
すい臓がんの初期症状や原因、意外な危険サイン。早期発見に有効な検査とは?
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こんにちは。銀座みやこクリニックの濱元です。
今回のテーマは「膵臓がんを疑う初期症状と意外な危険サイン。早期発見のためにできること」です。
「膵臓がんのリスク」「膵臓がんを疑うべき症状」「膵臓がんを見つけるための検査」などを解説していきます。
膵臓がんとは


膵臓がんは発見や治療が難しく生存率が極めて低いことから「がんの王様」と言われています。
膵臓がんの患者数は年々増えていて(この20年で2倍)、今では男性で6位、女性では5位となっています。2019年のデータでは43800人が膵臓がんと診断され、37600人が膵臓がんで亡くなっていますので、単純に計算すると膵臓がんと診断された人の約85%が亡くなっていることになります。
膵臓がんは初期であるステージ1でも5年生存率が40%ほどしかなく、ステージ4になると5年生存率1.8%というかなり厳しい生存率となっています。
診断が付いた段階で手術ができるのはわずか20%ほどで、手術で完全に取り切っても半数以上が再発し、5年生存率は40%ほどしかありません。
膵臓がんを公表した有名人に、大相撲の九重親方、元プロ野球の星野仙一さん、女優の八千草薫さん、アップルの創始者スティーブ・ジョブズさんなどがいますが、全員膵臓がんで亡くなっています。やはり厳しいがんだと言えます。
膵臓がんのリスク
膵臓がんで最もリスクが高いと考えられているのが家族歴です。


膵臓がん患者の10~20人に1人は親兄弟や子に膵臓がんがいるとされています。また親兄弟に膵臓がんが3人以上いる場合には、通常の人と比べて膵臓がんのリスクが32倍に跳ね上がります。
身内に膵臓がんが多い理由としては、BRCAなど膵臓がんに多く見られる遺伝子異常が遺伝するからだと考えられています。またBRCA遺伝子異常は、膵臓がん以外で胃がん、卵巣がん、大腸がん、乳がん、肺がんなどでも見られ、これらの家族歴がある人も、膵臓がんのリスクが高いと考えられています。
次に生活習慣病もリスク要因です。中でも長年、糖尿病を患っている人は膵臓がんになるリスクが約2倍となっています。


糖尿病自体が膵臓がんのリスクですが、膵臓がんが原因で糖尿病になることもあります。
膵臓の細胞には血糖値を下げるインスリンを分泌する働きがあります。がんが進行して膵臓の細胞が大量に壊れてしまうとインスリンを分泌できなくなり、糖尿病を発症することがあります。
これまで健康診断で糖尿病に関しては何も言われていなかった人が、ある年に急に糖尿病になって調べたら膵臓がんだったということは少なくありません。
他にも肥満の人もリスクが高くなります。


特に若い男性の肥満ほどリスクが高くなるとされています。タバコも膵臓がんのリスクと大いに関係があります。特に1日40本以上吸う人は、膵臓がんのリスクが3倍に上がります。
膵臓の病気もリスクになります。慢性的に膵臓の炎症が起きている状態、慢性膵炎の場合には、膵臓がんのリスクが10倍以上になります。慢性膵炎の原因は主に大量飲酒です。


また、家系的に慢性膵炎を発症するケースがあり遺伝性膵炎と呼ばれます。遺伝性膵炎は、膵臓がんのリスクが60-80倍に上がるとされており、若くして膵臓がんになることがあります。
他には、ちょっと専門的にはなりますが膵膿疱(すいのうほう)といって液体のたまった袋ができる病気やIPMNという膵臓の良性腫瘍が見られる人も膵臓がんになるリスクが高まります。
膵臓以外では胆石のある人、B型、C型肝炎ウイルスに感染している人、胃がんの原因として知られているピロリ菌に感染している人も膵臓がんのリスクが高まると言われています。
そして、なんと血液型もリスクになります!


