【FUT遺伝子】膵臓がんコンバージョン手術に新しい指標が!

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

膵臓がんにこんなニュースがありました。

膵臓がん手術に新指標 富大などのグループ開発 遺伝子タイプに着目

詳細は名古屋大学のプレスリリースで説明されています。

腫瘍マーカー遺伝子モデルの開発 ~進行すい臓がん患者に適切な手術の指標を~

膵臓がんは診断時にはかなり進行していて、手術ができないことがほとんどです。

そんな中でも、抗がん剤(±放射線治療)がよく効いて、手術できるようになるケースがあります。

抗がん剤等で手術不可→可能になった際に、根治を目的に行う手術をコンバージョン手術と言います。

膵臓がんの場合は、コンバージョン手術を行っても再発することが多く、かえって寿命を縮めてしまう可能性もあり、手術して良いのかどうか見極めが難しいです。

4月に行われた日本外科学会での講演では、がん研有明病院の先生がABCD基準というのを提案していました。

ABCDの4つの項目を満たした場合に、コンバージョン手術を行うと指標になります。

ABCD基準

  • A:腫瘍縮小
  • B:CA19-9正常
  • C:modified Glassgow Score 0
  • D:6-8か月以上の治療期間

この基準に対して、名古屋大学から新たな指標の提案がありました。

それが最初に挙げたFUT遺伝子も加えた指標です。

詳細は省きますが、

名古屋大学が提案する指標は、腫瘍マーカー(CA19-9、DUPAN-2)とFUT遺伝子異常を掛け合わせて判断します。

というのも、先のABCD基準でCA19-9正常化にこだわると、落とし穴に陥る可能性があるからです。

<落とし穴その①>

CA19-9がもともと上がらない人がいる。

CA19-9を体内で合成できずに、どんなに膵臓がんが進行してもCA19-9が正常値のままという人が1割弱います(FUT遺伝子関係しています)。

その場合は、CA19-9の値が正常でも指標としては使いにくいです。

<落とし穴その②

CA19-9が正常化しなくても、コンバージョン手術で長期生存する人がいる。

CA19-9は膵臓がん以外でも高くなるため、どんなに膵臓がんが良くなっても正常化しないケースがあります。

子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫など婦人科系の良性腫瘍でも、CA19-9はよく高値に出ます。

名古屋大学は開発した指標(TMGM)だと、CA19-9だけでなく、DUPAN-2という膵臓に特異的な腫瘍マーカーと、FUT遺伝子異常をかけ合わせることで、高い確率で手術して良い症例を予測することができます。

現在特許出願中で、安価で早くできるようになれば、かなり役立つと思います。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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