膵臓がんで生存期間が2倍に? 新薬ダラキソンラシブとは

濱元誠栄院長

こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。

ASCO(米国臨床腫瘍学会)2026でスタンディングオベーションが起こった、超画期的な新薬の発表がありました。

難治性と言われる膵臓がんの生存期間を、なんと2倍に延長したのです!

これまでの膵臓がん新薬で、こんなに生存期間を延ばす薬剤は初めてです!!

しかも1日1回の経口投与という、、、

このダラクソンラシブという薬剤はRAS(ラス)治療薬です。

膵臓がん患者の9割以上で見られるK-RAS(ケーラス)という遺伝子変異があります。

それに対応する治療薬ということで、膵臓がんのほとんどの患者に適応があります。

このダラクソンラシブがRAS変異に効くメカニズムを解説します。

1. がん細胞は「RASというアクセルが踏みっぱなしの状態」

細胞の中には「RAS(ラス)」という、細胞を増やすための「アクセル役」の部品があります。健康な状態では必要な時だけアクセルを踏んで調整できるのですが、RAS変異があるがん細胞ではこのアクセルが壊れて常にベタ踏み状態になっています。

ただでさえ、異常に増殖するがん細胞に、このアクセル役が加わると、増殖のスピードに加速がついてしまいます。

2. 今までのRAS変異治療薬の弱点

これまでの薬は、アクセルが押し戻そう(OFFにしよう)とするものが主流でした。しかし、アクセルベタ踏み状態では、なかなかOFFにできず、うまく効果を発揮できませんでした。

3. ダラクソンラシブの画期的な働き

新薬ダラクソンラシブは、新しい手法で暴走状態(ONのまま)のアクセルを止めにいきます。

ダラクソンラシブは、すごく簡単に言うと、直接アクセルを押し戻すのではなく、踏みっぱなしのアクセルの上に蓋をしてしまうのです。

物理的に大きなフタをされるため、がん細胞はそれ以上アクセルを踏み込むことができなくなり、暴走が止まります。

4. どんなタイプの故障(RAS変異)にも効きやすい

さらに優れているのが、色々な故障に対応できるという点です。

今までの薬は、「Aという壊れ方をしたアクセル専用」のように、特定のタイプ(一部の遺伝子変異)の人にしか使えませんでした。(K-RASだけでも、G12C、G12D、G12Vなど様々な種類があります)

しかしダラクソンラシブは、上から丸ごとフタをしてしまうため、Bの壊れ方でも、Cの壊れ方でも、幅広いタイプのアクセルの故障(様々なRAS変異)に対して効果を発揮できるように設計されています。

その結果として、今回の生存期間2倍に延長につながりました。

これは膵臓がんの二次治療での結果です。

通常、膵臓がんは一次治療でGnP(アブラキサン+ゲムシタビン:通称アブゲム)かFOLFIRINOX or NALIRIFOX(オニバイド+FOLFOX)が使われ、6か月ほど奏功します。

二次治療となると、かなり厳しくなり、抗がん剤が奏功(効いている)期間は3か月ほどに短縮します。

膵臓がんでは、「何もしないで3か月~半年、抗がん剤をして1年弱」と診断時に余命宣告されます。

「頑張ってもたった半年しか延命できないのか…」と嘆く声も聞かれますが、このダラクソンラシブを用いることで、平均して6か月半生存期間が延びます。

しかも、経口薬なので、通院治療ではなく自宅で内服するだけです。

これまで、どんな治療でも1年を超えられなかったステージ4膵臓がんの薬物治療で、はじめて1年を超えたというのが衝撃的です。

今回の治験は日本も参加しているため、日本での承認もそこまで遅くはないはずです。

まだ分かりませんが、早くて2026年中に申請、2027年中には承認されるものと思われます。

膵臓がんの治療を頑張っている患者さんたちに、1日でも早くこの新薬が届きますように!

とは言っても、K-RAS変異がないと使えないので、自身の膵臓がんはK-RAS変異があるのかを調べなければなりません。

日本の保険制度では、それを調べる遺伝子パネル検査が、標準治療終了後しかできません。それでは遅すぎます。

当院では、自費になりますが血液で調べられる遺伝子パネル検査を行っています。

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費用は38.5万円(税込)で、約10日で結果が出ます。

膵臓がんで自身がK-RAS変異かどうか知りたい方は、銀座みやこクリニック(https://gmcl.jp/)までお問い合わせください。

診断直後の遺伝子パネル検査が、今後の治療方針に役立った症例もあります。

詳しくは下記のブログより

膵臓がんを疑ったら、すぐに遺伝子パネル検査を!

濱元誠栄院長

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この記事を書いた人

1976年宮古島市生まれ。宮古島市立久松中学から鹿児島県のラ・サール高校に進学。鹿児島大学医学部を経て沖縄県立中部病院で研修医として勤務。杏林大学で外科の最先端医療を学んだのち再び沖縄県立中部病院、沖縄県立宮古病院、宮古徳洲会病院に外科医として勤務。2011年9月に上京しRDクリニックで再生医療に従事した後に、18年7月にがん遺伝子治療を専門とする銀座みやこクリニックを開院。

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