
【OBP-702】膵臓がんの新しい局所ウイルス治療について


こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
2025年3月に岡山大学からこんな発表がありました。
膵臓がん患者の福音となるか!?新しいがん治療用ウイルス製剤OBP-702 第Ⅰ相臨床試験の準備開始


がんウイルス治療薬OBP-702が、局所進行膵臓がんの治療薬として治験が始まりました。
これまでウイルス治療薬は日本では1種類だけ承認されています。


岡山大学はこれまでもオンコリスバイオファーマ株式会社と共同で、ウイルス治療薬を開発してきました。
第一世代と呼ばれるテロメライシン(OBP-301)はすでに臨床研究が始まっており、2025年1月には第1相試験の結果がでました。
オンコリス、食道がんへのテロメライシン+化学放射線療法の米国医師主導第1相で好結果
この第一世代のウイルス治療薬にがん抑制遺伝子であるp53を組み込んだのが、第二世代ウイルス治療薬OBP-702です。
動物実験では、テロメライシンでは効果が見られなかった難治性の膵臓がんや胃がんの腹膜播種に対しても、OBP-702は効果を発揮したようです。
今回の臨床試験は、標準治療薬(ゲムシタビン+アブラキサン)の効果が乏しくなった膵臓がん患者を対象に、胃カメラで胃の壁越しに膵臓がんに直接針を刺してOBP-702の投与を行い、その安全性と有効性を検証するというものです。
こちらに分かりやすい図が載っていました。
膵臓がん新薬承認目指し臨床試験へ 岡山大・黒田講師らグループ、独自開発したウイルス製剤で


臨床試験の実施は岡山大学病院と愛媛大学医学部附属病院の2施設でしか行われないので、多くの人がマッチする訳ではないですが、どのような結果になるか楽しみです。
ちなみに、この治療法は 腫瘍溶解ウイルスを用いた遺伝子治療 と呼ばれ、腫瘍溶解ウイルス療法とも言われます。
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