これが危険!肺がんの初期症状と原因、咳のチェックと見分け方

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濱元誠栄院長

こんにちは。銀座みやこクリニック院長の濱元です。

今回のテーマは「この症状があれば肺がんを疑え」です。

「非喫煙者の肺がん」「無症状タイプの肺がんの危険性」「肺がんを疑うべき5つの症状」「肺がん を疑うべき咳の種類」「肺がんの早期発見のために絶対にやってもらいたい事」についてお話します。

目次

肺がん=タバコとは限らない

皆さんは咳が長く続いたり胸の奥が痛くなったりして「これって、もしかして肺がん?」と思った経験はありませんか?タバコを吸っていない人だとあまりそんな心配はしないかもしれませんが、実はタバコを吸っていない人でも結構肺がんになります。

国立がんセンターの調べでは、肺がんの原因がタバコであった患者の割合は男性で68%、女性ではたったの18%という結果でした。これはつまり、女性の肺がんの8割以上はタバコと関係ないということです。

なので「喫煙者じゃないから肺がんではない」と油断することはできません。

肺がん患者さんに「肺がんと診断された時に見られた症状はなんですか?」と尋ねたアンケートがあります。1番多かったのは咳で74%。これは多くの人が想像する通りだと思います。

でも次がなんと体重減少68%!咳などの肺の症状が全く無 く、体重が減ってきているということで検査したら肺がんが見つかったというケースも あります。

3番目は呼吸困難58%、4番目が胸痛49%、5番目血痰(血液の混じった痰です ね)29%という、いわゆる肺の症状が続きました。

また初発症状が脳転移による麻痺やけいれんというケースもあります。突然けいれんして、検査したら肺がんと脳転移が見つかったという患者さんを何例か見たことがあります。この方々も咳などの呼吸器症状はまったくありませんでした。

咳や呼吸困難などの肺の症状が全くない肺がんには「腺がん」と呼ばれる種類が多いのですが、この腺がんの割合が年々増えています。

また腺がんは 「40代などの若い人」「女性」「タバコを吸わない人」に多いという特徴があります。 一昔前の、肺がん=タバコ=高齢男性というイメージとは全然違いますよね。

症状の話に戻します。やはり肺がんで最も多い症状は咳なのですが、でも風邪や気管支炎、ちょっと喉の調子が悪いって時でも咳って出ますよね?じゃあ咳が出たら常に肺がんを疑いますか?疑いませんよね。

ということは、皆さん何となく頭の中で肺がんとそれ以外の咳を区別できているのだと思います。

肺がんを疑う咳の特徴

では医学的な観点からみた肺がんを疑うべき咳の特徴をお伝えします。

① 2週間以上続く

風邪など感染症の咳は、どんなに長くても2週間以内に治ります。なので、それ以上長引く場合には肺がんによる咳の可能性が出てきます。

② 徐々に悪化する

風邪や気管支炎などによる咳は少しずつでも必ず改善していきますので、そこが見分けるポイントです。コロナの後遺症で咳が1か月とか長引くことがありますが、それでも悪化はしていかないので区別できま す。

③ 鼻水や喉の痛み頭痛など、肺以外の症状がない

肺がんによる咳は痰が出る/痰がからむといった症状以外はあまり見られません。

④ 血痰が出る

血痰が出る人はそんなに多くは無いのですが、出たらほぼ間違いないと思った方が良いです。

大昔は長く続く咳と血痰が出たら肺結核を疑いましたが、現代では肺結核はほとんど見られないため、まずは肺がんを疑います。

肺がんで咳以外に起こり得る症状について

先ほど体重減少についてお話しました。「がんで体重が減った」というと難治性のがんである膵臓がんや痛みで食事が摂れなくなる胃がんを想像するかもしれません。

でも、なぜ肺がんで体重が減るのか?それは最近増えてきた症状が出ないタイプなど気付かないまま進行してしまった肺がんで、がんに栄養が奪われて痩せてしまうことが原因です。

ちなみにステージ4の肺がんでは約9割の患者さんに体重減少が見られると言われています。

3番目に多く見られた呼吸困難。具体的には①呼吸が浅い感じ、②努力しないと呼吸ができない③息が詰まる④胸が圧迫される、といった表現をします。他に「空気を欲する感じ」と表現する人もいます。

呼吸困難は肺がんが大きくなって気管支を圧迫することで空気の通り道が狭くなり呼吸がしにくくなる、胸水で肺が圧迫されて膨らまないなどが原因で起こります。

「空気の通り道が狭くなる」「肺が膨らまない」というイメージをすると、先ほどの表現になるのも分かる気がしますね。

胸痛は肺がんが肺を包んでいる胸膜や肋骨、神経にまで広がった時に起きます。つまり、かなり進行した状態ということです。

肺がんが背中側にある場合には背中の痛み、肩に近いところにある場合には肩の痛みとして感じることがあります。肺がんは骨に転移しやすいので、背中や肩の痛みは、背骨や肩の骨の転移によって起こること もあります。

今回お話ししている肺の症状は、基本的にはかなり進行してからしか出ません。しかも腺がんの場合にはかなり進行していても肺の症状が出ず、転移先の症状(麻 痺やけいれん、骨の痛みなど)が先にでることがあります。ですから症状が無いから肺がんは無いとは言えないのです。

肺がんを早期発見するために必要なこと

では無症状のうちから肺がんを見つけるためには どうすれば良いのでしょうか。これは定期的に肺の画像検査を行うしかありません。

一般的なのはレントゲンですが、それでもがんがある程度の大きさにならないと見つけることが きませんし、心臓の陰に隠れていると見つけにくいなど見逃しの問題もあります。

早期で見つけたいのであれば、やはりCT検査が必要です。

CT検査というと放射線の被ばくを気にする人がどうしても出てきます。最近では低線量CTと言って放射線の量をかなり抑えたCT検査もあります。低線量CTは通常のCTの1/10の放射線量しかなく、健康診断で行う胃のバリウム検査で被ばくする放射線量と同じくらいです。

数年に1回撮るくらいであれば、健康被害はほとんどないと言われています。

あと昔は喀痰検査といって痰の中にがん細胞がないかを調べる検査もありましたが、こちらもかなり進行してからしか引っかからないので、早期に見つけるにはCT一択だと思います。

今回のまとめ

★症状が出ないタイプの肺がん、腺がんが増えている。そのため転移による症状が先に出てくることがある。

★腺がんは非喫煙者、女性、若い人でもなり得る

★早期に肺がんを見つけたいならば非喫煙者で症状がなくても数年に1回CTを撮った方が良い

今の時代、タバコや年齢に関係なく誰でも肺がんになる可能性があります。「私は大丈夫」と油断せずに定期的な検査を行い、早期発見に努めましょう。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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