
4種免疫療法(CIK療法)

4種免疫療法は、患者さん自身の血液から取り出した、4種類の免疫細胞を培養・活性化したうえで、点滴によって体内へ戻す治療です。
銀座みやこクリニックでは、現在受けている標準治療や病状、体力、治療スケジュールなどを確認しながら、併用または追加治療の一つとして検討します。(標準治療を受けていない/標準治療が終了した患者さんでも投与可能です)
4種免疫療法のポイント
- 患者さん自身の免疫細胞を使用
- 採血と点滴で行う
- 1セット6回
- 6回分をまとめて培養・凍結保管
- 公的医療保険が適用されない自由診療
- 治療効果には個人差がある
4種免疫療法(CIK療法)とは
当院で行っている4種免疫療法は、正式には、CIK療法もしくは、活性化自己リンパ球療法と呼ばれます。
CIKは、Cytokine-Induced Killerの略で、日本語では「サイトカイン誘導キラー細胞」と訳されます。
体外で特殊なタンパク質(サイトカイン)を使って大量に増殖・活性化させ、再び点滴で体内に戻してがんを攻撃する「自己免疫細胞療法」の一つです。
4つの免疫細胞の働き
体内では様々な免疫細胞がチームを組んでがん細胞と戦っています。
がん免疫において特に重要な働きをする「4つの細胞」の役割をご紹介します。
キラーT細胞
がん細胞の目印を見つけ、狙って攻撃する免疫細胞
キラーT細胞は、がん細胞が持つ特徴を見分け、標的となる細胞を直接攻撃する免疫細胞です。
私たちの細胞は、自分の中で作られているタンパク質の一部を、細胞の表面に「目印」として出しています。キラーT細胞は、がん細胞の目印を頼りにがん細胞を見つけ出します。
標的となるがん細胞を見つけると、キラーT細胞は「パーフォリン」という物質で細胞膜に小さな穴を開け、「グランザイム」という酵素を送り込みます。それによって、がん細胞の内部に細胞死を起こさせます。
キラーT細胞の大きな特徴は、相手を見分けてから攻撃することです。無差別に攻撃するのではなく、がん細胞が示している目印を確認しながら、狙いを定めて攻撃します。
また、一部のキラーT細胞は、以前に出会ったがん細胞の特徴を記憶します。同じ特徴を持つがん細胞が再び現れたときに、より早く反応する働きもあります。
一方で、がん細胞の中には、自分の目印を隠すことでキラーT細胞に見つかりにくくなるものもあります。そのため、キラーT細胞だけではなく、異なる方法でがん細胞を見つける免疫細胞も重要になります。
NK細胞
正常な細胞との違いを察知し、すばやく攻撃する免疫細胞
NK細胞は、「ナチュラルキラー細胞」と呼ばれる免疫細胞です。
キラーT細胞のように、特定の目印を細かく確認しなくても、がん細胞を見つけて攻撃できます。
正常な細胞は、免疫細胞に対して「自分は正常な細胞です」という合図を出しています。NK細胞は、この合図を確認している間は攻撃しません。
ところが、がん細胞では、この正常であることを示す合図が弱くなったり、細胞が強いストレスを受けていることを示すサインが増えたりします。NK細胞は、このような変化を察知して攻撃を始めます。
標的を見つけると、NK細胞もキラーT細胞と同じように、がん細胞に細胞死を起こさせる物質を放出します。
がん細胞が目印を隠してキラーT細胞から逃れようとすると、逆に正常細胞との違いが目立ち、NK細胞に見つかりやすくなることがあります。
このように、キラーT細胞とNK細胞は、異なる方法でがん細胞を探し、お互いを補う関係にあります。
γδT細胞
がん細胞の変化をすばやく察知する免疫細胞
γδT細胞は、T細胞の一種ですが、一般的なキラーT細胞とは少し異なる方法でがん細胞を見つけます。
キラーT細胞は、がん細胞が表面に出している目印を確認して攻撃します。一方、γδT細胞は、がん細胞の中で起きている代謝の変化や、細胞が強いストレスを受けているときに現れるサインを察知できます。
がん細胞は、正常な細胞よりも活発に増殖するため、エネルギーの使い方や代謝の仕組みが変化しています。γδT細胞は、このようながん細胞特有の変化を手がかりにして、異常な細胞を見つけます。
標的を見つけると、がん細胞に直接攻撃を加えるだけでなく、周囲の免疫細胞に合図を送り、免疫反応を助ける働きもあります。
γδT細胞は、T細胞のように標的を見分ける力を持ちながら、NK細胞のように比較的すばやく反応できることが特徴です。
CIK細胞
培養によって増やし、がんへの攻撃力を高めた免疫細胞
CIK細胞は、もともと体内にそのまま存在する一種類の細胞を指す名称ではありません。血液中のT細胞などを体外で培養することによって生まれる細胞です。
