
【牛車腎気丸】抗がん剤のしびれに漢方薬を効かせる!!~大事なのは飲むタイミング~


こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
先日、仙台で行われた第125回日本外科学会に参加してきました。
1日だけの参加だったので、演題を絞って聞いてきたきたのですが、『がん漢方』の話がすーーーごく面白くてためになりました。


こういった学会では珍しく、開業医の先生が演者となっていました。
がんに関わる症状に対して漢方薬で治療されており、『がん漢方』というネーミングを付けていました。
目からウロコの情報がたくさんあったのですが、今回は抗がん剤の副作用である末梢神経障害(しびれ)に対しての漢方薬治療について。
現在、抗がん剤による末梢神経障害に対しては、主に以下の薬剤が使われます。
・プレガバリン(リリカ)
・ミロガバリン(タリージェ)
・デュロキセチン(サインバルタ)
・牛車腎気丸
・ビタミンB12
どの薬剤も「すごく効いた!」ということは少なく、漫然と使用している例も多く見られます。
講師の今津先生は、抗がん剤の末梢神経障害に対する牛車腎気丸の効率的な効かせ方について熱く語られていました。
効かせるポイントはタイミング
牛車腎気丸を内服すると、30-60分後に血中濃度がピークに達し、その後は低下していきます。
牛車腎気丸の説明書を読んでみると、”通常、成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。”とあります。
多くの患者さんが、
①朝食前
②昼食前
③夕食前
に内服されていると思います。
化学療法日などにお昼に内服する時間が無い方は、
①朝食前
②夕食前
かもしれません。
それだと、末梢神経障害の予防に対してはタイミングが悪いそうです。
牛車腎気丸は鎮痛作用だけでなく神経保護作用もあるため、抗がん剤を投与しているタイミングに血中濃度のピークを合わることが重要だとのこと。
つまり、理想的な内服方法は
抗がん剤が始まる30-60分前に内服し、抗がん剤が終わった直後にも内服する
ということです。
具体的なアドバイスとして
血液検査の結果が出て「抗がん剤OK」と外来で言われ、化学療法室に向かう途中、もしくは化学療法室に着いたらすぐに1包内服することで、ベストなタイミングに持って行けます。
また、化学療法が終わって、会計を待っている間にもう1包内服します。
あとは就寝前にもう1包内服。
これが化学療法日の内服スケジュールです。
これでオキサリプラチンやパクリタキセル/アブラキサンによる急性期の神経障害を防ぐことができると力説されていました。
それ以外の日にも、1日3回食前を続ける。
より血中濃度を上げたい場合には、前日の夜から内服を始め、化学療法当日の朝も内服し、そして上記のタイミングで内服しても良いと思います。
当院で処方するCBDと合わせると、もっと効果を発揮するかもしれませんね。
しびれなどのトラブルに対するCBDオイルについては、過去ブログを参照に


CBDオイルは自費処方となりますが、牛車腎気丸は保険診療の病院でも処方してくれるので、主治医に相談して処方してもらってください。
一応、2023年版の末梢神経障害ガイドラインでは予防としての牛車腎気丸は推奨しないとなっていますが、効く患者さんもいるので、試してみる価値はあると思います!


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