
やめるべき?抗がん剤の嘘と本当の怖さをがん治療医が本音で解説
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濱元誠栄院長こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
日々のがん診療のなかで、患者さんから「抗がん剤は本当に必要ですか?」「抗がん剤を使うとかえって早死にすると聞きました」「海外ではもう使われていないって本当ですか?」といった切実な質問をよくいただきます。
ネット上には様々な情報が溢れていますが、その中には事実もあれば、明らかな誤解もあります。
今回は、抗がん剤にまつわる「5つの俗説」の真偽をすっきりと整理しながら、がん治療医だからこそ言える「本当に注意すべきリスク」と「後悔しないための正しい向き合い方」についてお話しします。
ネットに溢れる「抗がん剤の5つの俗説」を医師がズバリ解説

抗がん剤が怖いと言われる理由の多くは、20〜30年前の古いイメージが残っているからです。
昔は確かに副反応が強く、それを抑える薬もなかったため、食べられなくなったり寝たきりになったりする患者さんもいらっしゃいました。
しかし、現在の医療は大きく変わっています。
まずは、よくある5つの噂の真相を見ていきましょう。
俗説1:アメリカでは使われておらず、日本だけが大量に使っている?

⇒ 完全なデマ(事実無根)です。
アメリカのFDA(日本の厚生労働省にあたる組織)の承認データを見ても、今でも毎年数多くの新しい抗がん剤が承認され、世界中で治療の主軸として使われ続けています。
ただし、日本特有の課題もあります。
それは、薬物療法の専門医である「腫瘍内科医」が欧米に比べて極端に少ないことです。
抗がん剤そのものの良し悪しよりも、適切な使用や細やかな副作用対策が行き届きにくい環境があることのほうが、実は大きな問題だと感じています。
俗説2:抗がん剤は寿命を縮める?

⇒ 半分は本当で、半分は誤りです。
抗がん剤には毒性があるため、頻度は低いものの、薬の毒性そのもので命を落とすケースは実際に存在します。
その意味では半分は本当です。しかし、だからといって「危険な悪物」と一括りにするのは誤りです。
これは「包丁」と同じです。包丁は料理に欠かせない便利な道具ですが、使い方を誤れば凶器になりますよね。だからといって「危ないからこの世から包丁をなくそう」とはならないはずです。
大切なのは、危険性を分かった上で「何のためにどう使うか」という目的です。
俗説3:抗がん剤を打つと寝たきりになる?

⇒ 昔の話であり、今は劇的に変わっています。
現在は、抗がん剤そのものの進歩以上に、吐き気などの副反応を抑える「支持療法(しじりょうほう)」がものすごく進歩しました。
何種類もの優れた吐き気止めを組み合わせることで、激しい嘔吐をほぼ完全に抑え込めるようになっています。
ただし、楽勝で受けられるわけではありません。
だるさ、味覚の変化、脱毛、食欲不振といった症状は今でも残ります。
「四六時中吐き続けてネタきりになるほどではない」というのが現代のリアルです。
4. 免疫力が完全に破壊される?

⇒ 正確には違います。「一時的な低下と回復」を繰り返します。
投与直後は一時的に白血球が下がり、感染症のリスクは高まります。
しかし、人間の免疫は一定期間が経つと自然に回復してきます。
だからこそ、回復を待って次の投与を行うスケジュールが組まれています。
また最近では、患者さん自身の免疫力を高める「免疫チェックポイント阻害薬」と従来の抗がん剤を組み合わせる治療が世界的な標準治療になっています。
5. 製薬会社と医者が儲けるための陰謀ビジネス?

