コーヒーはがんリスクやがん予防に関係、影響する!がん専門医が解説

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濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

今回のテーマは「コーヒーが、がんの発症を予防する」です。

「コーヒーのがん以外の健康効果」「コーヒーで予防できるがん」「なぜコーヒーが食後に飲まれるのか」をお伝えしていきます。

目次

コーヒーの成分や作用、健康効果について

コーヒーと健康についてネットで調べると「コーヒー 体に悪い」「コーヒー 体に良い」と両方の内容が出てきます。

コーヒーと健康を考えた際にまず浮かんでくるのは、カフェインによる作用かもしれません。カフェインの代表的な体への作用は以下の通りです。

  • 眠気を抑制する覚醒作用
  • 脳の興奮作用
  • 強心作用
  • 利尿作用

「眠気覚ましのコーヒー」という言葉があるくらい、覚醒作用については皆さんよくご存じだと思います。

大昔、夜通し礼拝をしていた修道院で、修道士の居眠り防止にコーヒー豆を煎じた物を飲んでいて「修道院の秘薬」と称されていたこともあったようです。

カフェインには脳を興奮させる作用があり、その結果、集中力を高めたり、疲労感を軽減させるといった効果があります。

スポーツ界では競技のパフォーマンスが高まるとして、多くのアスリートがカフェインを摂取しています。20年前まではドーピング薬物に指定されていたという歴史もあるくらい効果が高いです。

一方、強心作用はかなり弱いもので血圧が急上昇するというようなものではありません。利尿作用についてもトイレが近くはなりますが、脱水を起こすほど強い利尿作用はありません。

「コーヒーが体に悪い」と主張する記事に見ると、そのほとんどがカフェイン中毒についての話となっています。カフェインを大量に摂取すると、手のふるえ、動悸、頻脈、不整脈、不眠、不安、瞳孔散大、吐き気などの中毒症状が起こります。

最近、エナジードリンクと呼ばれるカフェインを大量に含む清涼飲料が流行しています。

コーヒーのような苦みがなく、程よい甘さと炭酸でゴクゴク飲めてしまうので、一気に大量摂取してカフェイン中毒になるケースが報告されています。コーヒーだけでなくエナジードリンクの飲み過ぎには注意しましょう。

コーヒーの健康効果に関わる重要な成分が抗酸化作用のあるポリフェノールです。皆さんは赤ワインで耳にしたことがある言葉かもしれません。

コーヒーにも赤ワインに匹敵するほどのポリフェノールが含まれています。

コーヒーのポリフェノールはクロロゲン酸と呼ばれ、食後に血糖値が上昇するのを抑える作用があります。他にも、抗酸化作用で活性酸素を減らしたり、悪玉コレステロールの増加を防いだりもします。

また、ポリフェノールもカフェインも胃酸の分泌を増やして消化を助ける作用があります。

空腹でコーヒーを飲むと胃が痛くなるという経験があるかもしれません。これは、胃が空っぽの状態で胃酸が増えて、胃の粘膜が刺激されることで痛みがでます。

日本人の大規模調査では、コーヒーを毎日飲む人は飲まない人に比べて心疾患や脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡率が低いという結果が出ています。

カフェインやポリフェノールによる効果なのか、他の成分も影響しているのかは不明ですが、コーヒーは健康にはプラスに働くようです。

ただし、1日5杯以上飲む人は死亡率が逆に上昇することがあるので要注意です。

コーヒーの健康効果まとめ

★食後の血糖値の上昇を抑える

★悪玉コレステロールの増加を防ぐ

★胃酸の分泌を増やして消化を助ける(ただし、空腹時には逆効果です)

★心臓や、脳血管、呼吸器の病気による死亡率を低下させる(ただし、1日5杯以上だと逆効果です)

コーヒーとがんの関係とは?

コーヒーが発症を減らすことが分かっているのは、肝臓がんと子宮体がん、女性の結腸がんの3つです。

コーヒーに含まれるポリフェノールの抗酸化作用で炎症による細胞のダメージが減り、がんになりにくいのではないかと考えられています。

カフェインを除いたデカフェのコーヒーでも同様の結果が見られたので、がん予防にはカフェインは関係なさそうです。

また、糖尿病患者はがんのリスクが高いのですが、コーヒーの食後血糖を抑える効果が、がん予防にもつながっている可能性はあります。

あと、コーヒーが男性で膵臓がんのリスクを減らすという研究がありますが、増やすという報告もあり、まだ結論は出ていません。

最新の研究では、口腔がん、咽頭がん、食道がんと言った、コーヒーの通り道となる臓器のがんを減らす可能性が指摘されていて、今後のさらなる研究結果が待たれます。

コーヒーでリスクが上がることがはっきりしている唯一のがんがあります。それが膀胱がんです。

コーヒーのカフェインが尿と一緒に膀胱に溜まると、膀胱の壁を刺激して膀胱がんが起きやすくなります。

ただ、“タバコを吸わない男性”でのみ膀胱がんのリスクが上がるとされています。

なぜ非喫煙者かというと、タバコに含まれるニコチンがカフェインを分解するため、同じ量のコーヒーを飲んでも非喫煙者の方が体内のカフェイン濃度が高くなるという理由です。

コーヒーとがんの関係まとめ

<リスクが下がるがん>
肝臓がん 子宮体がん 女性の結腸がん

<リスクが下がる可能性のあるがん>
男性の膵臓がん 口腔がん 咽頭がん 食道がん

<リスクが上がるがん>
タバコを吸わない男性の膀胱がん

「食後のコーヒー」の理由

最後に「なぜコーヒーが食後に飲まれるのか」というお話しをしたいと思います。

空腹時に飲むと胃が痛くなるからというだけではありません。ヨーロッパでは昼間から食事をしながらワインを嗜む習慣がありました。ただ、ワインでほろ酔い気分のままでは仕事に影響があるので〝酔いざまし〟の効果を期待してコーヒーを飲むようになったそうです。

日本にコーヒーが入ってきたのは西洋文化が導入された明治時代。「食後のコーヒー」 は最初から洋食とセットで登場していたと言われています。

コーヒーのカフェインは体内に留まっている時間が長く、血液中の濃度が半分になるまで6時間ほどかかると言われています。そのため夕食後に飲むと興奮してなかなか寝付けなかったり、イライラしたりすることがあります。

コーヒーの飲むタイミングとして、空腹時は胃に負担になりますが、夕食後も飲むのはNGです。朝食後や遅くても「おやつのあと」くらいまでにとどめておきたいですね。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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