乳がん手術前後の抗がん剤治療で転移が増える?!①

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

アメーバブログで乳がんの情報発信をされている先生が、衝撃的な記事を書かれていました

私がddACやddPTXを好んで使わない理由 その1つ

ddACやddPTXの”dd”は、dose-dense(ドーズ・デンス)法の略で、乳がん、卵巣がん、子宮体がんなどの抗がん剤治療に使われています

特に乳がんでは術前術後の抗がん剤治療の際に用いられ、治療成績の向上が見られています

日本がん対策図鑑
【乳がん:術後治療(4年DFS)】「2週間1サイクル(dose dense療法)」vs「3週間1サイクル」 | 日本がん対策... 切除可能な乳がんと診断され、手術後にリンパ節転移が認められた女性が術後補助化学療法を考える場合、「2週1サイクルのdose dense治療」を選択することで「3週1サイクルの...
日本がん対策図鑑
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乳がんでのdose-dense法の具体的な方法は、

3週間おきに投与するAC/ECもしくはパクリタキセルを2週間おきに投与するというものです

乳がん診療ガイドラインでも推奨されています

dose-dense(ドーズ・デンス)法は短期間で抗がん剤を投与することで、このような利点があると考えられています

小さな腫瘍は栄養分や酸素が十分に供給されるために、増殖している細胞数が多く、腫瘍が大きくなるにつれて栄養や酸素の供給が不足し、増殖する細胞は少なくなります。増殖速度の速い細胞ほど抗がん剤への感受性が高く、死滅するスピードも速いと考えることができます。そこで、この抗がん剤の間隔を短縮して治療することにより、コース間に再増殖する細胞数をより効率的に減少させることができるという考えです。

ちょうどよいイメージ図がこちらのサイトにありました

dose-dense法は、効果が高い反面、副作用も強く出ます

抗がん剤の副作用の代表的なものに白血球減少があります

通常の投与法だと、3週間かけて白血球が回復した後に次の抗がん剤となるのですが、dose-dense法だと、回復する前に次の抗がん剤の投与を行うことになります

そのため、dose-dense法では、顆粒球形成コロニー刺激因子(G-CSF)製剤を予防的に投与し、白血球の回復を早めることで、2週間おきの投与を可能にするのです

*G-CSF製剤についてはこちらのブログも参照

  ↓↓

「どうやったら免疫をあげられるのか?」 自身の取り組み明かす

ただ、G-CSF製剤では好中球だけが増えますが、がん細胞と戦ったりウイルスを撃退するリンパ球は増えません

そのため、カリニ肺炎というHIV(エイズ)など免疫力が弱った人しかかからないような感染症にかかる危険があります

ddAC/ECをされている(と思われる)梅宮アンナさんもカリニ肺炎になっていましたね、、、

【アンナよりご報告】突然の発熱、入院。肺炎の診断を受けて、抗がん剤がいったん延期になりました

他にも副作用は強く出るので、dose-dense法は若くて体力のありそうな人にしかできません

で、表題の件に戻りますが、

このdose-dense法で用いるG-CSF製剤が、がんの転移を促進するのではないか?

という議論があります

長くなったので、次回のブログで解説します

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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