子宮体がんは初期症状で早期発見が可能!原因や症状の見分け方

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濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

今回のテーマは「子宮体がんは初期症状で早期発見が可能!」です。

目次

子宮体がんの原因

子宮に起こるがんには子宮頸がん子宮体がんがあり、子宮体がんは子宮の奥、子宮体部にできるがんのことを言います。子宮体部の中の子宮内膜にできるので、子宮内膜がんとも言われます。

月経(生理)の関係で子宮内膜という言葉は聞いたことあるかもしれません。前の月経が終わった後、卵巣から分泌されるエストロゲンの量が増え始め、エストロゲンに反応して子宮内膜が増殖し始めます。

子宮内膜は受精した後の受精卵のベッドになるので、ベッドの準備をし始める期間と言えます。

その後に排卵が起こると今度はプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されるようになり、子宮内膜と言うベッドを着床できるように整えます。この時に基礎体温が上がります。

もし妊娠が成立しなかった場合にはプロゲステロンが急速に低下し、子宮内膜が剥がれ始めます。剥がれ落ちた子宮内膜は、月経血として排出されます。

この子宮内膜を厚くするエストロゲンの量が多すぎる人は子宮内膜が異常に厚くなる「子宮内膜増殖症」という状態になります。

子宮内膜増殖症を経由して子宮体がんになるので、前がん病変とも言われます。

閉経前の人は子宮内膜が毎月剥がれ落ちるので子宮内膜増殖症になることはほぼありません。

しかしストレスなどでホルモンバランスが乱れ、エストロゲンの分泌量が異常に多くなると、20代で子宮内膜増殖症になる人もいます。

閉経後、卵巣からのエストロゲンが減ったら子宮内膜増殖症になりにくいのでは?と思うかもしれません。閉経後は卵巣ではなく脂肪からエストロゲンが出るようになり、特に脂肪が多い人だとエストロゲンの量が多く、子宮内膜増殖症になりやすくなります。

以上のように、子宮体がんの発症には基本的にはエストロゲンが関係しています。ただ、エストロゲンが関係しない子宮体がんも20%ほどあり、こちらに関しては原因が分かっていません。

子宮体がんのリスク要因

子宮体がんは1年に1万3千人が診断され、1980年代に比べて患者数が9倍に増えるなど、ここ数十年で急速に増えています。

子宮体がんには様々なリスク要因があり、それらが複雑に絡み合って増加させていると考えられます。以下、子宮体がんのリスクが高い人について挙げます。

①閉経が遅い人

閉経が遅いということはエストロゲンにさらされている期間が長いということで、リスクが高まります。

②妊娠・出産経験がない、または少ない人

エストロゲンは妊娠・出産で一定期間低下します。

その期間が無い、つまり妊娠・出産経験が無い人は、エストロゲンが多い状態が長く続くことになり、子宮体がんのリスクが高くなります。

③子宮内膜増殖症のある人

エストロゲンの量の異常で子宮内膜が厚くなり過ぎている人はリスクが高くなります。

④太っている人

閉経以降は脂肪からエストロゲンが作られるようになるので、脂肪が多い、つまり肥満の人ほど子宮体がんのリスクが高まります。

世界の子宮体がんを調べたデータでは先進国、特に脂肪の摂取量が多く、肥満が多い国ほど子宮体がんの患者数が多く、途上国では少ないという傾向がありました。

日本人ではBMI(肥満指数)が27以上になるとリスクが高くなることが分かっています。BMIが27というのは、だいたい身長-体重が90くらいです。

具体的には身長150cmで体重が60kg以上、155cmで65kg以上、160cmで70kg以上だとリスクが高くなります。

このサイトでご自身のBMIを簡単に計算して調べることが可能です。
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228732

