癌のセカンドオピニオンは意味ない?受けるべきでない?デメリット&注意点

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濱元誠栄院長

がん専門「銀座みやこクリニック」院長の濱元誠栄です。

がん患者さんで「セカンド・オピニオンを受けたい」考えたことがある人は少なくないと思います。

そんな方のためにセカンド・オピニオンについて、その現状と適切な考え方をまとめました。

目次

なぜセカンド・オピニオンを受けたいのか?

厚生労働省の調査では「セカンド・オピニオンは必要だ」と考えている人の中で実際にセカンド・オピニオンを受けたという人は30%くらいしかいませんでした。

セカンド・オピニオンは必要だと思いながらも、なぜ受けなかったのか?一番多かった理由は「受けた方が良いのか判断できない」というものでした。

今の病院で受けている治療がベストな治療なのか、患者さんにはなかなか判断できません。

あと、たとえ治療が上手くいっていても「もっといい病院があるんじゃないか?もっとすごい治療法があるんじゃないか?」という気持ちは、皆さん心のどこかに持っています。テレビや雑誌でがんの名医なんてものを見ちゃったら、なおさらです。

だからと言って、今の病院を飛び出してまで行く必要があるのか?判断は付かないと思います。

次に多かったのが「どうすれば受けられるのか分からない」という理由でした。

がんで混乱している患者さん自身やご家族が、自力でセカンド・オピニオン先を探したり問い合わせをしたりするのは結構ハードルが高いです。

インターネットで「がん相談×都道府県名」と入力すると、各都道府県の”がん相談支援センター”というのが出てきます。そちらに連絡すると、セカンド・オピニオンを受ける方法を教えてくれたり近くのセカンド・オピニオン先を紹介してくれたりするので、ぜひ活用して欲しいです。

次が、これはあるあるなんですが「主治医に言いづらい」です。セカンド・オピニオンの話をしたら今後気まずくなるんじゃないかなどですね。

気持ちはよく分かります。でも患者の権利として認められているのでこれは堂々と言って良いと思います。最近は院内に「セカンド・オピニオンに協力します」と掲示している病院が増えてきたので、昔よりは主治医に言いやすい環境になってきたと思います。

他には「受けられる病院が近くにない」とか「高額なので受けなかった」という理由もありました。セカンド・オピニオンは保険が効かないので、高額なんですよね… 東京で一番高い病院では、30分4万円で設定されていました。一番安いところでも2万円で、かつ30分を超えると延長料金が倍かかります。

このような地理的な不利や金銭的な負担という現実問題が、ネックになることも多々あります。

セカンド・オピニオンのデメリット、おすすめできない理由

そんな高いハードルがあるセカンド・オピニオンですが私はあまりオススメしていません。それは受けるメリットが少ないからです。

まず「セカンド・オピニオンを絶対に受けない方が良い」というケースがいくつかありますのでご紹介します。

①今の治療に納得がいかなくて転院したい場合

セカンド・オピニオンは現在の主治医のもとでこれからも治療を継続していくことが前提で行われるものです。セカンド・オピニオン=転院ではありません。

セカンド・オピニオンの時に転院したいと伝えても「主治医とよく話し合ってから決めてください」と帰されてしまいます。

あとセカンド・オピニオン先で今の主治医に対する不満をぶつけてしまうと印象が悪くなって最終的に転院を断れられるかもしれません。

②患者さんの状態が悪く受診できない場合

ご家族は転院を希望する場合が多いのですが、そもそもご本人が来られないような状態の場合、セカンド・オピニオン先のモチベーションはかなり下がります。

下手なことを言うと「この病院も今の主治医や治療がおかしいと思っている」と思われかねないので、「状態悪いなら何もできることはありません」と簡単に終わらせられます。

ついでに言うと、手術で死亡したなど医療ミスを疑ってのセカンド・オピニオンもNGです。そのようなケースではセカンド・オピニオン自体断られてしまいます。

医療ミスについて話したいのであれば、セカンド・オピニオンではなく、まずは弁護士に相談してください。

③主治医がセカンド・オピニオンを認めない場合

これは地方でたまに見かけます。地方の特に中小規模の医師の少ない病院だと手術がイマイチだったり、経験の少ない医師が抗がん剤治療をしていたりします。

そういった病院では今行っている治療を知られたくなくてセカンド・オピニオンを拒否することがあります。主治医を説得してセカンド・オピニオンを受けたとしても、のちのち主治医との関係が悪くなることが多いです。地方で他に通える病院がない地域の場合、主治医と関係が悪くなると最悪です。

