がん専門医が在宅医療を選ぶポイントを教えます!

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

病院で抗がん剤治療などを終えた後は、緩和医療に移行します

緩和医療を受けられる場所として、緩和ケア病棟やホスピス、最近増えているのが自宅です

でも、

・自宅でちゃんとした医療が受けられるの?

・病院の方が安心じゃ、、、

・家族で面倒を見られるの??

といった不安に感じる声も少なくありません

確かに、病院に比べるとできることは少なくなりますが、在宅の最大のメリットはご家族と過ごすことができる時間です

その時間を有意義なものにするために、きちんとした在宅医療(訪問診療医)を選ぶことが重要です

もちろん、医療だけでなく訪問看護や訪問介護の力を借りなければなりませんが、それらはどこを選んでも大差はありません

理想の在宅医療は、病院並みの緩和ケアができるところです

例えば、私の先輩で元救急医がやっている訪問診療クリニックでは、在宅でここまでやってくれます

すごくないですか?

ここまでできる在宅医療なら、病院いらないです

というか、病院でもここまでできないところもたくさんあります、、、

末期がん患者さんでよく問題となるのが

・胸水や腹水のコントロール

・疼痛コントロール

・輸血

です

腹水を抜くために朝から病院を受診して、何時間も待たされて、やっと抜いてもらい夕方に帰宅というのが通常のパターンですが、それが在宅でできるんです

しかもCART(腹水濾過濃縮再静注)までやってくれます

CARTとは

旭化成メディカル株式会社HPより

CARTはほとんどの病院でできないし、腹水抜くだけでも入院になったり、何なら「腹水を抜くと死期が早まる」という誤ったことを言う医師までいます

CARTを在宅で行えるようになると、生活の質が大きく変わります

疼痛コントロールも、モルヒネの量を自己調整できるPCAポンプまで導入してくれる施設はありがたいですね

PCAポンプは病院でもなかなかやってくれないですし(最近は増えてきました)、在宅での疼痛コントロールってうまくできていない医師が多い印象があります

在宅だと長時間作用型の麻薬(オキシコンチン・MSコンチン・ナルサスなど)を内服しながら、即効性のある麻薬(オキノーム・オプソ・ナルラピドなど)を使ってコントロールするか、フェントステープなどの貼付剤を使ってコントロールするかどちらかになりがちです

内服や外用剤だと、意外とコントロールが難しいのですが、PCAポンプがあれば自分で麻薬の量を調整できるので非常に楽です(呼吸抑制の問題はありますが)

最後に、輸血ができる在宅医療は本当に貴重です

がん患者さんはただでさえ貧血が多いのですが、胃や大腸など消化器のがんだと、命にかかわるくらいの貧血になることが多いです

貧血がかなり進むと、心不全状態になって、息苦しかったり足のむくみが強く出たりして、自宅での生活の質が下がります

生活の質の改善のためには、輸血をして欲しいケースがたくさんあるのですが、病院ではなかなかやってくれません

特に高齢者の場合には間違いなく輸血を断られます

高齢者の末期がんに輸血をしても、生命予後が変わるというエビデンスはない

そう言われて、こちらで紹介状まで書いて病院に行ってもらったのに、断られて帰ってきた患者さんが何人かいます…

余命が決まっている人よりは、手術など緊急で必要な人のために残しておきたいと言われたこともあります

最期の時を自宅で過ごすというのは、私は理想的だと思います

ただ、結局は多くの在宅診療が麻薬を処方する以外は大してなにもできず、末期がん患者を手放したい病院はフォローしてくれず、ホスピスも入れないという現状では、難しいかな…

先に挙げたような

・胸水や腹水ドレナージ

・輸血

などができる在宅診療が近くにあるのであれば、話は別ですよ!

ご本人や家族が終末期で、最期は自宅でという方は、上記2つが可能な在宅医療を選ぶのが良いと思います

でも、なかなかないんですけどね、、、

それらが無い場合には、医師の経歴をしっかり見てください

がん患者をあまり見たことが無い科の医師、例えば精神科医が訪問診療クリニックを開業していてというケースもあります

所属医師を紹介していないようなクリニックもあります

訪問診療が儲かるからと、臨床経験の少ない医師が開業しているケースもあるので注意が必要です

医師の顔と経歴がきちんとホームページに掲載されているというのは最低条件です

その上で、がん診療の経験が豊富でない医師が中心のクリニックは避けた方が無難です

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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