この細胞は、キラーT細胞のように標的へ接近して攻撃する力と、NK細胞のようにがん細胞の異常を察知する力をあわせ持っています。いわば、T細胞とNK細胞の両方の性質を持つ攻撃細胞です。
CIK細胞の特徴は、特定のがん抗原だけを狙うのではなく、複数のがん細胞に共通して現れる異常のサインを手がかりにできることです。
そのため、一つの目印を失ったがん細胞に対しても、別の異常のサインを手がかりとして攻撃できます。
これらの細胞は、それぞれ異なる方法でがん細胞を認識します。複数の攻撃細胞を培養し、患者さん自身の免疫によるがんへの攻撃を補助することが、4種免疫療法の基本的な考え方です。
当院の4種免疫療法の特徴
① 攻撃を担う免疫細胞を重点的に培養
4種免疫療法では、患者さんの血液からがん細胞への攻撃を担う免疫細胞を体外で培養・活性化します。
キラーT細胞、NK細胞、γδT細胞、CIK細胞は、がん細胞の目印、正常細胞との違い、代謝やストレスによる変化などを、それぞれ異なる方法で捉えて攻撃します。
がん細胞は、免疫から逃れるために目印を隠したり、性質を変えたりすることがあります。そのため、一つの方法だけでなく、異なる特徴を持つ免疫細胞が複数の方向からがん細胞を捉えることが重要です。
② 6回分をまとめて培養・凍結保管
4種免疫療法では、最初の採血で得た免疫細胞を培養し、6回分に分けて凍結保管します。
2回目以降は、保管している細胞を投与日に合わせて、細胞にダメージを与えないよう3日かけて解凍するため、基本的に毎回採血して培養する必要はありません。抗がん剤や放射線治療の予定、体調、通院の都合に合わせて、投与間隔を調整しやすいことが特徴です。
③ 短期間に集中した投与も可能
6回分の免疫細胞をあらかじめ凍結保管しているため、毎回の培養を待つ必要がなく、病状に応じて投与間隔を短くすることができます。
通常は体調や標準治療の予定に合わせて投与しますが、病状の進行が速い場合などには、6回を最短3週間で集中的に投与するスケジュールも検討します。
例)投与スケジュール


がんの状態、血液検査、体力、抗がん剤や放射線治療との兼ね合いを確認しながら、一人ひとりに適した投与間隔を判断します。
④ 比較的少ない採血量で治療を開始
4種免疫療法では、治療開始時に約60mLの血液を採取し、専用の細胞加工施設で免疫細胞を増やし、6回分に分けて凍結保管します。
そのため、基本的には投与のたびに採血を繰り返す必要がなく、患者さんの身体的な負担や通院回数を抑えながら治療を進めることができます。
*血液中のリンパ球数や培養後の細胞数には個人差があります。十分な細胞数が得られない場合には、追加の採血や再培養が必要になることがあります。
【重要】標準治療を置き換える治療ではありません
4種免疫療法は、手術、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、放射線治療などの標準治療を中止し、代わりに受ける治療ではありません。
当院では、効果が確立した標準治療を受けられる場合には、原則として標準治療を優先します。そのうえで、現在の治療内容、がんの種類や進行状況、体力、血液検査の結果などを確認し、相乗効果を狙った追加治療の一つとして4種免疫療法を検討します。
標準治療と併用する場合には、抗がん剤などの投与日や休薬期間、副作用の状況に合わせて、4種免疫療法の投与日を調整します。治療を始めるために、主治医の治療計画を変更したり、抗がん剤を自己判断で延期・中止したりする必要はありません。
一方、標準治療をすでに終えている方や、体調などの理由で標準治療の選択肢が限られている方については、病状と全身状態を確認したうえで、4種免疫療法を受ける意義があるかを個別に判断します。
4種免疫療法によって、必ずがんが縮小するわけではありません。また、標準治療と併用した場合には、認められた変化がどちらの治療によるものか、明確に分けられないこともあります。
当院では、4種免疫療法だけに偏るのではなく、標準治療を治療の土台としながら、患者さんにとって無理のない組み合わせと投与スケジュールを考えていきます。
治療を検討するケース
検討されることがある方
- 標準治療を受けながら、追加治療を検討している
- 標準治療の選択肢が少なくなっている
- 再発予防を目的とした治療を検討している
- 抗がん剤の休薬期間に免疫細胞療法を受けたい
- 遠方からの通院で、投与日程を調整したい
- 病状の進行が比較的速く、短い間隔での投与を検討している
治療が難しい、または慎重な判断が必要な方
