白血病は治る?様々な年齢で起こる初期症状と治療法(急性、慢性、骨髄性、リンパ性)

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濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

今回のテーマは「老若男女誰でもなりうる白血病。その症状と治療法は?」です。

「白血病の症状」「白血病の診断と治療法」「白血病でよくある質問」についてお話していきます。

目次

白血病とは

皆さんは白血病に対してどのようなイメージを持っているでしょうか。40年ほど前までは薄幸の美少女がなる病気として白血病を患うヒロインがドラマや漫画などによく登場していました。

当時、白血病は余命の短い不治の病として扱われていて、実際5年生存率も10~20%程しかありませんでした。しかし治療の進歩によって現在では5年生存率44%と治る人も増えてきました。

ちなみに小児の白血病に限って言えば、5年生存率は83%まで向上しています。

白血病になった有名人は意外と多く、女優の夏目雅子さん、歌手の本田美奈子さん、格闘家のアンディ・フグさん、小説家の池波正太郎さん、白血病YouTuberのにゅーいんさんは残念ながらお亡くなりになりました。一方でキャスターの大塚範一さん、女優の吉井怜さん、歌手の岡村孝子さん、俳優の渡辺謙さん、水泳の池江璃花子さんなどは闘病され、現在でもお元気で活躍されています。

白血病は老若男女問わずなり得る病気で、早ければ0歳で発症することもあります。ヒロインのイメージとは逆で高齢者になるほど患者数が多く、白血病患者の7割は60歳以上となっています。

胃がんや大腸がん、肺がんなど塊を作るがんを「固形がん」と言いますが、白血病は「血液のがん」であり、塊を作ることはありません。

通常は、骨の中にある骨髄という場所で白血球や赤血球、血小板と言った血液細胞が作られています。

その過程で細胞ががん化し、がん化した白血病細胞が無限に増殖してしまうのが白血病です。

急性白血病について

白血病は大きく分けて「急性白血病」「慢性白血病」の2種類あります。

全てのがんの中で「急性」と付くのは白血病だけです。急性と付いている理由は白血病細胞の増殖するスピードが非常に速いためです。急性白血病は治療しないと診断されてから数週間から数か月で命を落としてしまうくらい進行が速いです。

一方で慢性白血病は白血病細胞の増殖がゆっくりです。急性白血病と慢性白血病のがんの増殖速度を比べてみると細胞が分裂して倍になる時間が急性白血病は早い時で数日、慢性白血病だと遅い時で1年と言われています。

慢性白血病は基本的に治療を急ぐ必要はありません。ちなみにドラマなどの白血病は急性白血病のイメージです。

白血病の症状は急性白血病と慢性白血病では大きく異なります。急性白血病では骨髄内を急増した白血病細胞が埋め尽くすため、正常な血液細胞の生成が阻害されます。

白血球が減少すると感染症にかかりやすくなるので長引く風邪症状や発熱が見られます。赤血球が減少すると貧血となり、倦怠感や動悸、めまいなどの症状が見られます。

止血の役割をする血小板が減少すると出血しやすくなり、鼻血が出たり、あざができやすくなったりします。歯磨きで歯茎から出血することもあります。

白血病が進行すると臓器が白血病細胞で侵され、その中で白血病細胞が増えると臓器が腫れて様々な症状が見られます。リンパ節で白血病細胞が増えると首や足の付け根のリンパが腫れて、しこりとして触れるようになります。

白血病によるリンパ節の腫れは通常痛みを伴いません。肝臓や脾臓で白血病細胞が増えると肝臓や脾臓が腫れ、お腹の張りを感じるようになります。

皮膚で増えると多数の皮膚のしこりができますし、歯茎で増えると歯茎が腫れたり、肛門付近で増えると痔になったりします。

また、骨で増え骨の痛みが出ることもあります。白血病細胞が脳の髄膜を侵すこともあり、その場合には頭痛や意識障害などが見られます。

急性白血病の症状を以下にまとめます。

  • 長引く風邪や発熱
  • 倦怠感や動悸、めまい
  • 鼻血や歯茎の出血、あざができやすい
  • 首や足の付け根のリンパ節の腫れ(通常痛みを伴わない)
  • お腹のはり
  • 多数の皮膚のしこり
  • 骨の痛み
  • 頭痛や意識障害

これらの症状は早く進みます。急にこれらの症状が出現し、なかなか改善しないと思ったらすぐに病院を受診しましょう。

ちなみに急性白血病だった池江璃花子選手は、11月に日本記録を更新するほど調子が良かったのに、2か月後の1月ごろから疲れが取れない、体が重い、息切れと言った貧血症状が見られ、微熱も続いていたそうです。

慢性白血病について

一方、慢性白血病はゆっくり進行するため、特に症状が見られず進行します。そのため健康診断で白血球が増えていることを指摘されて気付くことがあります。また、他人から首のリンパ節の腫れを指摘されたことがきっかけで診断されることもあります。

