【高齢者でも諦めない】83歳の大腸がんステージ4でも、手術と放射線治療で完治した症例

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

当院での症例ではないのですが、こんな症例報告を見つけました。

“Metastasectomy and Stereotactic Body Radiotherapy for Colorectal Cancer With Liver and Lung Oligometastases: A Case Report of Complete Remission in a 96-Year-Old Patient” (肝臓および肺のオリゴ転移を伴う結腸直腸がんに対する転移巣切除術と定位体幹部放射線治療:96歳患者の完全寛解の症例報告)

要約: この稀な症例報告では、96歳の非常に高齢な結腸直腸がん患者が、肝転移に対するラジオ波焼灼術と転移巣切除術、および肺のオリゴ転移に対する定位体幹部放射線治療(SBRT)によって完全奏効を達成し、初期診断から12年後も再発の兆候なく良好なQOLを維持していることが報告されています。このケースは、高齢であることが転移巣切除術やSBRTの禁忌とはならない可能性を示す重要な事例です。

がんのステージ4(遠隔転移あり)という診断が付くと、医師から「全身にがんが広がっていてこんちは不可能。延命しか方法はない」と説明され、絶望的な気持ちになるかもしれません。

しかし、近年ではステージ4のがんでも、一部の患者さんにおいて「根治」や長期的な病勢コントロールが期待できる概念が注目されています。それが、「オリゴ転移(oligometastasis)」です。

オリゴ転移とは?

「オリゴ」とは「少数」という意味で、オリゴ転移とは、原発巣(最初にがんが発生した場所)から離れた臓器への転移が、少数(通常は1~5個程度)に限定されている状態を指す、比較的新しい概念です。

全身に多数の転移が散らばっている状態とは区別され、この限られた転移巣に対して積極的に治療を行うことで、病状全体を良好にコントロールできる可能性が注目されています。

なぜオリゴ転移が重要なのか?その利点

これまでのステージ4のがん治療は、全身に散らばったがん細胞を抑制するため、主に抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬といった「全身治療」が中心です。

もちろんこれらの治療は非常に重要ですが、オリゴ転移では、これに加えて転移巣そのものに直接アプローチする「局所治療」の併用が大きな利点をもたらします。

オリゴ転移に対する局所治療の主な利点は以下の通りです。

  1. 根治の可能性を追求する: 少数のがん細胞を徹底的に排除することで、がんの「完治」や長期的な「完全奏効」(がんの徴候がなくなる状態)を目指せる可能性があります。
  2. 病勢コントロールの向上: たとえ完全にがんをなくすことができなくても、転移巣が進行の主要因となっている場合、その部位を局所的に治療することで、がん全体の勢いを弱め、病気の進行を遅らせることができます。これにより、生存期間の延長が期待できます。
  3. QOL(生活の質)の改善: 転移巣が引き起こす痛み、出血、呼吸困難、麻痺などの症状を、局所治療によって劇的に改善できる場合があります。例えば、骨転移による強い痛みに放射線治療を行うことで、日常生活をより快適に送れるようになるケースは少なくありません。副作用が全身に及ぶ全身治療と比較して、QOLを維持しやすいという利点もあります。
  4. 治療選択肢の拡大: 全身治療だけでは効果が薄れてきた場合でも、オリゴ転移の状態であれば、手術、定位放射線治療(SBRT)、ラジオ波焼灼術(RFA)といった多様な局所治療を組み合わせることで、新たな治療の道が開けることがあります。

諦めない治療への第一歩

オリゴ転移の概念は、ステージ4のがん患者さんに新たな希望をもたらすものです。しかし、どの患者さんがオリゴ転移の恩恵を受けられるのか、どの局所治療が最適なのかは、がんの種類、転移の部位や数、患者さんの全身状態など、多角的な視点から慎重に判断される必要があります。

もし「ステージ4」という診断を受け、「もう打つ手はない」と諦めそうになっている方がいらっしゃるなら、ぜひ担当医と「オリゴ転移」の可能性について話し合ってみてください。

意外とオリゴ転移の概念を持っている医師は多くありません。

ですから、患者さん側がしっかりと勉強して、医師にオリゴ転移に治療を相談することが重要です。

医師に「根治は不可能」と言われても、簡単に諦めてはいけません。

あとは、高齢と言うだけで簡単に諦めてしまう医師が少なくないので、そこもあ諦めないポイントです。

個人的には当院で行っている6種複合免疫療法など、免疫療法を併用すると体力を保ちつつ治療が計測できると思います。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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