ゲルソン療法(人参ジュース)は危険で効果ない?がんに良い、悪い飲み物とは

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濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

今回のテーマは「ニンジンジュースでがんが治る?!がんに良い飲み物・悪い飲み物」です。

「がんのリスクを下げる飲み物」「がんのリスクを上げる飲み物」「がんと飲み物についてよくある質問」についてお話していきます。

目次

がんのリスクを下げる飲み物について

我々日本人は「お茶は体に良い」というイメージを持っている人が多いと思います。

実際、緑茶を1日5杯以上飲む人は、1杯未満の人と比べて死亡リスクが低下することが分かっています。また、循環器疾患や脳卒中も緑茶で発症リスクが下がることが分かっています。

そんな緑茶ですが、20年ほど前にお茶のカテキンが抗がん作用を持ち、がん予防につながると話題になりました。

その後様々な研究が行われ、カテキンにはがん細胞を増やしにくくしたり、転移しにくくしたり、免疫細胞ががんを攻撃する手伝いをしたりする働きがあることが分かりました。

また、緑茶が前立腺がんと女性の胃がんを予防する可能性があると言われています。

健康に良いイメージがある牛乳も、がん予防に良いと考えられています。

牛乳は大腸がんと乳がんのリスクを下げるという海外の研究がありますが、日本人では牛乳と乳がんリスクは関係ないという結果が出ています。ただし牛乳を摂りすぎると乳がんのリスクが逆に上がります。

健康に悪いイメージを持たれがちなコーヒーも、がんのリスクを下げます。

コーヒーが発症を減らすことが分かっているのは肝臓がんと子宮体がん、女性の結腸がんの3つです。

コーヒーに含まれるポリフェノールの抗酸化作用で炎症による細胞のダメージが減り、がんになりにくいのではないかと考えられています。カフェインを除いたデカフェのコーヒーでも同様の結果が見られたので、がん予防にはカフェインは関係なさそうです。

また、糖尿病患者はがんのリスクが高いのですが、コーヒーの食後血糖を抑える効果が、がん予防にもつながっている可能性はあります。また、コーヒーが男性で膵臓がんのリスクを減らすという研究がありますが、増やすという報告もあり、まだ結論は出ていません。

最新の研究では口腔がん、咽頭がん、食道がんと言った、コーヒーの通り道となる臓器のがんを減らす可能性が指摘されていて、今後のさらなる研究結果が待たれます。

ゲルソン療法とは?効果や危険性、エビデンス

さて、今日のタイトルにもなった、にんじんジュースでがんを治すゲルソン療法という民間療法があります。がん患者さんでたまに実践されている人がいるので、そのやり方や効果について話します。

この治療法の大元は1930年代にゲルソン博士が開発した治療法で、当時は結核の治療に使われていました。その後いつの間にかがん治療に有効だと言われるようになりました。

ゲルソン療法の考え方は、がんを誘発・助長する食品を排除し、自然の食物から有効な成分を摂ることで体の機能を高めてがんを治すというものです。

しかし、ゲルソン療法でがんを治療した研究や治ったという症例報告は今のところありません。

ゲルソン療法のやり方は以下の3つです。

  • タンパク質、脂質、塩分の制限
  • 野菜ジュースの大量摂取(毎日約2L)
  • コーヒーを浣腸する

また、ゲルソン療法でステージ4の大腸がんを克服したという日本人の精神科医が独自のゲルソン療法を唱えています。

コーヒー浣腸はハードルが高いのか省略されていますが、タンパク質と脂質を制限して、にんじんジュースや青汁ジュースを毎日2リットル飲むというのはオリジナルと同じです。こちらも本家と同じく、がんが治るというエビデンスはありません。

このようなゲルソン療法ですが、まずコーヒー浣腸について。コーヒー浣腸は日本でも20年ほど前に流行り、今でも通販で浣腸キットを購入することができます。最近でもYou tuberが腸内洗浄としてコーヒー浣腸を行っている動画を見かけますが、誤ったやり方で腸に穴を開けてしまい死亡したという報告もあるので、医療者以外が勝手に行ってはいけません。

また、体を作る元であるタンパク質や脂質を控えるのは、がん患者さんにとってはマイナスになります。さらに、にんじんジュースを大量に採ることで食事が摂れなくなったり内服薬を飲むのが大変になったりと悪影響がでる可能性があります。

健康な人が行うには良いかもしれませんが、がん患者さんにはゲルソン療法はNGだと思います。

がんとアルコール

がんのリスクを上げる飲み物の代表はアルコールです。

アルコールの飲酒は口腔がん、咽頭がん、食道がん、男性の胃がん、大腸がん、肝臓がん、閉経前乳がんのリスクとなります。

口腔、咽頭、食道、胃、大腸と、アルコールを飲んだ際の通り道なので何となくイメージはしやすいと思います。肝臓はアルコールを代謝する臓器なので、こちらもイメージしやすいかもしれません。

