乳がんホルモン療法の副作用について解説します

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

ホルモン陽性乳がんでは、術後の再発予防やステージ4の治療で、ホルモン療法を行います。

ホルモン療法の種類については、過去ブログを参照に

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そのホルモン治療の副作用には、以下のようなものがあります。

①ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)

ホルモン療法を行っていると、半分以上の方で更年期障害と同じホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗など)が起こります。ホットフラッシュの原因は、視床下部(脳)の過剰な働きと考えらています。視床下部は卵巣にエストロゲンを分泌するよう指令を出しています。エストロゲンがホルモン療法で抑えられたことで視床下部の働きが活発になるのですが、視床下部は体温の調整を司っていて、働きが急に活発になることで、身体が熱くなったり、顔がほてったり、急に汗が出たりという症状につながります。ホルモン療法開始後、数か月してから起こりやすく、自然に軽快することがほとんどです。

②生殖器の症状

性器出血や膣分泌物の増加、膣の乾燥、膣炎などが起こる場合があります。これらの症状が続く場合には、婦人科で相談する必要があります。ちなみに、タモキシフェンの服用は、閉経後の女性の場合、子宮体がんのリスクをわずかに上昇させます。ただ、タモキシフェンの乳がん再発抑制効果に比べると、そのリスクは小さいと考えます。

③血栓

タモキシフェンを服用していると、血液が固まりやすくなる傾向があります。水分摂取を心がけ、脱水にならないよう気を付けましょう。

④骨粗鬆症

エストロゲンは骨形成に対してプラスに働きます。閉経後にエストロゲンが低下すると骨粗しょう症にりやすくなります。LH-RHアゴニストやアロマターゼ阻害剤はエストロゲンを減少させ、骨密度の低下を招きます。これらの薬剤を使用している場合には、1、2年に一度は骨密を測定し、骨密度が低い場合には、骨密度を増加させる薬を内服します。あとは、太陽に当たってビタミンDを産生したり、適度な運動で骨に刺激を与えることも重要です。

⑤関節痛

アロマターゼ阻害薬を服用していると、関節痛が見られることがあります。通常は、朝のこわばりとして認められ、少し動かすことですぐに改善します。指の場合には、ばね指といって関節がロックする場合もあります。症状が強い場合には整形外科に相談します。改善がない場合や症状で日常生活に支障をきたすようならホルモン治療の変更も考慮します。関節症状は2か月以内に出現することが多いと言われています。

⑥精神症状

エストロゲンの低下により、気分の落ち込みイライラ・不眠などの症状が出ることがあります。症状がひどい場合には精神科に相談します。

⑦しみ・肌荒れ

エストロゲンの低下でコラーゲンが低下するため、しみ、肌荒れ、乾燥などが出やすくなります。

⑧記憶力の障害

化学療法やホルモン治療で、ケモブレインケモフォッグといって記憶力低下が見られるケースがあります。運動をすることが予防や軽減につながると言われています。

ホルモン療法は5年とか治療期間が長くなるため、副作用とも長期間付き合っていかなければなりません。

ただ、副作用に耐えられないような場合には、状況に応じて中止したり、治療薬を変更したりする必要があります。

ホルモン療法の副作用に対する質問はよくネット上でも見かけます。

先日の産経新聞がん電話相談にも、ホルモン療法の副作用での相談がありましたので、参考までに。

(画像をクリックするとリンクに飛びます)

ホルモン療法の副作用は、あまり我慢せずに医師や看護師、薬剤師に相談してください。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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