膀胱がんの原因&初期症状とは?検査、手術、ステージ別治療法

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濱元誠栄院長

こんにちは。銀座みやこクリニック院長の濱元です。

本日のテーマは「1回でも血尿が出たらアウト~膀胱がんの症状~」です。

「膀胱がん5つの原因」「膀胱がんを疑うべき2つの初期症状」「膀胱がんを早期発見する方法」「ステージごとの膀胱がんの治療法」などをお話していきます。

目次

膀胱がんの「5つの原因」とは?

7月は「膀胱がん啓発月間」です。日本では毎年2万人を超える人が膀胱がんと診断されています。

年代別にみると若い人では膀胱がんはほとんど見られず、60歳以上から増えてきます。また男性に非常に多く見られるのが特徴です。

膀胱がんを公表した有名人はニュースキャスターの小倉智昭さん、俳優の黒沢年雄さん、元プロ野球の山本浩二さん、サンドイッチマンの伊達みきおさん、ボクシング元世界チャンピオンの竹原慎二さん、残念ながら亡くなられた俳優の菅原文太さん、松田優作さんなどがいらっしゃいます。

彼らに共通しているのが「男性」「喫煙者」です。特に膀胱がんの原因で最も多いのが「タバコ」です。

タバコの有害物質が肺から血液の中に入り、それが腎臓を経由して最後は尿の中に入ります。有害物質が含まれた尿が尿を貯めておく膀胱を刺激して膀胱がんを発症するのではないかと考えられています。

実際、膀胱がんは喫煙者に多く見られ、1日に吸う箱数×吸っている年数が20を超えると膀胱がんが増えます。

1日に1箱20本吸う人だと20年目から膀胱がんのリスクが高まりますし、40本2箱吸う人だと10年目から膀胱がんのリスクが高まります。

濱元誠栄院長

ちなみに禁煙して10年を過ぎると膀胱がんのリスクが下がっていきます。

タバコ以外の原因として化学薬品染料などがあります。

2015年に染料や顔料の原料を製造する40人規模の工場で従業員5人が膀胱がんになったというニュースがありました。40人中5人という恐ろしい割合で、しかも皆50代以下という若さでした。

5人とも原料を混ぜたり乾燥させたりする作業に関わっていたようで、原料に含まれる有害物質を吸ったことで膀胱がんが発症した可能性があります。

他には、白血病などの血液のがんや悪性リンパ腫乳がんなどで使用されるシクロホスファミドという抗がん剤も膀胱がんのリスクを高めます。

がんの治療に必要な抗がん剤が原因で膀胱がんになるなんて少し皮肉ではありますが、仕方ないと言えば仕方ないこととも言えます。

また、以前鎮痛薬として使われていたフェナセチンという薬剤も膀胱がんの原因となっていましたが、現在では生産中止となっています。

日本で見ることはまずありませんが、中東やアフリカでは住血吸虫という寄生虫への感染も膀胱がんの原因となります。この寄生虫が膀胱内に産卵し住み着くことで膀胱がんが発生します。

昔のエジプトでは膀胱がんの原因は100%この寄生虫によるものでしたが、衛生環境が改善された今では半分ほどに減ったと言われています。

最近の研究では非喫煙者の場合、カフェインが膀胱がんのリスクになることが分かりました。尿中に含まれるカフェインが膀胱を刺激することで膀胱がんのリスクを上げると考えられています。

実は、タバコに含まれるニコチンはカフェインを分解するんです。そのため喫煙者は尿中に含まれるカフェインが少なくなり、カフェインによる膀胱がんのリスクが上がらないのかもしれません。

膀胱がんの原因についてまとめます

★タバコ染料などの化学物質

★シクロホスファミドなどの抗がん剤

★寄生虫(日本ではほぼ見られない)

★非喫煙者の場合、カフェインの摂りすぎでリスクが上がる

膀胱がんの症状とは?

