
肺に7mmの影!様子見で平気?医師が教える手術基準と注意点

濱元誠栄院長こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
こんな記事がありました。
「肺がんの疑い」と指摘、手術か経過観察かどちらを選ぶ? 左肺に7ミリの陰影見つかる
肺に7㎜の影(すりガラス様)が見つかって経過観察中の患者さんが、手術しないで大丈夫か?という相談をされたものです。
「10mmまで様子見」で本当に大丈夫?
この相談者の方は、
「肺がんの可能性もありますが、小さいので経過観察しましょう」
と言われています。
「がんなのに放っておいて大丈夫なの?」
と心配するのが普通です。
しかし、今回の医師は
「10mmを超えなければ経過観察」
という返事しています。
肺のすりガラス影については、10mmという数字だけで手術する・しないを決めるわけではありません。
「すりガラス影」とは?
CTを撮ったとき、正常な肺は黒く見えます。
その中に、うっすら白い「もや」のような部分が見えることがあります。
これを
すりガラス影(GGO:ground-glass opacity)
と呼びます。
すりガラス影=肺がんではありません。
肺炎などの炎症でも出ますし、炎症が治った跡として残ることもあります。
一方で、何カ月、何年たっても消えずに残っている場合には、
肺腺がんの非常に早い段階
が隠れていることがあります。
7mmかどうかより、「中身」が大事
すりガラス状の肺結節を見るとき、医師が見るのは大きさだけではありません。
大きく分けると、
① 全体が薄いすりガラスだけのもの
② すりガラスの中に濃い部分が混じっているもの
の2つがあります。
①をpure GGN(純粋すりガラス型結節)、
②をpart-solid nodule(部分充実型結節)
と呼びます。

たとえば7mmでも、全体が淡いすりガラスのままで、1年前と全く変化がなければ、かなりゆっくりした病変と考えられます。
逆に同じ7mmでも、
内部に濃い部分が出てきた
となると、話は少し変わります。
すりガラス部分よりも、この「濃い部分=充実成分」が大きくなってくることの方が診断として重要です。
肺腺がんが進行してくると、CT上でこの充実成分が目立つようになることがあるからです。
「10mm」は絶対的な手術ラインではない?
今回の医師は「10㎜」を基準にされていますが、
日本CT検診学会の2024年版の考え方では、純粋なすりガラス状の影については、原則として15mm未満ならCTで経過を見るという考え方になっています。
部分充実型結節についても、結節全体が15mm未満で、なおかつ充実成分が8mm未満であれば、まず経過観察が基本です。
日本肺癌学会の2025年版ガイドラインでも、同様に結節の大きさだけではなく、pure GGNなのかpart-solidなのか、充実成分がどれくらいあるか、経時的に増大しているかを見ながら判断する考え方が示されています。
つまり、
「9mmだから様子見、11mmだから手術」
と、単純に10㎜で区切るというものではないのです。
1年間大きさが変わっていないのは、かなり重要
今回のように、
昨年のCTにも写っていて、1年間ほぼ大きさが変わっていない
という情報は重要です。
少なくとも、
数か月でどんどん大きくなるタイプの肺がんとは考えにくくなります。
純粋なすりガラス型の肺腺がんの中には、非常にゆっくり大きくなるものがあります。
数年間ほとんど変わらず、その後少しずつ大きくなることもあります。
だからこそ、CTで時間を追って確認する意味があります。
海外の指針でも、6mm以上の純粋すりガラス結節は、一定期間CTでフォローしていくことが勧められています。
「経過観察」と言われると不安になります
患者さんからすると、
「肺がんかもしれないのに、何もしなくていいんですか?」
となります。
これは当然だと思います。
ただ、小さなすりガラス影の場合、
無理に今すぐ診断をつけることが、必ずしも患者さんのためになるとは限りません。
というのも、
7mm程度の淡い病変では、気管支鏡を使っても普通はがん細胞を正確に採取できません。
PET検査でも、小さすぎたり淡すぎたりすると、はっきりした結果が出ないことがあります。
結局、
「肺がんかどうか確実に知るためには切除するしかない」
という状況になります。
そこで、
今切るメリットと、もう少しCTで見るメリットを比べる
ことになります。
手術するなら「場所」もかなり重要
同じ7mmの結節でも、肺のどこにあるかによって手術の負担はかなり違います。
肺の表面近くにあれば、病変周囲だけを切除する
楔状切除
で済むことがあります。
一方、肺の深い場所にあると、7mmの病変を取るためだけに区域切除や肺葉切除が必要になることがあります。

*記事中の図を参照
手術の負担を考えると
「がんかもしれないから、とにかく小さいうちに取ればいい」
とは限らないのです。
非常にゆっくりした病変に対して、正常な肺まで大きく切除することが本当に得なのか。
ここは慎重に考える必要があります。
では、どんな変化があったら注意するのか?
すりガラス影をフォローするときは、
以前より明らかに大きくなった
内部に濃い部分が出てきた
その濃い部分が徐々に大きくなっている
といった変化に注目します。
日本CT検診学会では、2mm以上の増大も一つの判断材料としています。
もちろん、年齢、持病、肺機能、病変の位置なども一緒に考えます。
「転移しないから大丈夫」とまでは言い切らない方がいい
純粋なすりガラス型で、小さく、長期間ほとんど変化していない病変は、一般的に転移のリスクが非常に低いと考えられます。
ですから、7mm程度のpure GGNが1年間変化していないのであれば、過度に慌てる必要はないでしょう。
ただし、
「10mmを超えても絶対に転移しない」
とまでは言い切れないのが難しいところです。
すりガラスだった病変が徐々に変化し、内部に充実成分が出てくることもあります。
大切なのは、
警備でも変化を見逃さないことです
です。
今回のような相談を受けた場合、
まず確認したいのは、
・pure GGNなのか、part-solidなのか
・1年前と比べて本当に大きさが変わっていないか
・内部の濃さに変化がないか
・肺のどの位置にあるのか
・過去にさらに古いCTがないか
です。
2年前、3年前のCTが残っていれば、かなり参考になります。
「去年もありました」だけではなく、
数年前から全く変わっていない7mm
なのか、
数年前は3mmで、去年5mmになり、今年7mm
なのかでは、意味が違います。
まとめ
肺に7mmのすりガラス影が見つかった。
こう聞くと心配になりますが、
7mmだからすぐに手術が必要、というわけではありません。
逆に、
10mm未満だから絶対に大丈夫、というわけでもありません。
重要なのは、
大きさの変化と、内部に充実成分が出てきていないか。
そして、過去のCTと比較することです。
1年間全く変化のない小さなpure GGNであれば、定期的なCTで経過を見るという判断は十分に妥当です。
経過観察というのは、
「放っておく」ことではなく、「変化するタイミングを逃さないように見る」こと
だと思ってください。
すりガラス影を指摘されて不安な場合は、CTの画像データを持って呼吸器内科や呼吸器外科で画像を見てもらうとよいでしょう。
銀座みやこクリニックでも、肺がんを疑うCT画像について、今すぐ治療が必要なのか、経過観察でよいのかといったご相談をセカンドオピニオンでお受けしています。













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