脳腫瘍の危険な初期症状(頭痛・嘔吐・目まい)の見分け方とは?セルフチェック方法も解説
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こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
本日のテーマは「この症状があったら脳腫瘍を疑え!脳腫瘍のセルフチェック方法」です。
「脳腫瘍の症状」「脳腫瘍を自分でチェックする方法」「小児の脳腫瘍」「脳腫瘍でよくある質問」などについてお話していきます。
脳腫瘍=「助からない病気」ではありません
脳腫瘍というと「怖い病気で助からない」というイメージを持たれている方が多いです。これは脳腫瘍で亡くなる主人公をテーマにしたテレビドラマや映画の影響なのかもしれません。
でも実際は手術や放射線治療で完治してしまう例も少なくありません。例えば関ジャニ∞の安田章大さん、ガンバレルーヤのよしこさんといった有名人の方々は脳腫瘍を克服され、現在も活動されています。
脳腫瘍になったドラマや映画の主人公は若い世代が多いですが、脳腫瘍は0歳から80代まで幅広い年齢層で見られます。ただ、小児で見てみると小児腫瘍の中で白血病に次いで二番目に多いです。
脳腫瘍は頭の中、硬い頭蓋骨の中にできる腫瘍のことを指します。脳実質、脳そのものにできた腫瘍だけでなく、脳を包む髄膜にできた腫瘍(髄膜腫)も脳腫瘍の仲間に入ります。
脳腫瘍には良性と悪性があり、脳実質にできた腫瘍は悪性、髄膜にできた腫瘍は良性であることが多いです。
脳腫瘍の初期症状、代表的な症状とは
脳腫瘍は多くの場合、サインとなる症状が初期から現れます。良性でも悪性でも違いはなく同じような症状が出ます。
強く脳腫瘍を疑う症状は3つです。
①起床時の頭痛
初期では2割、進行すると8割の患者さんで頭痛が見られます。脳腫瘍の症状は硬い頭蓋骨内で脳の圧力が高まることで起こります。
脳腫瘍では睡眠中、横になっている間に脳圧が高まり朝起きた時に頭痛が見られます。起床時の頭痛は、副鼻腔炎や片頭痛、睡眠中の姿勢の悪さでも起こることがあります。
脳腫瘍による朝の頭痛の特徴は「朝が一番強く日中は軽くなっていく」「痛みの強さが日に日に強くなっていくこと」で、他の起床時頭痛と見分けることができます
②原因不明のおう吐
脳腫瘍で脳圧が高まると、突然噴射するように勢いよくおう吐することがあります。起床後に突然おう吐したら脳腫瘍による症状を疑います。
③目が見えにくくなる
脳腫瘍が大きくなると視神経(目の神経)が圧迫されて目の症状が出ます。具体的には物が二重に見える、物がかすむ、視野で見えないところがある(視野が欠ける)といった感じです。
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他にも、腫瘍ができた場所によって出る症状があります。片方の手足や顔半分のしびれやマヒ。顔のマヒに伴ってろれつが回らなくなる。失語症といって「話す」「聴く」「読む」「書く」ができなくなることもあります。
具体的には、言おうとしても言葉が出なくなる、文字や文が読めない、文字を書こうと思っても文字が思い出せない、といった感じです。
小脳にできた場合には、強いめまいが起こったり、マヒが無いにも関わらず、まっすぐ歩けなかったりふらついたりする症状が出ます。
また下垂体というホルモンを司る場所にできた場合には、男性では乳房が大きくなる、性欲低下やEDといった症状が、女性では無月経や乳汁分泌などの症状が見られます。
このように多彩な症状が見られますが、脳腫瘍に共通して見られるのは初めに挙げた「起床時の頭痛」「原因不明の嘔吐」「目が見えにくくなる」の3つです。
これらは脳卒中でも見られることがありますが、その場合には急に起こります。脳腫瘍による症状は徐々に悪化していくので見分けることができます。
ただ、脳腫瘍によるてんかん(全身のけいれん)の症状だけは突然起こるので、CTやMRIで調べないと見分けがつきません。
脳腫瘍の症状のまとめです。
★起床時の嘔吐
★突然の嘔吐(朝に多い)
★目が見えにくくなる
★片方の顔や手足のマヒ・しびれ
★ろれつが回らなくなる
★話す・聴く・読む・書くができなくなる
★まっすぐ歩けなくなる
★男性の女性化乳房、女性の無月経などホルモン異常による症状
★てんかん
これらの症状は早期から見られることがあるので、一つでも当てはまる場合には病院を受診しCTやMRIで脳のチェックをしてください。
自分でできる!脳腫瘍の簡易検査方法
脳腫瘍による症状が強く出てくる前に、自分で簡単に調べる方法があります。国立がんセンターのHPでも紹介されている方法です。
両上肢挙上試験
手のひらを上に向けたまま両腕を水平まで持ちあげ、しばらくその状態をキープしてもらいます。脳に異常があると、片方の腕が内側を向いて下がっていきます。
片足立ち試験
交互に片足立ちを行い、どちらか一方でふらついたりしてきちんと立つことができなかったら脳の異常を疑います。安全な場所で行い、ふらついて転ばないよう誰かに支えてもらうなど注意してください。
指鼻試験
真横にまっすぐ伸ばした人差し指の指先を、交互に鼻の頭に押し付けます。小脳に異常がある場合には、指先が鼻の頭からずれてしまいます。
これらの試験は目を閉じて行うとより異常が強く出ます。これらの試験で一つでも異常があれば、すぐに脳神経内科や脳神経外科を受診して、脳に異常がないか調べてください。
先に挙げた症状で病院を受診しても、頭痛やおう吐などは、よくある症状として様子見になるかもしれません。脳腫瘍による症状の場合には、基本的に良くなることはないので、長く続くようなら必ず再受診してください。
あと、小児の脳腫瘍の場合には大人よりも頭蓋骨が小さく、早くから症状が出ます。
ただ小さな子供の場合には症状を訴えることができず異常に気付きにくいという特徴があります。例えば室内を歩いていてよく壁にぶつかるということで脳腫瘍が見つかることもあります。
片目が見えなくなっても、もう片方で見えれば子供は特に訴えないのですが、見えない側の壁に良くぶつかることで気付かれた、という訳です。また、小児科や眼科、耳鼻科などを受診して、半年かかってやっと診断が付いたという例もあります。
大人でも子供でも「何かおかしいな」と感じたら脳腫瘍を一度は疑い、検査を行ってください。
よくある質問
- 頭痛がした時に近所の内科に行っていますが、脳外科の方がよいですか?
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片頭痛などは内科でも大丈夫ですが、それでも一度は脳神経内科や脳神経外科で診てもらった方が良いと思います
- ストレスが原因で、脳腫瘍のような症状がでることはありますか?
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ストレスが引き金となって頭痛や吐き気が起こることがあります。ストレスだと思っていても、一度は脳を調べてみても良いと思います。
- 最近親がボケてきたような気がします。脳腫瘍を疑った方が良いでしょうか?
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高齢者の場合には、認知症や脳卒中を疑った方が良いと思います。いずれにせよ一度はCTなどで脳の状態を調べた方が良いと思います。
- 脳腫瘍は“がん”なのでしょうか?
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良性の脳腫瘍と悪性の脳腫瘍があって、悪性の場合にはがんだと言えます。ただ、“脳がん”という表現は使わず、悪性脳腫瘍と呼びます。
- 頭のCTを撮ると、放射線で将来がんになるのでしょうか?
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年に数回CTを取っても、将来がんになるような心配はありません。
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