急増中!前立腺がんの原因と初期症状。治療法や検査法について

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濱元誠栄院長

こんにちは。銀座みやこクリニック院長の濱元です。

今回のテーマは「あなたの親戚にもいるかも!前立腺がん。50歳を過ぎたら一度はPSAを調べましょう」です。

「前立腺がんが増えている理由」「前立腺がんの症状と発見する方法」「前立腺がんでよくある質問」などについてお話していきます。

目次

前立腺がんは増えている!その理由、原因とは

実は今、前立腺がんになる人は凄く増えていて、この40年で25倍になりました。男性がんのトップで、日本人男性の9人に1人が前立腺がんになる計算になります。

乳がんが日本人女性の9人に1人なので、同じくらい多いということになりますね。

欧米人男性は3人に1人が前立腺がんになるのですが、日本もどんどんその割合に近づいていくことが予想されています。今の勢いだと日本でも10年後には5人に1人になっているかもしれません。そうなってくると親戚のうち誰か一人くらいは前立腺がんになる方がいてもおかしくないという状況になります。

ちなみに前立腺がんになった有名人は数多く、高倉健さん、間寛平さん、西川きよしさん、三波春夫さん、お亡くなりになった西郷輝彦さんなどが前立腺がんを公表しています。

前立腺がんが増えている理由として、①食生活の欧米化、②高齢化、③診断技術の進歩が考えられています。

前立腺がんの発生率は、動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸の摂取量と相関しています。食生活の欧米化によって日本人の動物性脂肪の摂取量が増えたことが、前立腺がんが増えた原因の一つと考えられています。

また、前立腺がんの発生にはホルモンバランスの変化が大きく関係しています。

男性は40代後半くらいからホルモンバランスの変化が見られるようになるため、50歳以上になると前立腺がんが急増してきます。高齢化社会で高齢者が増えれば増えるほど、前立腺がんの患者数も増えていきます。

さらに、PSAと呼ばれる前立腺がんの腫瘍マーカーが簡単に測定できるようになり、今まで見つからなかった初期の前立腺がんが見つかるようになったことも一因と考えられています。

前立腺がんの症状

前立腺がんは初期の段階ではほとんど症状がありません。

がんが大きくなったり、進行して周りの臓器までがんが広がると症状が出てくることがあります。

進行した前立腺がんの症状としては以下が挙げられます。

  • 尿が出にくくなる
  • 尿の回数が増える
  • 尿に血が混じる
  • 精液に血が混じる
  • 下腹部の違和感

また、前立腺がんは骨に転移しやすいので、骨の痛みや骨折などの症状が見られることがあります。

前立腺がんを調べる方法で最も有用なのがPSA検査です。PSAは前立腺特異抗原と言い、前立腺から分泌されるタンパク質です。がんが大きくなるにしたがって前立腺の細胞が壊され、血液中にPSAが漏れ出します。

血液検査でPSAの値を調べて、高い値が出たら前立腺がんの可能性があります。ただし、前立腺炎前立腺肥大症でも高い値が出ることがあります。

前立腺炎の場合には、高熱が出て強い排尿時痛や会陰部の痛みなどが出るので見分けることができます。

前立腺肥大症は、尿の勢いがなくなる、切れが悪くなる、残尿感など排尿関連の症状が中心なのと、前立腺がんに合併することがあるので、見分けるのが難しいです。

血液検査でPSAが高かった場合、次に行うのが前立腺の触診です。前立腺は外から触ることができません。肛門から指を入れて、直腸の壁越しに前立腺を触診します。

正常な前立腺はクルミ大で表面が滑らかで消しゴムくらいの硬さをしていますが、一方前立腺がんの場合には、硬く表面がごつごつした、左右非対称の前立腺が触れます。

触診だけでなく、肛門からエコー検査を行ったり、MRIで調べたりすることもあります。確定診断のため行う組織検査も直腸側から針を刺して行います。

前立腺がんの治療法について

早期の前立腺がんの治療法は手術放射線治療のどちらかが行われます。

放射線治療には内照射外照射があります。内照射は前立腺の中に放射線を出す小さな筒を入れて行う治療法です。外照射は外側から放射線を当てる一般的な放射線治療です。

外照射の中でもピンポイントで狙えて副作用の少ない陽子線治療重粒子線治療が注目されています。2018年から保険適応となったので、最近ではこれらが行われるケースが増えてきました。

ただ、まだ実施施設が少ないため誰もが行えるわけではありません。また高齢者の場合には無治療で経過観察となる場合もあります。

高齢男性を死後に解剖してみると30%の人で無症状の前立腺がんが見つかったという報告があります。進行がゆっくりの前立腺がんは、発見から命にかかわるようになるまで10年以上かかります。

高齢で早期のうちに発見したとしても、このように何も悪さをすることなく寿命を迎えることも多いのです。そのような場合には治療する意味があるかどうか分からないため、経過観察という方法が取られます。

骨などに転移があるステージ4の場合には手術や放射線治療は行わず、ホルモン治療となります。前立腺がんは男性ホルモンで成長するため、男性ホルモンをブロックするホルモン治療が有効なのです。

その場合、基本的に根治は望めませんが、新薬の登場でステージ4でも5年生存する症例が増えてきました。前立腺がんステージ4で余命5年といわれることがあります。

濱元誠栄院長

前立腺がんは転移のない早期で発見されれば5年生存率、10年生存率ともに100%と完治できる病気です。

50歳を超えたら毎年PSAを測定し、早期発見に努めましょう。

もし家族に前立腺がんがいる場合には通常よりも早く発症する可能性があるため、40歳からPSAを測定することをお勧めします。

前立腺がんのよくある疑問、質問

最後に、前立腺がんについてよくある質問をご紹介します。

前立腺肥大症はがんに変わりますか?

前立腺肥大症からがんになることはありません。ただ、併発していることはあるので、注意が必要です。

男性ホルモンが多いと前立腺がんになりやすいと聞きました。体毛が濃く顔が脂ぎっている私は、前立腺がんになりやすいのでしょうか?

前立腺がんを成長させるのは男性ホルモンですが、発がんに関してはホルモンバランスの変化が関係しています。男性ホルモンが多いからと言って前立腺がんになりやすい訳ではありません。ちなみに、体毛の濃さと前立腺がんの発生率は無関係だったという論文もあります。

射精回数が多いほど前立腺がんになりにくいと聞いたのですが、本当でしょうか?

20代から40代のうちに月に21回以上射精している人は、前立腺がんのリスクが20%低下するという報告があります。

女性も前立腺がんになりますか?

女性には前立腺が存在しないので、なりません。

性行為で女性にも前立腺がんがうつるのでしょうか?

これまでに男性の前立腺がんが女性にうつったという症例は1例も報告がありません。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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