「抗がん剤がよく効いたらやめられますか?」

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

読売新聞のヨミドクターにこんな記事がありました。

抗がん剤がよく効いたらやめられますか?

これは私もよく患者さんから質問されます。

誰だって抗がん剤治療はできるならしたくないものです。

それがステージ4になると、抗がん剤を含めた化学療法をせざるを得ず、しかも終わりのないエンドレスケモ(化学療法)が始まります。

なぜエンドレスになるのか?説明していきます。

目次

抗がん剤(化学療法)がエンドレスになる理由

ステージ4は、主に遠隔転移がある状態のことを指します。

遠隔転移があるということは、リンパや血液の流れに乗って全身にがん細胞が飛んでしまっていると考えます。

ということは、まだ血液の中にがん細胞があるかもしれないし、どこかの臓器に付着して増殖していたり、幹細胞という形でおとなしくしているのかもしれません。

そうなると手術や放射線治療などの局所治療では太刀打ちできません。

全身に広がっているがん細胞を攻撃する治療(全身治療と言います)が必要になってきます。

全身治療にはいくつか種類があり以下の薬剤が該当します。

  • 抗がん剤
  • 分子標的薬
  • 免疫チェックポイント阻害薬
  • ホルモン治療

全身治療で体の中から全てがん細胞が消えてしまえばそれ以上の治療は必要なくなりますが、がんの特性上、抗がん剤等でがん細胞が全て消えることは基本的にはありません。

なので、途中で止めてしまうと、またがん細胞が増加してきます。

また、抗がん剤治療を行っていると、耐性といっていずれ効かなくなります。

耐性についてはコチラのブログも参照

 ↓↓

抗がん剤って、効かなくなるんですよね?

耐性ができた場合には、化学療法のメニューを変更して、新たな薬剤が開始されます。

ステージ4のがんの全身治療は、

止めると再発する可能性があるので続ける(一次治療)

 ↓

続けていると耐性ができて他の薬剤に変更する(二次治療)

 ↓

2番目の薬剤に耐性ができたら次の薬剤に変更する(三次治療)

 ↓

3番目の薬剤に耐性ができたら次の薬剤に変更する(四次治療)

これを使用できる薬剤が無くなるまで、延々と続けます。

がん種によっては、使用できる薬剤のメニューが2種類しかない(膵臓がんなど)こともあり、その場合は二次治療が終了したら標準治療は終わりとなります。

使える薬剤が無くなるまで、エンドレスに全身療法を続けることになります。

ただ、エンドレスにならないケースもあります。

エンドレスケモ(化学療法)にならないケースとは?

①化学療法のデメリットがメリットを上回る場合

化学療法は大なり小なり100%副作用が起きます。

その副作用に身体が耐えられない、もしくは副作用で全身状態が悪化するといった場合には、エンドレスケモが中断されます。

②白血病などの血液がんの治療の場合

白血病細胞など血液がんの細胞は、殺細胞性抗がん剤に対して高い感受性がありますし、血液や骨髄中に存在するため薬剤が届きやすく、治療によってがん細胞をほぼ消滅させることができます。

治療後も微小残存病変を排除するための維持療法が行われますが、最終的にはがん細胞を全滅させ、治療を終了することが可能です。

一方、消化器がんなど固形がんの細胞は、もともと薬剤耐性を持つ細胞が含まれていたり、治療中に薬剤耐性を獲得しやすい特徴があるため、一度有効な薬剤も時間とともに効果が薄れてしまいます。また、腫瘍の内部に薬剤が届きにくいなど、物理的なバリアの影響もあり、がん細胞を身体からすべて消滅させることが難しいです。

③免疫チェックポイント阻害薬が良く効いている場合

免疫チェックポイント阻害薬は、耐性を獲得せずに効果が長く続くことがあります。(なので、免疫チェックポイント阻害薬は止め時が難しい)

以前発表された悪性黒色腫と免疫チェックポイント阻害薬の効果を調べた研究では、2年以上効果が持続した場合には、中止後も効果が継続しているという結果でした。

いわゆる抗がん剤とは作用機序が違うため比較はできませんが、免疫チェックポイント阻害薬はエンドレス投与しなくてもよい可能性があります。

上記以外でも、オリゴ転移(小数転移)で局所治療を併用できた場合や、抗がん剤治療だけで完全にがん細胞が消滅するケースも稀ですがあります。

止めたら止めたで再発の不安が出てくるので、白血病の維持療法のように、維持療法として弱めの抗がん剤などを細々と続けていくのもアリかなと思います。

あ、でもそうすると、維持療法の止め時も難しいので、エンドレスになるのか、、、

抗がん剤の止め時は医師側も頭を悩ませるくらい難しい問題なので、止め時などは患者側の希望を伝えながら主治医としっかり相談するのが一番です。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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