乳がんは日本で急増!原因やリスク、効果的予防法とは

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濱元誠栄院長

こんにちは。銀座みやこクリニック院長の濱元です。

今回は乳がんの発生リスクや予防法についてお話します。

目次

日本人の乳がんは増えている!その理由とは

最近「知り合いが乳がんになった」という話をよく耳にしませんか?

芸能人でも乳がんであることを公表人が増えていて、山田邦子さん、北斗晶さん、南果歩さん、麻木久仁子さん、残念ながらお亡くなりになった小林麻央さんなどが乳がんを公表されています。

一昔前はなかなか周りに乳がん患者さんがおらず、あまりそういった話も聞かなかったと思います。

実は今、日本人女性の9人にひとりが乳がんになると言われています。9人にひとりというと、ひとクラスの中で数人が乳がんになる計算になります。そう思うとめちゃくちゃ怖くないですか?

私が医者になった約20年前は20人にひとり、私の生まれた約50年前は50人にひとりでした。昔はクラスにひとりいるかいないかくらいだったんです。

ちなみに20年前はアメリカ人の9人にひとりが乳がんになると言われていたので、日本がそれに追い付いてきた感じです。

なぜそんなに乳がんが増えているのか?よく言われるのが欧米型の食生活。

肉や加工肉、乳製品、マヨネーズ、ジュースなどを多く摂る、欧米型の高脂肪・高カロリーの食事が乳がんのリスクを上げるとされています。

特にお肉と加工肉の摂り過ぎは日本人の乳がんの発症に大きく関わっていると考えられています。

これを裏付ける研究があります。日本に住んでいる日本人とハワイに住んでいる日本人の乳がんの発生率を調べたところ、ハワイ在住の日本人の方が乳がんの発生率が約3倍も高かったのです。

同じ日本人という人種でこれだけ差が出るということは、欧米型の食生活が乳がんの発症に大きく関わっている可能性があります。

次に肥満も乳がんのリスクになります。

55歳以上の女性の肥満指数BMIや体重を18歳の時のものと比較したところ、増加率が高い人ほど乳がんのリスクが高くなる傾向がありました。

なぜ肥満がリスクになるのか?それは何と女性ホルモンが関係しています。乳がん細胞を増殖させるのはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンです。このエストロゲンは卵巣で作られます。50歳前後になると卵巣の機能が低下してエストロゲンの量が激減する、いわゆる閉経という状態になります。

閉経する、つまりエストロゲンが減る、ということは乳がん細胞が増えなくなる。めでたしめでたし……ということにはならず、何と皮下脂肪から作られる酵素の作用で、新たなエストロゲンを作り出すようになります。

卵巣からエストロゲンが作られなくなっても他で作られるようになるので、結局乳がん細胞にとっては住みやすい環境というのは変わらないのです。

しかも肥満、つまり皮下脂肪が多い方がエストロゲンも多く作られるので、乳がん細胞を成長させやすい=リスクが高いということになります。

じゃあどれくらいの肥満なら危険かというと、BMI25以上の人でリスクが高くなります。BMIはネットで調べられますが、BMI25がどれくらいの肥満かというと、155cmで60kgです。150 cmで56kg、160cmで64kgが目安です。

他には生理が早かった人、閉経が遅い人、出産経験がない人もリスクが高いと考えられています。これらの人は、エストロゲンにさらされている期間が長いという特徴があります。

初めての生理、初潮は成長期にエストロゲンの分泌が増えることで起こります。それが早ければ早いほどエストロゲンに長くさらされることになります。

閉経はその逆で、遅くなればなるほどエストロゲンに長くさらされます。

妊娠期間中はエストロゲンを抑えるプロゲステロンが増えますし、産後しばらく授乳中はエストロゲンがかなり低下するので、妊娠回数が多い人ほどエストロゲンにさらされている期間が短くなってリスクが下がるとされています。

