
【医師が解説】乳がん再発の症状とは?見逃したくないサインと受診の目安

濱元誠栄院長こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
先日、YouTube少しバズった記事

再発の時期は分かったけど、では
再発するとしたら、最初はどんな症状が出るのでしょうか?
これに関しての知識は、ほとんどの患者さんが持ち合わせていません。
結論から言うと、
乳がんの再発症状は、再発する場所によってかなり違います。
「この症状が出たら再発」と言えるような、ひとつの決まった症状があるわけではありません。
一方で、再発のときに比較的出やすい症状や、「これは一度調べた方がいい」というサインはあります。
今回はそのあたりを整理してみます。
YouTube動画もあわせてご覧ください。
乳がんの再発は大きく2つに分かれる
乳がんの再発には、もともとの乳がんに近い場所に出てくるものと、離れた臓器に出てくるものがあります。
手術した乳房や胸壁、わきのリンパ節、鎖骨周囲のリンパ節などに出てくるものを、局所・領域再発と呼びます。
一方、骨、肺、肝臓、脳などに出てくるのが遠隔再発、いわゆる転移です。
当然ですが、乳房に再発した場合と骨に転移した場合では、出てくる症状はまったく違います。
乳房や胸壁、リンパ節の再発
自分で気づきやすいのは、このタイプです。
たとえば、摘出した後の胸や周囲に新しくしこりができた、赤いブツブツができてきた、皮膚の色が返書してきた、皮膚が盛り上がってきた、といった変化が見られます。
またリンパ節再発では、わきや鎖骨のあたりに、今までなかったしこりを触れることもあります。
ただ注意しなければいけないのは、
手術後の傷はもともとしばらくは硬くなりますし、放射線治療を受けた場合も皮膚や皮下組織が硬くなることがあります。
ですから、術後、もしくは放射線治療後から続くものは気にしなくても大丈夫です。
むしろ気にしたいのは、
今までなかったものが新しく出てきた
あるいは、
以前からあったものが少しずつ大きくなっている
という変化です。
こういう場合は、一度診てもらった方がよいです。
骨転移では「続く痛み」に注意
乳がんは、よく骨に転移します。
骨転移はすごく痛そうというのが世間のイメージかもしれません。
確かに、転移した箇所、腰、背中、肋骨、股関節などに痛みが出ることがあります。
ただ、はじめのうちは激痛というほどではありません。
しかし骨転移が進んでいくと、痛みが何週間も続く、だんだん強くなる、安静にしていても痛いといった症状になっていきます。
腰痛や背中の痛みは日常的にもよくあります。
乳がんの手術後にどこか痛くなったら、すぐに「骨転移では」と考えがちですが、一時的なものや、だんたん軽快してくる場合はそこまで心配しなくてもよいです。
ただし、骨転移で超緊急で病院を受診しなければならない症状があります。
それが
突然の強い痛み
足のしびれや麻痺、歩行困難
排尿・排便障害
などです。
骨転移でもろくなった骨は、日常のちょっとした刺激で骨折してしまうことがあり、骨折した瞬間に激痛が走ります。
また、背骨への転移では、脊髄を圧迫して、下肢のしびれや麻痺が出ることがあります。
他にも、排尿障害(尿が出にくい、漏らしてしまう)や排便障害(便をがまんできない)といった症状が出ることもあります。
この場合は脊髄が圧迫されている可能性があるため、緊急の受診が必要です。
肺や胸膜への転移
肺や胸膜(肺の外側の膜)に転移した場合には、咳、息切れ、胸の痛み、息苦しさなどが出ることがあります。
ただ、咳は風邪でも出ますし、喘息や肺炎でも出ます。息切れも、がん以外の原因で起こることの方が多いです。
ですから、通常は少し咳が出たからといって乳がんの再発を心配する必要はありません。
再発を疑うポイントは、
なかなか治らない(2週間以上)
だんだん症状が強くなっている
です。