慢性白血病ではほとんど症状が見られませんが、急性転化と言って急に増殖が速くなって急性白血病のような症状が見られることがあります。

白血病を疑う症状があり、血液検査で白血球や赤血球、血小板の数に異常が見られれば、白血病を疑います。

また、白血病細胞は骨髄で発生しますが、増えすぎると骨髄を飛び出して血液の中にも表れます。

血液検査で白血病細胞が見られると白血病を強く疑います。骨髄に針を刺し、骨髄の中の血球を調べ、白血病細胞が多く見られたら確定診断となります。

骨髄の中にリンパ球になる予定だった白血病細胞が多ければ「リンパ性」、それ以外は「骨髄性」の白血病と言われます。先に出てきた「急性」「慢性」と「骨髄性」「リンパ性」を組み合わせて急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病の4つに分類されます。

急性白血病の治療について

白血病はその病態によって治療法が異なります。急性白血病は進行が速いので診断後ただちに治療が開始されます。

まず数種類の抗がん剤を組み合わせて強力な治療をします。骨髄中の白血病細胞が見られなくなる寛解という状態まで抗がん剤治療を繰り返します。この寛解を目指して行う治療を寛解導入療法と言います。

寛解して見た目上は白血病細胞が無くなっても、体内にわずかに残っていて再発することがあります。なので白血病細胞を減らすために追加の抗がん剤治療を数か月行います。これを地固め療法と言います。

再発の可能性が非常に高い白血病の場合には、さらに踏み込んだ治療である骨髄移植を行うこともあります。

「骨髄バンク」という言葉をテレビなどで聞いたことがあるかもしれません。骨髄移植は究極の治療法で、強力な抗がん剤や放射線治療で白血病細胞だけでなく自身の骨髄細胞を全て死滅させ、白血球の型がマッチする提供者(ドナー)の骨髄細胞を移植するという方法です。

型が合う確率は一番確率が高い血を分けた兄弟でも1/4、親だと1/30で、親兄弟からの移植はなかなか難しいです。

そのため骨髄バンクにドナー登録している人の中から型が合う人を探すことがほとんどです。

骨髄移植が必要となる患者数が約2000人でドナー登録者数は54万人います。適合者が見つかる確率は95%ですが、ドナーが見つかっても連絡が付かなかったり仕事や家庭の都合で辞退する人が少なくないようです。

海外と比べて日本はドナー登録者数がまだまだ少ないという問題があり、CMなどでドナー登録を呼びかけていますが、大掛かりな手術になるのではないかとか、脊髄と勘違いしているなど、骨髄採取の誤ったイメージで敬遠されるケースが多いようです。

ちなみに、自身の骨髄細胞を用いる自家移植という方法もありますが、急性白血病ではほとんど行われません。

慢性白血病の治療について

慢性白血病では主に内服の抗がん剤での治療が行われます。内服治療は長期入院が必要なく、通院で行えるというメリットがあります。

慢性白血病に対しては急性白血病で用いられるような点滴の抗がん剤はあまり有用ではなく、内服薬か骨髄移植が行われます。慢性骨髄性白血病は5年生存率が9割と高いです。慢性リンパ性白血病にいたっては5年以上、時には20年近くも悪さをせずにゆっくり進行するため、診断が付いても無治療で様子を見ることもあります。

急性白血病は症状が出てきて初めて発見できます。急性白血病の症状は日常生活でもあり得るような症状ばかりですが、いつもより長く続いたり症状が強く出たりと、「いつもと違う感じ」の症状なので、気になるようであればすぐに病院を受診してください。

一方で、慢性白血病は経過が数年単位とゆっくりで、症状が出ない期間が長いため、健康診断などで定期的に調べましょう。

最後に、白血病は他のがんのように遺伝や生活習慣でなるものではありません。誰でもいつでもなり得る病気です。また、不治の病でもありません。

このテキストが白血病に対する正しいイメージを持つことに役立ってもらえれば幸いです。

白血病についてのよくある質問

白血病は遺伝するのでしょうか?

遺伝することはありません。

原発事故で白血病が増えたの?

約50年前から白血病患者数は少しずつ増え続けており、原発事故のあった2011年以降に急激に増えたということはありません。

電磁波を浴びると、子供が白血病になりやすいと聞いたけど、ホント?

電磁波を発する機器が年々増えているのにも関わらず、小児の白血病の発生率は横ばいなので、関係ないと考えられています。

骨髄バンクのドナー登録はどこでできますか?

献血ルームや一部の保健所で登録を行っています。

ドナー登録も骨髄を取るのでしょうか?

2ml採血するだけで済みます。

ドナー登録に条件はありますか?

20歳以上、55歳以下という年齢制限があります。高度肥満や低体重の方は断られることがあるようです。

骨髄採取後、すぐに復帰できますか?

採取後は数日安静入院が必要です。

大人の骨髄でも、小児の白血病に移植できるのでしょうか?

問題ありません。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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