膀胱がん患者の8割に見られるのが肉眼的血尿です。

肉眼的というのは「目で見て分かるくらいの血尿」と言うことです。具体的には便器が薄く赤く染まるとか、ティッシュに血液が付きます。

血尿は膀胱炎や腎結石尿管結石などでも見られますが、その場合は背中やお腹の痛み、排尿時痛などの痛みを伴います。

膀胱がんによる血尿は基本的には痛みを伴いません。痛みのない血尿が見られたらまず膀胱がんを疑います。

早期の膀胱がんでは1回だけ、もしくは数回血尿が出て、その後はきれいな尿に戻り数か月血尿が見られないということがあります。その場合、安心して放置してしまう人が少なくありません。

濱元誠栄院長

膀胱がんを発見する重要な手立てが血尿です。1回でも血尿が出たら必ず泌尿器科を受診してください。

また健康診断で行う尿検査では目には見えない顕微鏡レベルの血尿を調べることができます。これを尿潜血と呼びます。膀胱がんは肉眼的血尿が見られるより早くに尿潜血で見つかることもあります。

健康診断で尿潜血+という結果が出たらこちらも必ず泌尿器科を受診してください。

膀胱がんの症状として他には排尿痛頻尿といった膀胱炎のような症状が見られることがあります。これらの症状は結構進行してからしかも2、3割の人にしか見られないので、やはり血尿や尿潜血が早期発見の手掛かりとなります。

膀胱がんの症状についてまとめます

肉眼的血尿ー1回でも見られたら必ず泌尿器を受診、健康診断で尿潜血が陽性となっても受診しましょう

排尿痛頻尿などの膀胱炎症状が見られることもあり

膀胱がんを調べる検査とは

一番手軽な検査が尿細胞診検査です。尿の中にがん細胞が含まれていないかを調べます。ただ早期の場合にはがん細胞が見られないことがあります。

次にエコー検査(超音波検査)を行います。お腹から超音波を当てて膀胱の壁に異常がないかを調べます。

ただ、エコー検査も早期だと見逃してしまうことがあります。

最も確実なのが膀胱鏡検査です。尿道からカメラを入れて膀胱内を観察します。がんが見つかった場合はそのまま組織検査を行います。その後はCTで全身の転移がないかを調べます。

膀胱がんの治療について

早期の場合には膀胱鏡でのぞきながら腫瘍を切除します。これをTURBTと言います。下半身麻酔もしくは全身麻酔で行います。

完全に切除したように見えても膀胱がんは高確率で再発します。術後は再発予防のためにBCG抗がん剤を膀胱内に注入します。

BCGは結核のワクチンで新型コロナの初期に「BCG接種者はコロナにかかりにくい」という噂が立ったのを覚えている人がいるかもしれません。そのBCGが膀胱がんにも効くんです。

進行してしまっている場合には手術で膀胱を全て切除します。膀胱が無くなった後は腸の一部を切除し尿管につないで尿を体外に排出したり、人工膀胱を作って尿道から排出したりします。

小倉智明キャスターや竹原慎二さんは全摘手術後にこの人工膀胱を作成しています。

また最近では膀胱全摘出を避けて膀胱の一部のみを切除する膀胱温存手術が行われることがあります。ただその場合には術後に放射線治療と抗がん剤治療を行わなければなりません。

遠隔転移のあるステージ4の場合には手術は行わず抗がん剤治療のみとなります。その場合は完治というより延命治療になります。

昔は2種類の抗がん剤しかなかったのですが、最近になって免疫チェックポイント阻害薬や新しい抗がん剤が保険適応になり、治療の幅が広がってきました。

新規薬剤が登場する前はステージ4膀胱がんの5年生存率は28%と低かったのですが、今後は生存率が上がっていくと思います。

まとめ

膀胱がんの最大のリスクはタバコです。膀胱がんを予防するためにはまずは禁煙に努めましょう。

タバコを吸わない人でもカフェインもリスクになるので摂り過ぎに注意です。膀胱がんの主な症状は血尿です。目で見て明らかな血尿の場合にはすぐに泌尿器科を受診してください。

健康診断で尿潜血陽性の場合にも必ず一度は泌尿器科で調べてください。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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