家族にがんの人がいると、がんになりやくい?

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

「先生、うちはがん家系なんです。私もきっとがんになりますよね?」

外来でよくいただくご相談のひとつです。家族にがんを経験された方が多いと、「自分も必ずなるのでは」と不安に感じるのは自然なことです。では、本当に「がん家系」というものは存在するのでしょうか?

目次

がんのほとんどは遺伝しない

実は、がんの90〜95%は「遺伝」ではなく、「生活習慣」や「加齢」が主な原因と言われています。

出典:がん治療 新時代WEB

「家族にがんが多い」理由の一つとして、家族は「生活習慣」や「環境」を共有しています。

食事、運動習慣、喫煙や飲酒のスタイルが似ていると、がんのリスクも似てしまうのです。

これも「がん家系」と呼ばれる背景になっています。

ですから、たとえ家族にがんを経験された方がいても、それだけで「自分も必ずなる」とは限りません。

*昔流行った環境ホルモンや遺伝子組み換え作物、コロナワクチンなどに関してはエビデンスが無いので、取り上げていません。

遺伝するがんも一部ある

一方で、5〜10%ほどのがんは「遺伝性腫瘍症候群」と呼ばれ、遺伝による遺伝子の変化が原因となることがあります。

遺伝性腫瘍症候群には以下のようなものがあります。

  • 遺伝性乳癌・卵巣癌症候群:原因遺伝子BRCA1、BRCA2 → 乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がんなど
  • リンチ症候群 :原因遺伝子MSH2・MLH1・MSH6・PMS1・PMS2→ 大腸がん、子宮体がん、胃がん、卵巣がん、膵がん、尿管がんなど
  • Li-Fraumeni症候群 :原因遺伝子p53→ さまざまながん
  • 家族性大腸腺腫症:原因遺伝子APC大腸がん、胃がんなど
  • フォン・ヒッペル・リンドウ病:原因遺伝子VHL→腎細胞がん、血管芽腫、褐色細胞腫など

これらは若い年齢で発症したり、同じがんが複数の家族に出たりします。

心配し過ぎないことが大事

大切なのは「がん家系だから」と不安にとらわれすぎないことです。

先に挙げた遺伝性腫瘍症候群以外でも、まだ世に知られていない遺伝性のがんがある可能性はゼロではありませんが、「がんになりやすい生活習慣や環境の共有」の可能性の方が高いと思います。

ちなみに、家族に乳がんがいると、乳がんのリスクが上がることが分かっています。

乳癌診療ガイドライン2022年度版より

BRCA1/2などの原因遺伝子が無くても、リスクが上がるようです。

このように、もし家族歴がある場合は、むしろ「早めの検診」「生活習慣の改善」という行動につなげるチャンスとして考えても良いかもしれません。

家系内にがんが多く心配という場合には遺伝カウンセリングを受けることもできます。

まとめ

「がん家系」という言葉はたしかに存在しますが、医学的には「必ずがんになる」という意味ではありません。大半のがんは遺伝しません。

正しい知識を持って、検診や予防に前向きに取り組むことが、未来の健康を守る一番の方法です。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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