⑤家族にリンチ症候群がいる人

遺伝的に大腸がんや子宮体がんになりやすい病気があり、リンチ症候群と呼びます。

子宮体がんの数%はリンチ症候群による遺伝性のものだと考えられています。その場合は比較的若い年齢で子宮体がんになります。

リンチ症候群では他にも、卵巣がん、胃がん、小腸がん、胆道がん、尿管がんになりやすいとされています。

⑥乳がんのホルモン療法をしている人

タモキシフェンという乳がんのホルモン剤には、子宮内膜を増殖させる作用があり、不正出血や子宮内膜ポリープが起こりやすいと言われています。

タモキシフェンを内服する場合には、子宮体がんの検査を定期的に行うよう勧められています。

⑦無排卵性月経

ストレスや過度なダイエットが原因で、排卵が無いのに月経が起こることがあります。これを無排卵性月経といいます。

排卵が無いと子宮内膜のベッドを整えるプロゲステロンが分泌されず、エストロゲンが分泌され続けることで子宮内膜が厚くなり続けます。

厚くなり過ぎた子宮内膜を子宮が支えきれず剥がれ落ちてしまい、それが月経のように見えます。

無排卵性月経かどうかを見分ける方法は基礎体温を計ることです。無排卵性月経は排卵後の体温上昇が見られないので、体温が二相性にならずにずっと低体温相になります。

⑧糖尿病の人

糖尿病の人とそうでない人を比べると、糖尿病の人の方が子宮体がんのリスクが高いと言われています。

肥満になるような食生活をしているからなのか、糖尿病自体が悪さをしているのかは不明です。

子宮体がんのリスク要因をまとめると以下の通りです。

★閉経が遅い人

★妊娠・出産経験がない、もしくは少ない人

★子宮内膜増殖症がある人

★太っている人

★家族にリンチ症候群がいる人

★乳がんのホルモン療法をしている人

★無排卵性月経の人

★糖尿病の人

エストロゲンが関係しない子宮体がんも20%ほどあり、その場合はこれらのリスクは当てはまりません。

子宮体がんの症状

一番多く見られるのが不正出血、生理と関係ない出血です。かなり早期から9割以上の人で見られます。

20代までは女性ホルモンが安定せず不正出血が見られることがありますが、30歳を過ぎた後の不正出血は要注意です。

子宮体がんによる不正出血は子宮内膜の一部が剥がれ落ちた出血なので、必ずしも量が多いという訳ではなく、わずかな出血の場合もあります。閉経前後の生理が不安定になる時期は見分けがつきにくくなります。

次におりものの異常が見られます。おりものの量が増える、においがある、茶褐色の色が付くなどが見られたら子宮体がんによる症状の可能性があります。

進行してくると骨盤あたりの痛み性交時痛が見られるようになります。

骨盤あたりの痛みは初めは「重苦しい」「張っている」「違和感がある」という感じですが、徐々に強くなっていき、かなり進行すると腰痛も見られるようになります。

子宮のすぐ隣は膀胱なので、子宮体がんが膀胱まで食い込むと排尿時痛が見られます。鼠径部のリンパ節に転移があると、リンパの流れが悪くなり足のむくみなどが見られることもあります。

子宮体がんの症状まとめ

★不正出血(ごく少量の場合もあります)

★おりものの異常(量が多い、においがある、茶褐色の色が付くなどです)

さらに、進行してくると骨盤あたりの痛み、性交時痛、排尿時痛、足のむくみなどが見られることがあります。

子宮体がんの検査方法と予後

まずは腹部や膣からのエコー検査で子宮内膜の厚さを見ます。異常な厚さが見られれば、確定診断のために子宮内部に細長い器具を入れて子宮内膜の細胞を採取します。

子宮体がんは早い段階から不正出血がみられるため、早期発見されることが多いです。

子宮体がんの4分の3はステージ1で見つかり、ステージ1で見つかった場合には5年生存率95%とかなり予後が良いがんと言えます。

好発年齢である40代後半以降はちょうど閉経前で生理不順となり、不正出血があっても子宮体がんによるものかどうか見分けが付きにくい場合があります。

「更年期にはよくあること」と自己判断せずに、一度は婦人科で診てもらいましょう。

不正出血に、おりものの異常や骨盤あたりの重たい感じも見られるようであれば、子宮体がんによる可能性が高いので、すぐに婦人科を受診してください。

子宮体がんは、早期発見・早期治療で治る病気です。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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