抗がん剤の副作用による下痢にどう対応するか?

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

抗がん剤の副作用の一つに、下痢があります

ただ、すべての抗がん剤で起こる訳ではなく、特に起こりやすい抗がん剤というのがあります

沢井製薬の副作用のマネジメントに詳しく書かれています

もっとも有名なのが、イリノテカンによる下痢です

イリノテカンは、大腸がんのFOLFIRIを代表として、胃がん、膵臓がん、乳がん、肺がん、子宮頸がん、卵巣がんなどでも使われます

UGT1A1という遺伝子の状態で副作用のリスクが変わり、副作用が強く出るタイプだとイリノテカンが使用不可になることもあります

免疫チェックポイント阻害薬が多く使用されるようになってから、免疫チェックポイント阻害薬による遅発性の下痢も見られるようになってきました

下痢の治療方針は、先ほどの沢井製薬のHPに詳しく書かれています

早発性の下痢には、主にブスコパンとなどの抗コリン薬で、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣などを抑えます

遅発性の下痢に対しては、ロペミン(ロペラミド)が良く用いられ、コデインなどの麻薬を併用することもあります

ただ、ロペミンの日本の適応量は1‐2㎎とかなり少なく、その量では抗がん剤による下痢のコントロールは難しいです

ただ、こちらのSNSで言っているような24㎎だと保険適応外になり、病院では許可されません

適応外で24㎎投与を許可する嘆願書も提出されていますが、承認にはいたっていません

キイトルーダで下痢になった患者さんも、ロペラミド1㎎/日しか処方されなかったということで、全く下痢が止まらずに苦労されていました

ジェネリックのロペラミドは安価な薬剤なので、自費での処方でもそこまで負担はないのですが、適応外で処方してくれる病院はほとんどありません

こういった時に、保険診療の制約はなかなか厳しいものがあります

タンニン酸アルブミン

次硝酸ビスマス

アドソルビン

など、昔からある安価な収れん薬や吸着薬を併用しながらしのぐしかありません

コデインやモルヒネなどは麻薬製剤なので使いたがらない医師も多いのですが、同じコデインでもコデインリン酸塩散1%は非麻薬製剤扱いなので処方しやすいのです

こちらも安価な薬剤です

保険適応となっていて古くからある上記の薬剤を併用して、なんとかコントロールするしかないですが、ロペラミドの拡大使用の方が早い感じがします

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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