④治療を急いだ方が良い場合

主治医から少しでも早く手術や抗がん剤治療を始めるように勧められているのに、治療を延期したり中断して、がん専門病院の意見を聞きに行くというケースがあります。

急に診断されて患者さんとそのご家族も混乱しているので勢いで飛び出してしまうのですが、これは絶対に止めて欲しいです。基本的にセカンド・オピニオン先で新たな治療法を提案されることはありませんし、転院をすすめられることもありません。早く今の病院に戻って治療を進めてくださいと言われて終わります。その期間治療が行えなかったことで、さらに進行したり、時に手遅れにあることもあります。

治療を急ぐ場合には、まずはその病院で治療を始めてからセカンド・オピニオンは考えるようにしましょう。

⑤がん専門病院に過剰な期待を抱いている場合

このような患者さんはかなり多いです。ステージ4や再発の患者さんだと「延命治療しかできません」とか「もう治療法はありません」と主治医から言われます。

それがどうしても受け入れられず「有名ながん専門病院なら治せる治療法があるんじゃないか?」とか「治験があるんじゃないか?」と考えて、セカンド・オピニオンに行きます。

今はがん治療のガイドラインが整備されていて、全国どこでも標準治療を行う限りは大きな差はありません。

東京のがん専門病院には全国からセカンド・オピニオンの患者さんが集まりますが、99%の方が地元に戻って今の治療を続けるよう勧められます。

それで諦めが付くというより、がっかりする人の方が多いです。「がんセンターでも治せないのか。。」と思ってしまうのですね。

セカンド・オピニオンを受けたほうが良いケースとは?

私は基本的にはセカンド・オピニオンをオススメしていませんが、セカンド・オピニオンを受けた方が良い場合もあります。それは以下のような場合です。

①希少がんの方

希少がんとは文字通り数が少ない稀ながんで、一般病院だと治療経験のある医師が少ないという現状があります。

東京や大阪、名古屋、福岡など大都市には希少がんセンターが設置されていて、そこには希少がんの患者さんが集まり経験数も多いのでセカンド・オピニオンで受診してよいと思います。

②原発不明がんの方

原発不明がんというのは、転移があるけど画像や病理検査で原発が不明となっているがんのことです。

原発不明がんには標準治療というものがなく、おそらくこのがんだろうという予測で治療をするので、病院によって治療方針が変わる可能性があります。

原発不明がんの場合は、がん専門病院など原発不明がんの治療経験が豊富な病院へのセカンド・オピニオンをオススメします。そこで原発のがんが診断されることもありますし、適切な治療方針が見つかることがあります。

原発不明がんに関しては、元の病院もだいたい困っているので、すんなりとセカンド・オピニオンに行かせてくれます。

③特殊な治療法を考えている方

例えば有名なのが膵臓がんのナノナイフ、肺転移のラジオ波焼灼術、がんのカテーテル治療などです。これらは標準治療ほど確実性がある訳ではありませんが、体への負担が少ない治療です。

また、胃がんや卵巣がんなどの腹膜播種に対しては標準治療では全身の抗がん剤を投与するしかなく、根治は絶望的なのですが、腹腔内に抗がん剤を投与したり、腹膜播種を手術ですべて切除したりすることで、まれですが根治することがあります。

セカンド・オピニオンを行うことで一番重要なことは、主治医とのコミュニケーションだと思います。患者自身が病気について勉強し、主治医と治療方針についてよく話をしてコミュニケーションを取っていればセカンド・オピニオンもスムーズにいきますし、その後元の病院に戻ってきても関係が悪くなることはありません。

「銀座みやこクリニック」のセカンド・オピニオンの特徴

最後に、当院でのセカンド・オピニオン診療についてご説明します。

当院でセカンド・オピニオンを受ける主なメリットは先に述べた「特別な治療法を考えている方」が該当します。

当院は標準治療を第一に考えつつ遺伝子治療、免疫療法、温熱療法、東洋医学やサプリメントに至るまで多岐にわたる様々な治療法を実践しています。

がんに直接作用する治療法もあれば、患者さん自身の免疫力を上げる治療法もあります。それぞれの患者さんに合った、その時々に合った治療法を選択し、共にがんと戦っていきます。

また、ひとりひとりに時間をかけてゆっくりと納得いくまで対話することで「主治医を信頼できない」「主治医が相談にのってくれない」とお困りの方、いわゆる「がん難民」になってしまった方のお力になりたいと考えています。

濱元誠栄院長

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濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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