- 重い感染症がある
- 全身状態が著しく低下している
- 重い臓器障害がある
- 自己免疫疾患が活動性の状態にある
- 大量のステロイドや免疫抑制薬を使用している
- 採血や点滴が安全に行えない
- 医師が治療による利益が期待しにくいと判断した場合
4種免疫(CIK)療法のエビデンス
4種免疫療法は、CIK療法として肝細胞がん、胃がん、肺がん、卵巣がん、大腸がんなどで臨床研究が報告されています。
一方、研究のほとんど海外で行われており、対象患者、併用治療、投与方法が統一されていないため、すべての患者さんに同じ効果が期待できるわけではありません。
| がん種 | 治療方法 | 結果 | エビデンスレベル |
|---|---|---|---|
| 肝細胞がん | 手術・局所治療後+CIK | 術後の無増悪生存期間と生存期間が延長 | 強 (韓国で薬事承認) |
| 膠芽腫 グリオブラストーマ | 標準治療+CIK | 無増悪生存期間が延長 | 強~中 (第3相比較試験) |
| 胃がん腹膜播種 | 標準治療+CIK | 条件によって生存期間が延長 | 中 (比較試験) |
| 大腸がん | 標準治療+CIK | 無増悪生存期間と生存期間が延長傾向 | 中 (第2相比較試験) |
| 肺がん | 標準治療+CIK | 生存期間が延長傾向 | 中 (比較試験) |
| 卵巣がん | 標準治療+CIK | 術後の生存期間が延長 | 中~弱 (後ろ向き比較試験) |
| トリプルネガティブ乳がん | 化学療法+CIK | 術後の無増悪生存期間と生存期間が延長 | 中~弱 (後ろ向き比較試験) |
| 膵臓がん | 化学療法+CIK | 生存期間が延長する可能性 | 弱 (後ろ向き比較試験) |
6種複合免疫療法との違い
| 4種免疫療法 | 6種複合免疫療法 | |
|---|---|---|
| 治療の考え方 | 攻撃を担う細胞を重点的に培養 | 複数の免疫細胞を幅広く培養 |
| 投与回数 | 6回 | 6回 |
| 培養方法 | 6回分をまとめて培養・凍結 | 原則として投与ごとに培養 |
| 採血量 | 60mL | 30mL×6回 |
| 初回投与まで | 約18日 | 約3週間 |
| 日程変更 | 比較的調整しやすい | 培養開始後の変更が難しい場合がある |
| 治療費 | 99万円+諸費用 | 約194万円+諸費用 |
| 臨床研究 | 海外を中心に複数報告 | 当該培養法に限定した論文は少ない |
説明テキスト
治療の流れ
これまでの治療歴、画像、病理検査、血液検査、現在使用している薬などを確認します。
安全に採血・投与できる状態か、感染症や臓器機能などを確認します(初診当日に可能)。
培養に必要な血液を採取します(初診当日に可能)。
専門の細胞加工施設で免疫細胞を培養・活性化します。
採血から約18日後を目安に、点滴で投与します。
凍結保管した細胞を使用し、体調や標準治療の予定に合わせて投与します。
CT、MRI、腫瘍マーカー、症状、全身状態などを総合して評価します。
※「何回受ければ画像上の効果が出る」とは決めず、評価時期は病状ごとに判断すると記載します。
治療費
| 項目 | 費用(税込) |
|---|---|
| 4種免疫療法・6回分 | 990,000円 |
| 初診料 | 22,000円 |
| 血液検査料 | 22,000円 |
| 点滴管理料 | 27,500円×6回 |
| 通常必要となる総額 | 1,199,000円 |
- 公的医療保険は適用されません
- 病状に応じた追加検査や薬剤には別途費用がかかる場合があります
- 培養開始後の中止・返金規定
- 再採血・再培養が必要になった場合の費用
- 支払方法
副作用・リスク・治療の限界
起こり得る副作用
- 発熱
- 悪寒
- 倦怠感
- 頭痛
- 発疹、かゆみ
- 点滴部位の痛みや発赤
- アレルギー反応
- 体調や基礎疾患の悪化
細胞培養に伴うリスク
- 必要な細胞数まで増殖しない
- 品質検査を通過せず投与できない
- 細菌などの混入が疑われ、廃棄となる
- 採血をやり直す必要がある
- 運送や設備上の問題で予定日に投与できない
治療の限界
- 効果が認められない場合がある
- がんが進行する可能性がある
- CIK療法だけでがんが消失することを保証する治療ではない
- 抗がん剤などとの併用時には、どの治療による効果か判断できない場合がある
- 長期的な有効性や最適な投与回数が確立していないがん種がある
よくある質問
- どのがんに受けられますか?
