乳がん手術後の抗がん剤治療で転移が増える?!②

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

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某乳腺外科医が、dose-dense法ががんを悪化させる可能性があるというブログを書いていました

 ↓↓

私がddACやddPTXを好んで使わない理由 その1つ

その理由として

dose-dense法を行う際に、白血球減少を予防する目的で使われるG-CSF製剤(ジーラスタなど)ががんの勢いを強めたり、転移を促したりする

というのです

具体的には、

①がん細胞がG‐CSFで活性化する

②G-CSFで骨髄から末梢血へ血球などが移動した際に、そのスペースにがん細胞が入り込む(=骨転移が起こる)

というメカニズムが発生している可能性があります

じゃあ、G-CSF製剤を投与することは、転移が増えて百害あって一利なしなんじゃ、、、って思いますよね

でも、前回紹介した乳がんのdose-dense法では、無再発生存期間を延長するという結果が出ています

それはなぜなのか?

一つの可能性として

G-CSFががんを悪化させる力 << dose-dense法によるがん細胞死滅効果

を私は考えていました 

それなら、dose-dense法の方が治療成績が良いことも納得します

文献を調べていたら、こんな考え方もありました

Addition of granulocyte-colony stimulating factor (G-CSF) to adjuvant treatment may increase survival in patients with operable breast cancer: interaction of G-CSF with dormant micrometastatic breast cancer cells

オール英語なので日本語で簡単に解説すると

乳がんは早期からすでに骨転移が起こっている

 ↓

骨の転移先でがん幹細胞として休眠状態にあり、休眠状態にあるがん細胞に抗がん剤は効かない

 ↓

G-CSFの投与により休眠細胞が叩き起こされる

 ↓

叩き起こされた(=活動を始めた)がん細胞には抗がん剤が効く

 ↓

G-CSF+抗がん剤で、活動期にあるがん細胞だけでなく、叩き起こされたがん幹細胞も死滅させることができる

この考え方だと、がん幹細胞も叩くので無再発生存期間が延長するのは当然かも!!

って思いました

何より、現存してるがん細胞に回復する間を与えずにせん滅するdose-dense法は個人的にはメリットが大きいと思います

もちろん、再発リスクが高い患者さんで、かつ耐えられる体力があればです(再発リスクの低い方はdose-dense法まではしなくても良いと思います)

質問してくださった患者さんも、安心してddAC/EC療法を受けてください!

ただ、dose-dense法のジーラスタは高いんですよね、、、

あと、骨髄に無理やり血球を作らせるので、骨や関節の痛みとか体の痛みが結構出るんですよね、、、

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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