⇒ 科学的な背景を知れば、単なる陰謀論では片付けられないことが分かります。
新しい抗がん剤が発見されてから承認される確率は、わずか「0.01%」と言われています。
期間は10〜15年、開発費には数百億〜数千億円という巨額の費用がかかります。
厳しい臨床試験をクリアするプロセスは遠くなるような道のりであり、ビジネスや陰謀だけで通せるものではありません。
ただし、巨額のお金が動くのは事実です。だからこそ患者さんの側も、提案された治療をすべて鵜呑みにせず、自分自身で確かめる賢い姿勢が必要になります。
がん治療医が本音で語る「抗がん剤の本当のリスク」
ここまではネットの誤解を解いてきましたが、ここからが一番お伝えしたい内容です。
現代の抗がん剤治療において、本当に直面しているリスクは以下の3つです。
1. 「奏効率(そうこうりつ)」の誤解
主治医から「この薬の奏効率は50%です」と言われると、多くの方が「2人に1人はがんが治るんだ」と誤解してしまいます。
しかし、奏効率とは「がんの大きさが30%以上小さくなった人の割合」のことであり、がんが完全に消えたわけでも、治ったわけでもありません。
一度小さくなっても、また大きくなることは珍しくありません。
「がんが一時的に小さくなること」と「生存期間が伸びるかどうか」は別問題であることを知っておく必要があります。
2. 決して軽くはない「長期的な副作用」
吐き気は抑えられるようになりましたが、現代の治療で深刻なのが「末梢神経障害(しびれ)」です。
これは一度出てしまうと、治療が終わっても何ヶ月、何年も残ることがある永続的なリスクです。
症状が進むと、ボタンが留められない、箸が持ちにくい、歩きにくいといった日常生活への深刻なダメージになります。
他にも、心臓や肝臓・腎臓へのダメージ、重症化すると命に関わる間質性肺炎、将来の妊娠に影響する不妊など、軽視できない長期的なリスクが潜んでいます。
3. 「感知」ではなく「延命」が目的になる現実
進行がんの場合、多くの抗がん剤治療はがんを完全に治すことではなく、進行を抑えて命を延ばすこと(延命)や症状の緩和が目的になります。
最初に受ける治療で効果が出ても、やがて薬が効かなくなると次の治療へと乗り換えていくことになります。
しかし、薬を変えるたびに効果は弱くなり、逆に副作用のダメージは体に蓄積していきます。
「薬を変えましょう」と言われたとき、自分は何を得て、何を失うのかを冷静に考える必要があります。
両刃の剣である「抗がん剤」と賢く向き合うための4つの方法

抗がん剤は、がん細胞を叩く一方で、自分の正常な細胞も傷つける「両刃の剣」です。
現代の医療は副作用を抑える「盾」を手に入れましたが、ダメージをゼロにはできません。
だからこそ、以下の方法で賢く武器と防具を使いこなす戦略が必要です。
① 納得がいくまで主治医に質問する
主治医が忙しそうに見えても、次の5つの質問は絶対に聞いてください。
- この治療の目的は「完治」ですか?「延命・症状緩和」ですか?
- 平均的にどれくらい生存期間が延びる見込みですか?
- 起こりうる副作用と、その確率はどれくらいですか?
- 治療をやらなかった場合、どうなる見込みですか?
- 別にどんな選択肢がありますか?
納得できないまま治療を始めるのが、一番後悔します。遠慮せずに確認しましょう。
② セカンドオピニオンをためらわない
他の専門医の意見を聞くセカンドオピニオンは、主治医に失礼な行為ではなく、患者さんの正当な権利です。
もし紹介状を書いてくれない医師であれば、それ自体が問題のサインだと思ってください。
別の意見を聞くことで、今の治療への確信が深まることもあれば、新しい選択肢が見つかることもあります。
③ 些細なことでも我慢せず、毎日体調を記録する
「ちょっと気持ち悪い」「手足がしびれる」など、どんなに些細なことでも我慢せず、すぐに医療スタッフに伝えてください。
特に手足のしびれは、重症化してからでは手遅れになります。
しびれが出始める「予兆」を捉えて、先手で薬の量を減らす判断が極めて重要です。
カレンダーやノートに毎日の体調を簡単につける「体調日記」がとても役に立ちます。
④ 生活(人生)を治療より下に置かない

これが一番大切です。お孫さんの運動会、旅行、大切な人との約束があるときは、医師に「治療を休む相談」をしていいのです。
治療のために生きるのではなく、生きるために治療をするのですから。
時には「治療をしない」「やめる」という選択をすることもありますが、それも自分らしい人生を送るための前向きな選択のひとつです。
最後に
銀座みやこクリニックでは、標準治療を第一の選択肢として尊重しながら、「もう打つ手がないと言われた」「不安が消えない」という患者さんのご相談にじっくり時間をかけて対応しています。
標準治療だけでは届かない部分を補完する自由診療の組み合わせや、オンラインでのセカンドオピニオンも行っています。
抗がん剤は万能薬ではありませんが、適切に使えば人生を伸ばし、救ってくれることもあります。
ぜひ、正しい情報を持った上で、ご自身にとって後悔のない選択をしていただければと思います。
気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。













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