なぜアルコールで乳がんのリスクが上がるのか?アルコールは女性ホルモンであるエストロゲンの合成を促すとされています。エストロゲンにさらされる期間が長ければ長いほど、量が多ければ多いほど、乳がんになりやすいため、アルコールで乳がんのリスクが上がると考えられています。

アルコールでがんのリスクが上がると言っても、適量で止めておけばがんのリスクに影響しません。がんのリスクを上げないアルコールの量は、毎日飲む場合は23g未満とされています。

アルコール23gは、日本酒で1合、ビールだと大瓶1本、ワイングラス2杯、25度の焼酎で0.6合です。適量を超えて飲んだ日があっても良いですが、休肝日を作って、1週間の飲酒量を調整しましょう。

熱い飲み物、甘い飲み物

また、熱い飲み物もがんのリスクを上げます。

中国、イラン、南米などでは、お茶やマテ茶を70℃以上の熱いままま飲む習慣があります。これらの地域では食道がんが多く、特にイランでは宗教上アルコールが禁止されているため、熱い飲み物との関連が最も考えられています。

最近、甘い飲み物と大腸がんのリスクの関連についての研究報告がありました。この研究では甘い飲み物をほとんど飲まない女性と、1日に2杯以上飲む女性を比較しました。結果は、甘い飲み物を摂取しない女性に比べ、毎日飲む女性は早期大腸がんのリスクが2.2倍も高くなりました。この理由として、ジュースに含まれる加糖や人工甘味料が腸内細菌を乱れさせ、それが大腸がんにつながった可能性が考えられています。

コーヒーと膀胱がん

先ほどがんのリスクを下げるとお話ししたコーヒーですが、コーヒーでリスクが上がることがはっきりしている唯一のがんがあります。それが膀胱がんです。

コーヒーのカフェインが尿と一緒に膀胱に溜まると、膀胱の壁を刺激して膀胱がんが起きやすくなります。

ただ “タバコを吸わない男性”でのみ膀胱がんのリスクが上がるとされています。

なぜ非喫煙者かというと、タバコに含まれるニコチンがカフェインを分解するため、同じ量のコーヒーを飲んでも非喫煙者の方が体内のカフェイン濃度が高くなるという理由です。

抗がん剤の作用を弱める植物

直接的にがんのリスクを上げる訳ではないのですが、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)と呼ばれるハーブが、抗がん剤の作用を弱めることが分かっています。

セントジョーンズワートは抗うつ作用のある成分で、飲み物やサプリメントとしてメンタルヘルスに用いられますが、抗がん剤治療中は摂取しないようにしましょう。

がんと飲み物についてお話してきましたが、がんに良いからと言って飲み過ぎはかえって体に負担になりますし、それだけでがんが治るわけではありません。逆にがんのリスクを上げると言っても、飲み過ぎなければ問題はありません。

気にし過ぎず、どの飲み物もほどほどに嗜好の範囲内で楽しみましょう。セントジョーンズワートだけは、薬を内服している方は1杯でも控えた方が良いです。

がんと飲み物についてのよくある質問

緑茶ががんに良いと聞いていますが、多量に飲むとカフェインも摂ってしまうので、逆に悪くないか心配です。

カフェインを一気に大量に摂り過ぎると、カフェイン中毒になることがあります。何回かに分けての1日2リットルまでなら、問題はなさそうです。ただ夕方に飲み過ぎると眠れなくなる可能性があります。

炭酸飲料が胃や食道がんのリスクになるというのを見たのですが、本当でしょうか。

今のところ、そのようなデータはありません。

がん予防にコーヒーは1日どれくらい飲めばよいでしょうか?

毎日1杯以上で良さそうです。5杯以上だと肝臓がんのリスクが1/4になるようですが、そこまで飲まなくても良いと思います。

がん治療中です。緑茶に抗がん作用があると聞いているのですが、薬との飲み合わせが心配です。

緑茶は薬との飲み合わせに影響しないので、心配しなくても大丈夫です。

免疫力を上げるために乳酸菌飲料を飲んでいます。たくさん飲んでも良いでしょうか?

糖質がかなり含まれていることがあるので、飲み過ぎには注意して欲しいです。大量に摂りたい場合は、サプリメントなどで補うと良いでしょう。

抗がん剤で下痢しています。そんな時に良い飲み物はあるでしょうか?

スポーツドリンクや温かいみそ汁などで、ミネラル分を摂って欲しいです。冷たい飲み物や乳製品、カフェインを多く含む飲み物は控えた方が良いです。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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