【骨腫瘍】「悪化するほど効く」最新のがんウイルス治療とは?

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

こんなニュースがありました。

「悪化すればするほど効く」ウイルスを使った最新がん治療とは? 鹿児島大学が研究紹介

この記事だけでは、どんな治療家が全く分からないので、研究内容を調べてみました。

2022年に発表されたプレスリリースより

世界初、悪性骨腫瘍に対する承認(実用化)を目指した、腫瘍溶解性ウイルスの第Ⅱ相医師主導治験(多施設共同)を開始

この治療法が従来の腫瘍溶解型ウイルスとの違いはこちら。

①サバイビン遺伝子がターゲット

がん細胞にサバイビンタンパクは正常細胞では産生されず、がん細胞で多く産生されています。また、がんの悪性度が高いとサバイビンがより多く産生されるという特徴があります。そのサバイビン遺伝子を腫瘍溶解ウイルスに組み込むことで、腫瘍細胞内でウイルスの増殖が始まるようにしています。

①他因子制御された増殖型アデノウィルスベクター

腫瘍溶解ウイルス療法は、脳腫瘍(膠芽腫)に対して2021年に日本で承認されています。その

もともと細胞が死ぬのを抑える機能を持つ遺伝子の1つとして発見されたサバイビン(Survivin)遺伝子は、その後の研究でがんのマーカーであると分かった。つまり、ほとんどの種類のがんはサバイビンと呼ばれるたんぱく質を多量産生しているのに対し、正常の細胞ではほとんど産生していない。さらに、がん患者でのサバイビンの量は、がんの悪性度や患者の予後とよく相関することも分かった。
 本研究開発ではサバイビンはがん細胞のみで特異的に異常産生されているという特性に注目し、サバイビン遺伝子のプロモーター部分(細胞の種類や状態で遺伝子の量を決めて、遺伝子の量をコントロールしている部分)を、m-CRAのウイルスの増殖開始を決める最初のスイッチに使った。そのために、このサバイビン反応性m-CRA(Surv.m-CRA)は、がん細胞の中だけでスイッチが入ってウイルスの増殖が起こることでがん細胞を次々に殺していき、その一方で正常の細胞の中ではそのスイッチが入らないためにウイルスは増えずに安全という、がんだけを見つけ出しては殺して治療していく理想的な医薬といえる

腫瘍溶解ウイルスと言えば、先日膵臓がんに対する治験も始まっていましたね。

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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