食べ物やサプリメントでがんを予防できる??

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

「〇〇を食べればがんにならない」

「〇〇を食べるとがんが消える」

インターネットやテレビ、健康本などで、こうした情報を目にしたことがある方は多いと思います。

2に人に1人ががんがんになると言われている昨今、「食べ物で予防できるなら…」と考えるのは自然なことかもしれません。

先に結論を言うと、「特定の食べ物でがんを完全に防げるわけではありません」

しかし、食生活によってがんのリスクを減らすことはできます。

どのような食生活ががんのリスクを減らすのでしょうか? 科学的根拠に基づいて詳しく解説します。

目次

がんの原因は「生活習慣」と「遺伝・環境」の組み合わせ

がんは、細胞の遺伝子に変化(突然変異)が蓄積し、正常な細胞が無秩序に増え続けることで発生します。その背景には、以下の要因が関わっています。

  • 喫煙(最も大きなリスク)
  • 飲酒
  • 食生活
  • 運動不足・肥満
  • 感染症(ピロリ菌、B型C型肝炎など)
  • 遺伝的要因

世界保健機関(WHO)や国立がん研究センターのデータによれば、日本人のがんの約半分は生活習慣で予防可能と考えられています。

その中でも「食生活」は大きな要素の一つと言えます。

「がんを予防する」と考えられる食べ物

では、実際にがん予防に役立つと科学的に証明されている食習慣を見ていきましょう。

こちらは、「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」によるエビデンスの評価をまとめた図です。

がんのリスクを下げるというエビデンスがあるのは意外と少なくて

野菜・果物→食道がん【確実】

確実なのはそれくらいで、あとは可能性があるとなっているのが

果物→肺がん

野菜・果物→胃がん

大豆→乳がんと前立腺がん

魚→子宮頸がん

食物繊維→大腸がん

くらいです。

ちなみに、リスクを上げるのは、

塩分→胃がん【確実】

熱い飲食物→食道がん【確実】

上記2つで、可能性ありが

穀物→胃がん

加工肉/赤肉→大腸がん(女性)

となっています。

では、それぞれについて簡単に解説します。

1. 野菜や果物

抗酸化物質(ビタミンC、カロテノイド、ポリフェノール)が体のサビから守ってくれるのと、食物繊維が腸内環境を整えることで、がんのリスクを下げると考えられています。

また、最近注目されているのは、ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科野菜です。これらにはイソチオシアネートという成分が含まれ、発がん物質の解毒を助ける働きがあります。

2. 大豆製品

大豆に含まれるイソフラボンは、ホルモンの働きを調整する作用があります。乳がんや前立腺がんのリスクを下げる可能性が報告されています。豆腐や納豆、味噌汁は日本人にとって日常的に取り入れやすい食品です。

3. 魚

魚の脂に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、炎症を抑え、がんのリスクを下げる可能性があります。特に青魚(サバ、イワシ、サンマ)に多く含まれます。

4. 食物繊維全般

食物繊維は腸の働きを整え、発がん性物質を体外に排出するのを助けます。全粒穀物や豆類、きのこ、海藻類などが効果的です。

サプリメントでがんを予防できる?

「ビタミンやサプリを摂ればがんを防げる」と思う人も多いのですが、研究の結果は必ずしもそうではありません。

  • βカロテンのサプリメント:喫煙者において肺がんのリスクを逆に高めることがわかっています。
  • ビタミンEやセレン:予防効果は明らかでなく、むしろ副作用の可能性も報告されています。

つまり、食事から摂る栄養素は体に良いが、サプリで大量に摂ることは逆効果になる場合があるということです。サプリメントはあくまで不足を補う補助的なものと考えるべきです。

国際的な予防ガイドライン(WCRFの提言)

世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)が出している「がん予防10か条」は、世界的に信頼されています。

  1. 健康的な体重を維持する
  2. 体をよく動かす
  3. 主に植物由来の食品を摂る
  4. ファストフードや高カロリー食品を控える
  5. 赤肉や加工肉を制限する
  6. 甘い飲み物は避ける
  7. アルコールはできるだけ飲まない
  8. サプリメントではなく食事から栄養を摂る
  9. 母乳育児を推奨
  10. がん経験者も同様の原則を守る

食事だけでなく、体重管理・運動・飲酒制限などを組み合わせることが大切だと示されています。

「何を食べるか」より「どう食べるか」が大切

がん予防を意識する上で重要なのは、「一つの食品にこだわる」のではなく、全体のバランスです。

  • 「〇〇さえ食べれば大丈夫」という食品は存在しない
  • 「バランスの良い食事+運動+禁煙+節酒」がトータルでがんリスクを下げる
  • 日本食(魚、大豆、野菜、発酵食品を多く含む食事)は世界的に評価されている

まとめ

  • 特定の食品でがんを完全に防ぐことはできない
  • 野菜・果物・大豆・魚・食物繊維はがん予防に有益
  • 加工肉・赤肉の過剰摂取、塩分の摂りすぎはリスクを高める
  • サプリメントよりも自然な食品からの摂取が望ましい
  • 食生活に加え、運動や禁煙など総合的な生活習慣改善ががん予防に直結する

「これを食べれば安心」という魔法の食品はありません。けれども、日々の食事を少しずつ工夫することで、がんになるリスクを確実に下げることはできます。

がんは誰にとっても身近な病気ですが、食生活は自分の手でコントロールできる「予防の武器」のひとつです。今日の一食から、未来の健康を守る一歩を踏み出してみませ

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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