-
リンパ球のがん以外はすべてのがんで適応となります。
- ステージ4でも治療できますか?
-
可能です。むしろ治療を受けられる方の大半がステージ4です。
- 抗がん剤と併用できますか?
-
原則的には抗がん剤治療などの標準治療との併用を勧めています。抗がん剤治療が終了した方や抗がん剤治療を拒否された方でも治療可能です。
抗がん剤の投与日、休薬期間、副作用、白血球やリンパ球の状態などを確認しながら、4種免疫療法の投与日を調整します。
- キイトルーダやオプジーボと併用できますか?
-
併用を検討することはできますが、慎重な判断が必要です。詳しくは診察の際にお尋ねください。
- 放射線治療と併用できますか?
-
可能です。
ただし、照射する部位や範囲、治療スケジュール、血球減少の程度などによって、適した投与時期が異なります。放射線治療の内容を確認したうえで個別に調整します。
- 何回受けると効果が分かりますか?
-
効果が分かるまでの回数には個人差があり、1~2回の投与だけで判断することはできません。
6回を1セットとして治療を行い、原則として6回の投与終了後、または主治医が予定しているCT・MRIなどの画像検査の時期に合わせて評価します。
- 6回をどのくらいの間隔で受けますか?
-
連日投与から数週間おきまで、がんの状態や現在受けている標準治療、体調、通院状況などに合わせて個別に調整します。
- がんが必ず小さくなりますか?
-
必ず小さくなる治療ではありません。
複数のがん種で臨床研究が報告されていますが、治療効果が保証されるわけではありません
- 副作用はありますか?
-
投与後に、発熱、悪寒、倦怠感、頭痛、発疹、かゆみなどが起こることがあります。
患者さん自身の細胞を用いる治療ですが、副作用がまったくないわけではありません。また、まれにアレルギー反応や体調の悪化が起こる可能性もあります。
- 採血量はどれくらいですか?
-
6回分の培養で60mLが必要です。
- 遠方からでも治療できますか?
-
可能です。
6回分をあらかじめ凍結保管しているため、抗がん剤の予定や来院可能な日程に合わせて投与日を調整しやすいことが特徴です。
- 入院中でも受けることができますか?
-
入院中は治療を受けることができません。通院での治療となります。
- 治療を途中で中止した場合、返金されますか?
-
初回で6回分培養してしまうため、培養費の返金はありません。
- 細胞はいつまで保管できますか?
-
培養した免疫細胞は、培養完了後から原則として2年間、専用の細胞加工施設で凍結保管できます
- 家族だけで相談できますか?
-
ご家族だけでのご相談も可能です。
まずはご家族のみで相談に来られ、後日ご本人が採血に来られるケースもあります。
院長メッセージ
4種免疫療法は、すべての患者さんに効果が期待できる治療ではありません。一方で、海外を中心に複数の臨床研究が行われており、標準治療と組み合わせた治療や、標準治療後の選択肢として検討されてきました。当院では、免疫療法だけを勧めるのではなく、現在受けている治療、がんの進行速度、体力、費用などを整理したうえで、治療を受ける意味があるかを個別に判断しています。













