大腸がんの再発期間と確率は?術後5年・10年のリスクを専門医が解説

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

*今回のブログの内容は、YouTube動画でも解説していますので、併せてご覧ください。

俳優の中村ゆりさんが、直腸がんのため44歳で亡くなったことが報じられました。

日本生命のCMで、「病と戦う母」の演技をされていましたが、まさか本当に病に侵されるとは、、、

素晴らしい女優さんの訃報に、心が痛みます。ご冥福をお祈り申し上げます。

さて、所属事務所の発表によると、中村さんは13年前にもがんを患い、その後はいったん寛解したそうで、2025年1月に再びがんが見つかり手術を受け、その後に転移が判明したとのことです。

事務所からの発表からは、13年前のがんが直腸がんだったかどうかは不明です。

ただ、直腸がんだったとして、13年経ってから再発することがあるのか??

今回は、その疑問に回答します。

目次

大腸がんの再発は、ほとんどが5年以内

大腸がんをはじめ、多くのがんで、「手術後5年間はしっかり経過をみましょう」と言われます。

なぜ5年なのか。

大腸癌研究会の全国登録データを見ると、その理由がよく分かります。

Stage I~IIIの大腸がん7215人を調べたところ、再発した人のうち、

術後3年以内 87.7%
術後4年以内 93.2%
術後5年以内 97.3%

でした。

つまり、大腸がんの再発は約9割が3年以内、97%以上が5年以内に見つかっています。

一方で、

5年以降の再発は0.43%

でした。

5年を過ぎると、再発する人はかなり少なくなる。

と言えます。

ステージが進むほど、再発率は高くなる

同じデータでは、手術後の再発率は、

Stage1 4.7%
Stage 2 14.2%
Stage 3 28.7%

でした。

ステージ2の一部と、ステージ3は、再発率が高いため、手術後に抗がん剤治療が行われます。

実際は、ステージだけでなく、リンパ節転移の数、深達度、病理所見、遺伝子異常、術後の再発治療などによっても再発リスクは変わります。

実際に「10年以上経ってからの再発」は報告されている

かなり珍しいものの、10年以上たってから再発した症例の報告もあります。

日本からは、Stage IIの結腸がんを手術し、5年間再発なく経過した患者さんに、手術から12年後に肺転移が見つかった症例が報告されています。病理検査などから、肺がんではなく以前の結腸がんの転移と診断されました。(PubMed Central (PMC))

直腸がんでも、手術から12年後に局所再発した症例報告があります。(PubMed)

10年を過ぎて再発するケースは、症例報告になるくらい珍しいということで、過剰な心配は不要です。

術後の検査は5年で一区切り?

日本の『大腸癌治療ガイドライン2024年版』でも、Stage 1-3の根治手術後のフォローは術後5年間を目安としています。

特に再発の多い最初の3年間は検査の間隔を短くしますが、3年目までに再発していなければ、3‐5年目は間隔を広げることがあります。

しかし、5年を過ぎた人の場合は「念のため毎年CTを撮り続けなければ」というのは推奨されませんせん。

大腸内視鏡第腸内試験検査(大腸カメラ)は続ける

一方で、続けて欲しい検査があります。

大腸がんを一度経験した人には、以前のがんの「再発」とは別に、新しい大腸がんができる可能性があります。

大腸がん治療後の異時性大腸がん、つまり後から新しく発生する別の大腸がんは、1.5~3%程度と報告されています。

したがって、

「5年経ったから、もう大腸内視鏡も一生いらない」

という意味ではありません。

再発を探すための検査と、新しい大腸がんやポリープを探すための内視鏡は、分けて考えた方がよいでしょう。

再発を減らすために、できること

必要な患者さんには、術後補助化学療法をきちんと行う。

そして最近、かなり大きく位置づけが変わってきたのが運動です。

2025年に発表されたCHALLENGE試験では、Stage 3または高リスクStage 2の結腸がん患者889人を対象に、手術・術後化学療法終了後から3年間、構造化された運動プログラムを行いました。

その結果、5年無病生存率は、

80.3% vs 73.9%

運動を行った群で良好でした。

再発・新しいがん・死亡を合わせたイベントのリスクは28%低下(HR 0.72)。さらに8年全生存率も、

90.3% vs 83.2%

でした。

ただし、「毎日散歩すれば大腸がんの再発が28%減る」という単純な話ではありません。

この研究は専門家の支援を受けながら3年間継続する運動プログラムで、対象も主にStage 3の結腸がんです。直腸がんを含むすべての大腸がんに、そのまま同じ数字を当てはめることはできません。運動による筋骨格系の有害事象も、対照群より多くみられています。

それでも、

「大腸がん治療が終わったら、あとは何もできない」

という時代ではなくなってきました。

治療後も体を動かし続けることには、かなりしっかりした根拠が出てきています。

5年経過は「再発ゼロ」ではなく、「かなり安心できる節目」

大腸がんの再発は、

約9割が3年以内。
97%以上が5年以内。

10年以上たってからの再発もありますが、かなりまれです。

ですから、5年を過ぎた方が「いつ再発するか分からない」と、ずっと怖がりながら生活する必要はないと思います。

一方で、

5年経過=再発ゼロ

でもありません。

そして再発とは別に、新しい大腸がんができる可能性もあります。

定期的な大腸内視鏡は必要に応じて続ける。何か新しい症状があれば、5年を過ぎていても受診する。そして治療が終わった後も、できる範囲で運動を続ける。

このくらいの距離感がちょうどよいと思います。

「5年で終わり」ではなく、「5年は大きな節目」。

大腸がんの術後については、そう考えておくのが一番実際に近いです。

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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