卵巣明細胞がんの新薬「リソバリシブ」とは

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

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がん治療の分野では日々新しい薬が登場していますが、今回は特に治療が難しいとされる「卵巣明細胞がん」の新たな治療薬、リソバリシブ(一般名。製品名:ハイツエキシン)について解説します。

1. 卵巣明細胞がんという課題

卵巣がんにはいくつかの種類(組織型)がありますが、その中の一つ「明細胞がん」は、日本人に比較的多く見られるタイプです。この型の最大の特徴は、一般的な抗がん剤(プラチナ製剤など)が効きにくい(抵抗性がある)ことです。そのため、再発した場合の治療選択肢が少なく、新しい有効な治療法の開発が強く望まれてきました。

2. リソバリシブ(ハイツエキシン)の仕組み

リソバリシブは、「PI3Kα阻害薬」という種類の分子標的薬です。

卵巣明細胞がんの患者さんの多く(約30〜50%)には、「PIK3CA」という遺伝子の変異が認められることが分かっています。この遺伝子に変異があると、がん細胞を増殖させるスイッチが常に「オン」の状態になってしまいます。リソバリシブはこのスイッチをピンポイントで阻害し、がんの増殖を抑える働きを持っています。

3. これまでの経緯と現在の状況

この薬は、開発段階からその有効性が期待されており、以下のようなスケジュールで承認に向けた手続きが進んでいます。

  • 2025年6月: 厚生労働省より「希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)」に指定されました。
  • 2025年8月: 海和(ハイヘ)製薬が日本国内での製造販売承認を申請。
  • 2026年3月現在: 承認予定

4. まとめ

リソバリシブ(ハイツエキシン)は、特定の遺伝子変異をターゲットにする「プレシジョン・メディシン(個別化医療)」の代表的な例と言えます。

これまでの標準的な抗がん剤では十分な効果が得られなかった患者さんにとって、この新薬の登場は非常に大きな希望となります。

ちなみに、臨床試験の結果はこちらです。

奏効率 32.1%

病勢コントロール率 75.0%

奏功期間 6.28か月

あと、明細胞がんで特定の遺伝子異常がある場合、免疫療法がすごく効くということも過去ブログに書きました。参考までに。

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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