
膵臓がんで注目の臨床試験が始まった!!(新規PAI-1阻害薬TM5614)

濱元誠栄院長銀座みやこクリニック院長の濱元です
2026年5月より、膵臓がん治療を大きく変えるかもしれない臨床試験が始まりました!
切除不能膵がんの第II相医師主導治験の開始について-標準療法へのTM5614(治験薬)の上乗せ効果を明らかに-
膵臓がん患者と家族の集いでもアナウンスがありました
膵がん期待の新薬「RS5614」とは?
2026年5月、遠隔転移のある切除不能膵がん、または再発膵がんを対象とした「RS5614」の第2相医師主主導治験が開始されました。
この治験は、現在の標準治療である「GnP療法(ゲムシタビン+アブラキサン)」に、新薬であるRS5614(飲み薬)を上乗せするというものです。東北大学病院、国立がん研究センター中央病院、神奈川県立がんセンターの3か所の病院で進められています。
膵臓がんは、がん細胞の周りに「線維化」という非常に強固なバリア(微小環境)を作って、抗がん剤を届きにくくする厄介な性質を持っています。RS5614は、このバリアを解除することで、抗がん剤の効果を劇的に高めることが期待されている画期的な薬剤です。
「第1相試験(Phase 1)の論文が見当たらない」という疑問
このニュースを熱心に調べられた患者さんから、「RS5614の膵がんに対する第1相試験の論文やデータが見当たらないのですが、本当に安全なのですか?」というご質問をいただきました。
結論から言うと、膵臓がんにおける第1相試験は行われていません。 スキップして、いきなり今回の第2相試験から始まっています。
「えっ、いきなりで大丈夫なの?」と不安に思うかもしれませんが、これには医療上のきちんとした合理的理由があります。
1. 他のがんで「安全性」がすでに証明されている
通常、第1相試験は「初めて人間に投与して、安全に使える量や副作用を調べる」ステップです。 実はRS5614は、すでに悪性黒色腫(メラノーマ)や肺がん、慢性骨髄性白血病、血管肉腫といった他のがん種で、数多くの臨床試験(第1相・第2相)が行われてきました。
人間が口から飲んだときの安全性や、体にどれくらい残るか(薬物動態)のデータは、すでに蓄積されています。「膵がん患者さんに初めて使う未知の薬」ではないため、改めて第1相を行う必要がなかったのです。
2. マウス実験での確かな裏付け
「安全性」は他のがんで証明されている。では「膵がんに効くのか」という点ですが、こちらは事前にマウスなどの動物実験(非臨床試験)で、非常に強力なデータが出ています。 先ほどお話しした「膵がんの強固な線維化バリアをRS5614が解除し、GnP療法の効き目を劇的に引き上げる」というメカニズムがしっかり確認されたため、規制当局(PMDA)からも「これなら第1相を省いて、ダイレクトに有効性を確かめる第2相へ進んでよし」とゴーサインが出ました。
一刻も早く患者さんのもとへ届けるために
通常、新薬の開発には10年以上の長い歳月がかかります。しかし今回のように、他のがんで安全性が分かっている薬を応用(ドラッグ・リポジショニング)すれば、第1相試験にかかる時間やコストを大幅にショートカットできます。
今回の治験は2029年まで続く予定ですが、一刻も早く良好な結果が出て、膵がん治療の新たなブレイクスルーとなることを切に願っています。また新しい情報が入り次第、ブログやYouTube(ゼロがんch)でもお伝えしていきますね。













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