【STNM01】膵臓がんで期待される局所治療

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

膵臓がんの局所治療というと、保険診療になっている放射線治療(重粒子線・陽子線治療を含む)や、治験中のHIFUなどがあります。

局所治療については過去ブログで詳しく解せるしています。

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今回の記事は、かなり期待が持てる新たな局所治療についてお話しします。

現在治験中で、終了するのが2028年とまだまだ先なのですが、

日本がん対策図鑑
【膵がん:二次治療(OS)】「STNM01 +オニバイド+5-FU+ロイコボリン」vs「オニバイド+5-FU+ロイコボ... 切除不能な膵がんと診断され、ゲムシタビンを含む化学療法に不応な人が次の治療を考える場合、「オニバイド+5-FU+ロイコボリン」治療に「超音波内視鏡投与による拡散医薬...

第1/2相試験では完全奏功例も見られました。

その第1/2相試験の結果について解説します。

STNM01, the RNA oligonucleotide targeting carbohydrate sulfotransferase 15, as second-line therapy for chemotherapy-refractory patients with unresectable pancreatic cancer: an open label, phase I/IIa trial

一次治療でアブラキサン+ゲムシタビン(ジェムザール)後、二次治療で化学療法に加えてSTNM01という治験薬を内視鏡的に局所注射をする治験です。

ここからちょっと難しくなります。

CHST15(糖硫酸転移酵素 15)という、がん細胞の増殖能・運動能・転移能などを促進し、細胞をがん化させるCS-E(コンドロイチン硫酸 E)を合成するタンパクがあります。

CS-Eは膵臓がんで高発現しており、詳細は省きますが浸潤や増殖に関わっていて、間質を

そのSTNM01を投与すると、CHST15が抑制されることでCS-Eの合成が減ると、がんの悪性度が低下するだけでなくT細胞も腫瘍内に浸潤しやすくなるようです(下図参照)。

今回の臨床試験では、完全奏効 1例、部分奏効 1例、病状安定 15例、進行 5例で、病状制御率(がんが進行しない割合)が77.3%でした。

完全奏功した1例は2サイクル目(8週後)には腫瘍が消失していたそうです(スゴい!)。

完全奏功した症例の写真が掲載されていましたが、局所治療を行っていないリンパ節までも消失していました。

これは、アブスコパル効果なのかもしれません。

アブスコパル効果についてはこちらを参照に。

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2024年12月より始まった第3相試験の結果が楽しみです。

興味ある方はこちらの治験情報をご覧ください。

 ↓↓

https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCT2031240526

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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