風邪だと思っていたのに咳だけがずっと残っている。以前より息切れしやすくなり、それが少しずつ強くなっている。
こういう場合には、一度胸の検査(まずはレントゲンから)を撮ってみます。
あと、「2週間以上続いたら」と言いいましたが、2週間という数字にこだわらず、「呼吸が何かおかしい」と思ったら胸の検査をしてもよいと思います。
肝臓への転移は、はじめは症状が出ない
肝臓に転移した場合には、小さいうちは基本的に無症状です。
肝臓は比較的大きな臓器なので、小さな病変が一つある程度では、何も感じないです。
進行して大きくなってはじめて、
食欲低下
だるさ
右上腹部の張りや痛み
黄疸お腹の張り
などが出ます。
そのため、
「症状がないから肝転移はない」
とも言い切れません。
逆に、食欲が落ちた、体がだるい、というだけで肝転移を疑う必要もありません。
肝転移に関しては、症状だけで判断するのは難しいと言えます。
脳転移では「いつもの頭痛と違うかどうか」
脳転移で知られている症状の一つが頭痛です。
ただし、頭痛そのものは片頭痛や低気圧、生理前症候群(PMS)などでも見られ、珍しい症状ではありません。
脳転移を疑う頭痛は、
今までなかった頭痛
日に日に強くなる
手足のしびれ・麻痺など神経症状を伴う
朝方に強い
吐き気や嘔吐を伴う
といった場合です。
さらに、片方の手や足が動かしにくい、しびれる、まっすぐ歩けない、言葉が出にくい、けいれんを起こす、といった神経症状が出ることもあります。
特に、麻痺、けいれん、意識の変化などが突然出た場合は、急いで受診してください。
腫瘍マーカーやCTを毎回やれば安心なのか
ここまで読むと、
「それなら、毎回CTやMRI、PETを撮っていればいいのでは?」
と思うかもしれません。
実際、この質問もよく受けます。
ただ、症状のない乳がん術後の患者さん全員に、毎回CTやPET、腫瘍マーカーを行えばよいというものではありません。
検査を増やせば、再発とは関係のない小さな影や数値の変化も見つかります。
「もしかしたら転移かもしれない」ということで追加のCTやMRI、PET、場合によっては生検まで必要になることもあります。
その結果は良性だった、ということも少なくありません。
また、腫瘍マーカーも万能ではありません。
再発していても正常のことがありますし、逆に再発していなくても上がることがあります。
ですから、乳がんの術後は、
症状、診察、そして必要な検査を組み合わせて見ていく
というのが基本になります。
また、乳がんの再発は早く発見しても遅く発見しても予後が変わらないというデータもあり、積極的な検査は勧められていません。
「続く」「悪化する」「説明しにくい」
乳がんが再発する場所によって、出てくる症状は違いますし、多くの症状が、がん以外の原因でも起こります。
腰が痛いから骨転移。
咳が出たから肺転移。
頭が痛いから脳転移。
そういう話ではありません。
私が患者さんに一番意識してほしいのは、
「続く」「悪化する」「ほかにうまく説明できない」
という変化です。
いつもと違う症状が続いている
風邪でもないのに咳が続く
少しずつ悪くなっている
治療してもなかなか改善しない
こういう場合には、一度確認した方がいいと思います。
一方で、麻痺、けいれん、排尿・排便障害、強い呼吸困難などは、経過を見る症状ではありません。急ぎの受診が必要です。
乳がんの治療後だからといって、毎日「再発の症状はないか」と体を探し続ける必要はありません。
それだと疲れてしまいます。
大事なポイントは、今までと違う状態が続いているときは放置しない。
このくらいの距離感でよいと思います。
症状だけで再発かどうかを確実に判断することはできません。
だからこそ、自分自身の症状をよく判断し、必要なときにきちんと調べる。
それが一番よい方法だと思います。













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