大腸がんのリスクと予防方法とは?気をつけたい生活習慣や早期発見のコツ、見分け方
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こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
今回のテーマは「大腸がんになりやすいのはどんな人?大腸がんを早期で見つけるためには」です。
「大腸がんのリスク」「大腸がんを予防する方法」「大腸がんでよくある質問」についてお話していきます。
年々増える大腸がん
大腸がんと診断される人は年々増えていて、毎年13万人が大腸がんと診断されています。現在、男性で大腸がんと診断される人の数は前立腺がんに次いで2位となり、男性の11人にひとりが大腸がんになる計算になります。女性では乳がんに次いで2位となり、14人にひとりが大腸がんになります。
また、最近では若者の大腸がんが急増しており、大腸がんの2-4%が40歳未満、1%弱が30歳未満と、若いから大丈夫というがんではなくなってきています。
診断される人が増えるのに伴い、死亡者数も増え、がん全体の死亡者数の中で男性で3位、女性ではここ20年間ずっと1位となっています。
有名人でも大腸がんになった人は多く、桑野信義さん、鳥越俊太郎さん、トミーズ雅さん、原口文仁さん、向井亜紀さん、山本譲二さんなどが闘病されています。残念ながらお亡くなりになりましたが、あき竹城さん、今井雅之さん、島田陽子さん、ジャイアント馬場さんなども闘病されていました。
大腸がんは生活習慣などと大きく関係があり、様々なリスクが明らかになってきました。大腸がんのリスクを上げるものは以下の6つです。
- アルコール
- 赤身肉や加工肉
- タバコ
- 肥満
- 高身長
- 家族歴
まずはアルコールです。
1日の平均アルコール摂取量が23g以上でリスクが高くなり、46gでリスクが2倍に、92g以上で3倍となります。アルコール23gの目安は、ビールが大瓶(633ml)1本、焼酎2/3合、日本酒1合、ワイン200mlです。
23g以下にしようとするとなかなか厳しいという人が多いですが、飲まない日を作るなどして平均摂取量を下げるなどの工夫をすると良いです。
次に赤身肉です。
赤身肉=ヘルシーというイメージがあると思いますが、ここで言う赤身肉は脂身の少ない肉のことではなく牛肉、豚肉、羊肉、馬肉などの「見た目が赤い肉」のことを指します。
見た目が赤く見えるのは酸素を運ぶヘム鉄が多いからです。このヘム鉄の摂取量が多すぎると吸収されなかったヘム鉄が大腸の壁を傷つけてがんになりやすくなると考えられています。そこに、お肉のコゲに含まれている発がん性物質が加わって、よりリスクを上げます。
また、加工肉には腐らないようにするための亜硝酸塩などの添加物が含まれていますが、これらもがんのリスクを上げる要因となっています。
タバコも大腸がんのリスクとなります。
男性の場合は1日に吸うたばこの本数が多ければ多いほどリスクが高まっていきます。女性の場合は1日に吸うタバコの本数が20本以上の場合と、1日の喫煙本数×喫煙年数が40を超えるとリスクが跳ね上がります。
肥満は男性でBMI 27以上でリスクが跳ね上がります。BMI27の目安は体重=身長-90です。女性ではリスクがわずかに上がる程度です。
もう一つ、これはかなり意外かもしれませんが、高身長も大腸がんのリスクとなります。
身長170cmの男性は160cmの男性に比べて大腸がんのリスクが1.2倍になります。女性の場合も同様に157cmの女性は148cmの女性と比べて大腸がんのリスクが1.2倍となります。
アメリカでは男女とも平均身長より10cm高いと大腸がんのリスクが14%増えるという研究もあります。
なぜ身長が高いと大腸がんになりやすいのか。高身長の人は大腸が長い分がん化する細胞も多いという説と、高身長の人は子供の頃から高栄養や成長ホルモンの分泌が多く、それが大腸がんに関係しているという説があります。
最後に、家族に大腸がんがいる人は大腸がんのリスクが高くなります。
特に家族性大腸ポリポーシスと呼ばれる遺伝性の病気では15歳までに50%、35歳までに95%という高い割合でポリープができ、40歳までにポリープががん化すると言われています。
大腸がんのリスクを下げるには?
逆に大腸がんのリスクを下げる方法もあります。以下の4つが代表的です。
- 運動習慣のある人(立ったり歩いたりする時間が3時間以上あればOKです)
- 野菜を多く摂る人
- コーヒーをよく飲む人
- 消炎鎮痛薬を飲んでいる人
まず、運動は大腸がんのリスクを下げます。30-60分の筋肉労働や激しいスポーツを行うか、もしくは立ったリ歩いたりするのを3時間以上行っている場合には大腸がんのリスクが下がります。
野菜などの食物繊維を多く摂ることでも大腸がんのリスクは下がります。
ただ下げないという研究もあり、まだ確実ではありません。またコーヒーに含まれるポリフェノールが女性で大腸がんのリスクを下げます。
緑茶やカルシウム、ビタミンDなども大腸がんのリスクを下げる可能性が考えられていますが、まだ確実ではありません。アスピリンなどの消炎鎮痛薬を内服している場合に大腸内の炎症が抑えられ、大腸がんのリスクを下げると考えられています。
大腸がんの検査方法
大腸がんかどうかを調べる方法には便潜血検査と大腸カメラがあります。
便潜血検査は多くの人がやったことがあると思いますが、便を擦って提出し、便の中の出血を調べる検査です。それでひっかかった場合には精密検査として大腸カメラを行います。大腸がんが増えてくる40歳以上を対象として健康診断やがん検診で便潜血検査が行われます。
大腸カメラは時間的にも金銭的にも負担になりますが、便潜血検査は手軽に行えるというメリットがあります。
大腸がんは早期発見で90%以上が治る病気です。きちんと検査を受けて早期発見に努めましょう。
大腸がんのよくある質問
最後に、大腸がんでよくある質問にお答えします。
- 大腸ポリープがあると、下痢になりますか?
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ポリープ程度の大きさであれば通常は下痢になることはありません。
- 直腸がんと言われました。大腸がんとは違うのでしょうか?
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結腸と直腸を併せて大腸と言います。できた部位によって、結腸がんや直腸がんと言う表現をすることがあります。直腸がんは大腸がんの一種だと思ってください。
- 2年連続便潜血でひっかかりましたが、痔だと思って放置しています。やばいですか?
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大腸がんの30%は便潜血検査をきっかけに見つかっています。一度は大腸カメラを行ってください。
- 生理が重なった場合、便潜血検査は受けない方が良いですか?
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微量の生理血でも陽性になるので、そのタイミングでは受けない方が良いです。
- 便秘で出ない日があるので、提出日よりも早めに検便しました。常温で保管していても大丈夫でしょうか。
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冷暗所での保管が勧められているので、冷蔵庫で保管してください。ご家族がビックリするといけないので、事前に知らせておいた方が良いです(笑)。
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