肝臓がんの原因と症状とは?脂肪肝の「危険サイン」に気をつけよう!

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濱元誠栄院長

こんにちは。銀座みやこクリニック院長の濱元です。

本日は「肝臓がんは健康診断のここをチェックしよう!」をテーマに解説させて頂きます。

目次

肝臓がんの原因と症状とは?

肝臓は「沈黙の臓器」と言われていて、肝臓にがんができてもまず症状は出ません。

末期まで行くと黄疸といって白目の部分や皮膚が黄色くなってきたり、腹痛やお腹が張ったりしますが、それまでは無症状で進行していきます。ただ肝臓がんになる前の段階を健康診断で見つけることができます。

肝臓がんの原因と言えば、昔はB型肝炎ウイルス感染C型肝炎ウイルス感染がほとんどでした。これらの肝炎ウイルス感染は、輸血や集団予防接種での注射針の使い回し、刺青・タトゥーや覚せい剤での針の使い回しなどで起きていました。

輸血の際にB型肝炎ウイルスをチェックするようになったのが1972年からで、C型肝炎ウイルスに関しては 1989年からです。それよりも前に輸血をした人は、肝炎ウイルスに感染している可能性があります。

また、子供の集団予防接種では1987年まで予防接種の針の使い回しが行われていました。若い世代の方は知らないと思いますが、私が小学生の頃は集団予防接種というのが行われていました。学校の保健室や体育館で、結核のツベルクリン反応検査やインフルエンザのワクチン接種が行われていたんですね。その時に、実は針を変えずに打っていたんです。

前の子が肝炎ウイルスを持っていたら、次の人やその次くらいまでは感染する可能性があったということです。恐ろしいですよね。テレビCMなどでよく流れていますが、この時期に行われた集団接種で肝炎ウイルスに感染した方は国から給付金が出ます。

肝炎ウイルスに感染してから肝臓がんになるまで10年から30年かかります。 針の使い回しが終わったのが1987年で、輸血の際にC型肝炎ウイルスを調べるようになったのが1989年で今が2023年なので、ここ34年間は輸血や予防接種で肝炎ウイルスに感染した人はいないということになります。

ただ刺青、タトゥーや覚せい剤などでの針や注射器の使い回しは最近まであったようなので、完全には無くなっていません。

肝炎ウイルスの予防だけでなく治療法も進んだため、たとえ肝炎ウイルスに感染しても早期でウイルスの治療をしてしまえば完治して肝臓がんまで進むことはなくなりました。

アルコールを原因とする肝臓がん

しかし、肝炎ウイルスによる肝臓がんが減ってきたのと対照的に、ウイルス性以外の肝臓がんがどんどん増えてきています。

ウイルス性以外の肝臓がんと言えばどんなものがあるでしょう? アルコールによるものがすぐに思い浮かぶかもしれません。

アルコールで肝機能が悪化すると肝硬変になり、最終的に肝臓がんになってしまうというものです。

アルコールが原因の肝臓がんは増えて年々増えてきています。 新型コロナウイルスが流行したここ数年、自宅で飲むようになり飲酒量が増えたというデータがあるので、今後ますます増えていくかもしれません。

ちなみに日本では肝臓がんの原因の10-15%がアルコールによるものだと言われていますが、欧米では30-40%、ドイツではなんと50%、肝臓がんの原因の約半分がアルコールとなっています。

脂肪肝による肝臓がんが増えている

ここからが今日の本題です。実は原因が肝炎ウイルスでもアルコールでもない肝臓がんが増えてきています。

このタイプの肝臓がんはまず脂肪肝になり、それから肝硬変、肝臓がんと進むのですが、大元となる脂肪肝になる人が年々増えています。

皆さんは大してお酒を飲むわけでは無いのに健康診断や人間ドックで脂肪肝だと言われた経験はありませ んか?アルコールが原因ではない脂肪肝、「非アルコール性脂肪肝」といいますが、30歳以上の男性の約4割は非アルコール性脂肪肝だと言われています。

アルコールを飲まない人の場合は脂肪肝の原因は「食べ過ぎ」「運動不足」です。糖と脂の組み合わせは最高に美味しいのですが、とり過ぎると体内で代謝できなくなって肝臓に脂肪として蓄えられてしまいます。

女性の場合には閉経すると女性ホルモンが急激に低下し、コレステロールや中性脂肪を体にためやすくなります。そうなると皮下脂肪だけでなく肝臓にも脂肪がたまるようになり、脂肪肝になりやすくなります。

男性が30歳から脂肪肝が増えるのに対して、女性は50歳を超えてから急に脂肪肝が多くなります。30代40代の女性だと10%ほどなのに対して、50代では20%、60代では30%以上の人が脂肪肝だと言われて います。

この非アルコール性脂肪肝を改善するためには、まずは食べ過ぎないようにすることです。

特に眠る前に食べた栄養はほとんど使われることなく中性脂肪として蓄えられてしまうので、眠る2時間以内にはカロリーのあるものを摂らないようにしましょう。

また果物や清涼飲料水などに含まれる果糖はぶどう糖よりも中性脂肪に変わりやすく、肝臓に溜まりやすいです。

次に運動もかなり重要です。

昔は脂肪の代謝を促す有酸素運動が奨められていましたが、最近では筋肉運動も重要だと考えられています。筋肉を収縮する時に分泌されるマイオカインというホルモンが肝臓の脂肪を燃焼させる効果があるためです。

ネットで「肝炎体操」と調べると脂肪肝の人向けの体操が出てきます。有酸素運動とこの体操を組み合わせて脂肪肝対策を頑張りましょう。

濱元誠栄院長

食べ過ぎを止め、運動を1か月頑張れば肝臓の数値が改善します!

ちなみに自身が脂肪肝かどうかは健康診断で分かります。健康診断では血液検査で必ず肝機能を調べますのでそのデータを見返してみてください。AST、ALT、γGTPという3項目があるはずです。

これらのうち一つでも正常値を上回っていれば脂肪肝の可能性があるので病院で肝臓のエコー検査を受けてください。

また、ASTとALTのどちらかが50を超える、もしくはγGTPが100を超えていれば脂肪肝が進んでいる可能性があり要注意です。アルコール性脂肪肝の場合には、AST、ALT が正常で、γGTPだけが高くなることがあります。

また、肝臓のエコー検査を行えば脂肪肝の程度や肝硬変の進行具合まで分かります。

今回のまとめです。

★肝炎ウイルスやアルコールと関係のない肝臓がんが増えている

★非アルコール性の肝臓がんは「脂肪肝」からはじまる

★脂肪肝は食べ過ぎと運動不足が原因である

★脂肪肝は食事制限と運動で改善することができる

★脂肪肝は健康診断でも見つけることができる

若くして脂肪肝のある人は将来的に高血圧や動脈硬化、糖尿病、高コレステロール血症にもなりやすいと言われています。

肝臓がんの予防だけでなく、これらの病気にならないようにするためにも、まずは脂肪肝を改善することから始めましょう!

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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