昔と比べて初潮年齢も 早く、閉経は遅くなり、かつ出産経験が減ったことも乳がんの増加につながっている可能性があります。

ちなみに乳がんの最近の増加には関係ないかもしれませんが、アルコールや喫煙も乳がんのリスクを高めると言われています。

お酒の場合のリスクを高める目安はビールだと1週間で350mlの缶ビール11本以上、日本酒では1週間で7合以上、ワイ ンではボトル2本以上となっています。

あと糖尿病の人はそうでない人と比 べて1.3倍乳がんになりやすいと言われているので、糖尿病も乳がんのリスクになります。

生理痛や避妊目的でピルを内服している人も乳がんのリスクが高くなります。5年以上内服している人でリスクが高まるのですが、問題はその確率です。

ピルを内服していると1万にひとりの割合で乳がんが増えると言われています。ただ9人にひとりが乳がんになる時代に1万人にひとりというわずかなリスクのために「乳がんが怖いから」と生理痛や避妊というメリットを諦めてしまうのは違う気がします。

乳がんになりやすい人のまとめ

  • 欧米型の食事、高脂肪
  • 高カロリー食が多い人・特に閉経後に肥満の人
  • 初潮が早い人
  • 閉経が遅い人
  • 出産経験のない人
  • お酒をよく飲む人
  • タバコを吸う人
  • 糖尿病のある人
  • ピルを内服している人(これは考えなくても良いです)

乳がんを減らすのに効果的な予防方法とは?

反対に乳がんのリスクを減らす代表的なものが運動です。

まったく運動しなかった人と週に数日はスポーツをする人で比べると、乳がんの発症率が3分の2に低下したという報告があります。

これは何もスポーツに限ったことではありません。肉体労働など体を使う仕事の人とデスクワークの人を比べた研究でも体を使う仕事の人の方が乳がんの発症率が低いと言われています。

特に閉経後の女性では運動することでリスクを下げる効果が高いです。

次に大豆製品をよく摂る人は乳がんの発症率が低いということが分かっています。

大豆と言えばイソフラボンが多く含まれて います。イソフラボンは女性ホルモンであるエストロゲンに似た構造をしているので以前は「乳がんを悪化させるのでは?」 と考えられていました。

しかし最近の研究で大豆のイソフラボンは乳がんの治療薬であるタモキシフェンと同じような構造をしていることが分かり、そのため乳がんの発症を予防する可能性があると言われています。

じゃあイソフラボンをたくさん摂れば乳がんになりにくいのでは? と考えてしまいそうですが、ここで注意が必要です。大豆製品に含まれているイソフラボンはかなり少量で、乳がんを予防する方向に働くのは間違いありません。

しかしサプリメントだとイソフラボンの量が多くなり過ぎてかえって乳がんを悪化させるのではないかと考かえられています。

ちょっとややこしいですが、大豆や大豆製品のからのイソフラボンは少量なので良い方向に、サプリメントだと大量摂取することで逆効果になる可能性があるということです。

リスクを下げる最後は、これまた意外なのですが乳製品!ただし低脂肪に限る!です。低脂肪乳や低脂肪ヨーグルトなどがこれに該当します。

生クリームやチーズなどは逆効果のようです。普通の牛乳に関してはリスクを上げることも下げることもなさそうです。

乳がんのリスクを下げるものまとめ

  • 運動(特に閉経後の人)
  • 大豆や大豆製品(サプリメントは不可)
  • 低脂肪の乳製品

リスクを上げるものに比べると少ないですが、少しだけでも意識してみましょう。

乳がんと遺伝の関係性

さてこれまでは生活習慣についてお話してきましたが、最後に遺伝の話をしたいと思います。

乳がん患者の10人に1人は遺伝的な要素が関係していると言われています。特に親や子、姉妹という近い身内に乳がん患者がいる人はそうでない人に比べて乳がんを発症する確率が2倍になります。

遺伝は避けることはできませんが、 遺伝的要素がある人がリスクの高い生活をしていると乳がんになる確率が跳ね上がります。

これまでリスクリスクとしつこく言ってきましたが、これだけ乳がんが増えてく ると誰でもなる可能性があります。

リスクは意識しつつ、定期的な検査で早期発見・早期治療に努めることが重要です。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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