬も免疫細胞が元気なうちに投与した方が効果が高いことが分かっています。

実際、ステージ3で投与する方がステージ4で投与するよりも効果が高く、ステージ4でも三次治療や四次治療まで行って標準治療が無くなった段階で投与する方が効きにくいです。

ステージ4で長く治療を続けている(=抗がん剤に耐性ができている)患者さんは、多数の顔つきのがんが存在しているため、一筋縄ではいかないのです。

自由診療の免疫療法を始めるオススメのタイミングは、がん細胞数が最も少なく、免疫細胞が元気な時です。

それはつまり、ステージ1—3のタイミングです。

ステージ4の場合は、できるだけ早く、できれば抗がん剤治療が始まる前がベストです。

ステージ4で標準治療が無くなってしまった段階でも諦める必要はありませんが、治療回数がより多く必要になると思ってください。

ちなみに、6種複合免疫療法は投与間隔が通常3週間なのですが、標準治療終了後の方は1-2週間おきを勧めています。

がん細胞の勢いもすごいし、かなり弱ってしまっている体内の免疫細胞を強化するためには、やはり間隔を詰めて投与しなければ厳しいと思います。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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