最も膵臓がんになりにくいのはO型の人です。
O型に比べて、A型は1.3倍、AB型は1.5倍、そして何とB型は1.7倍のリスクがあるということが分かっています。



まさかO型以外が膵臓がんになりやすいなんてビックリですよね。
膵臓がんのリスクが高い人について以下にまとめます。
★身内に膵臓がんがいる人
★糖尿病の人、特に急に糖尿病になったという人は膵臓がんを疑ってください
★肥満の人、特に若い男性の肥満で高くなります
★タバコを吸う人、1日40本以上吸う人はさらにリスクが高まります
★膵臓の病気がある人
★胆石、B型、C型肝炎ウイルス感染、ピロリ菌感染のある人
★血液型がO型以外の人
膵臓がんで見られる症状


初期の膵臓がんで症状が見られることはまずありません。基本的には進行してから症状が出ます。
膵臓がんの症状で最も多いのは腹痛で80%の人で見られます。膵臓がんの4人に1人は診断される半年前から腹部の重苦しさ張り感を感じるというデータもあります。
膵臓はみぞおちからお腹の左横にかけて延びている臓器で、ちょうど胃の真裏に位置するので、胃の症状と勘違いされてしまうことがよくあります。
胃がんとの大きな違いは、膵臓がんは胃よりも背中側に位置するため、胃がんでは見られない背中の痛みが出てくることです。実際、診断時に膵臓がんの2人に1人は背中の痛みを訴えています。
次に多いのが食欲低下です。腹痛などで食欲がなくなるだけでなく、消化液である膵液の分泌が減って、脂肪分の消化や吸収が悪くなることで食欲が低下すると考えられています。脂肪分の吸収が悪くなると便の中に脂肪分が多く含まれるようになり、白っぽく脂の浮いた脂肪便が出るようになります。
もう一つは体重減少です。がん細胞に栄養が取られるのはもちろん、腹痛や食欲低下も相まって痩せていきます。膵臓がんはがんの中で最も体重減少率が高く、半年で10%以上の体重減少が見られます。
膵臓は横長の臓器で、がんができる場所によっても症状が異なります。膵頭部は肝臓や胆のうに近いので、このあたりにがんができると胆管という胆汁の通り道を塞いでしまい、比較的早い段階から黄疸が出ます。反対に膵尾部は進行しても黄疸が出ることはありません。
膵臓がんの症状を以下にまとめます。
★腹痛ーみぞおちより左側で起き、進行すると背中も痛くなります
★お腹の重苦しさや張った感じー診断される半年前から見られます
★体重減少ー半年で10%以上体重が減ったら要注意です
★食欲低下
★脂肪便ー白っぽく、脂が浮いたような便が見られます
★黄疸ー膵頭部にできた時のみ見られます
膵臓がんの検査


膵臓がんを症状が出る前に見つけるためには、定期的に人間ドック等で検査をするしかありません。
画像検査には腹部エコー検査、CT検査、MRI検査があります。膵臓は胃の裏側にあり大腸ガスなども邪魔をするのでエコー検査は見逃してしまうことがあります。またCT検査も造影剤を使わなければがんを映し出すのが難しいです。
最も有用なのがMRI検査です。膵臓のMRI検査は造影剤も使わないし被ばくの心配もないので膵臓がんのリスクが高い人や腹部症状が心配な人は積極的に検査して欲しいと思います。
膵臓がんドックを行っている病院もあるので、少しでも心配な人はぜひ検査を受けてください。



私も昨年受けてみましたが、30分ほど横になって撮影するだけの楽な検査でした。
膵臓がんドックでは主にMRIでの検査となりますが、病院によっては先端にエコーが付いた胃カメラで、胃の裏側にある膵臓を調べる検査を行います。
膵臓がんは家族歴など少しでもリスクがある人は定期的に検査を行ってください。進行して症状が出てから見つかった場合には治る可能性はかなり低くなります。超早期発見に努めましょう。
コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは
今年母親を膵臓癌で亡くしました。80歳で発覚して、7か月の闘病生活でした。体質から抗がん剤治療は出来ませんでした。家族には膵臓癌患者は居ないし、原因とされてる要因は全くありません。なぜこんな年齢になって発症するのですか?もともとあった癌の素がコロナワクチンのせいで活性化したと言う人もいます。余りにも思いがけない病で今だに納得いかないと言うか訳が分かりません。全く膵臓癌と縁のない人間が癌になってしまうのは何故ですか?原因不明と言われてますが、何でも良いから少しでも原因が知りたいです。もし可能であれば教えて頂けると有難いです。よろしくお願い致します。
ご質問ありがとうございます。
多くのがんは遺伝子の異常が原因で起こります。タバコや放射線などは、遺伝子を傷つけて異常を起こすので、がんになる確率が高くなります。また、高齢になればなるほど、遺伝子の異常が起きやすくなり、がんを発症する人が増えてきます。遺伝や生活習慣などのリスクが無くても、加齢によるリスクは誰でも持っています。
つまり、高齢になれば誰でも、どんながんでも発症する可能性があるということです。