
乳がんの精密検査、どの病院を選ぶ?「要精密検査」と言われたときに知っておきたいこと

濱元誠栄院長こんにちは、銀座みやこクリニック院長の濱元です。
10月はピンクリボン月間です。
今月は特に、『乳がん検診を受けましょう』という呼びかけを目にすることも多いと思います。
では、実際に乳がん検診を受けて「要精密検査」という結果が届いたら、どうすればよいのでしょうか。
「乳がん専門の大きな病院に行くべき?」
「近所のクリニックでも大丈夫?」
「私はがんなんだ。。。」
「マンモグラフィとエコーをもう一度受ければいいの?」
こうした疑問を持つ方は少なくないと思います。
2026年10月2日、江戸川病院から、乳がんの精密検査に関するアンケート結果が発表されました。
乳がん精密検査、約8割が検査先選びで「何を確認すればよいか分からない」約半数が「近さ・早さ」等の利便性を重視、「診断経験の多い医師」は1割未満
今回はその結果を紹介しながら、乳がんの精密検査を受ける病院の選び方について解説します。
8割近くが「精密検査を受ける病院の選び方が分からない」
江戸川病院は、全国の30〜79歳の女性306人を対象に、乳がんの精密検査についてアンケート調査を行いました。
その結果、77.8%の人が、精密検査を受ける医療機関を選ぶときに、何を確認すればよいか「あまり分からない」「まったく分からない」と回答しました。

さらに、精密検査を受ける病院を選ぶ際に、最も重視することを尋ねたところ、
- 自宅や職場から近い:21.9%
- 早く予約が取れる:19.3%
- 平日夜間や土日に受診できる:8.5%
- 診断経験の多い医師がいる:8.2%
という結果でした。

約半数が通いやすさや予約の取りやすさを最も重視していたことになります。
もちろん、通いやすさは大切です。仕事や家庭の事情があって、遠くの病院には行けないという方もいるでしょう。
ただし、乳がんの精密検査では、どこで検査を受けても同じ結果になるとは限らないということも知っておいてほしいと思います。
「要精密検査」=「乳がん」ではない
精密検査が必要と言われると、多くの方が「乳がんが見つかったのでは」と心配されます。
しかし、要精密検査と判定された方の大部分は、最終的には乳がんではありません。
厚生労働省が公表している令和6年度の地域保健・健康増進事業報告によると、乳がん検診で要精密検査となった方のうち、実際に乳がんが見つかった割合は5.69%、つまり、約18人に1人という比較的低い割合です。
ただ、がんの可能性が低いからといって、精密検査を受けなくてよいわけではありません。
「要精密検査」は乳がんの診断ではなく、乳がんかどうかを詳しく調べる必要があるという意味です。
必要以上に怖がることはありませんが、そのまま放置しないようにしてください。
精密検査はマンモグラフィとエコーだけで十分?
実は、乳がんの精密検査には、いくつかの方法があります。
そして、それが病院選びで重要なポイントです。
① マンモグラフィ
乳房をX線で撮影する検査です。
しこりと石灰化を見つけることができます。
精密検査では、検診時とは異なる角度から追加撮影したり、疑わしい部分を拡大して撮影したりします。
② 乳房超音波検査(エコー)
超音波を使って、乳房の内部を詳しく調べます。
しこりの形や内部の状態を確認し、良性の可能性が高いものか、乳がんを疑うものかを評価します。
③ 細胞診(穿刺吸引細胞診)
エコーで乳がんが疑われる場合に、注射器に着けた細い針を刺し、注射器を休診して細胞を採取し、顕微鏡で調べます。
手技が比較的容易で、基本的に麻酔が要らないため、主にクリニックレベルで行われます。
Class 1~5という表現を使い、採取した細胞が悪性であるかを判断します。
*通常、確定診断としては使われません。
④組織診(針生検)
マンモグラフィやエコーで乳がんが疑われる場合には、太目の針を使って組織(腫瘍の一部)を採取し、顕微鏡で調べることがあります。
麻酔をしますし、何回か刺したり、『ガチャン』と音が鳴るのが特徴です。
細胞診と違って、乳がんの確定診断に重要な検査で、悪性と診断された場合には、ホルモン受容体やHER2など、治療に必要な情報も調べることができます。

ただし、すべての医療機関で針生検まで行えるわけではありません。
マンモグラフィとエコー、細胞診まではできても、組織診が必要になった段階で別の病院を紹介されることがあります。
病院選びで確認したい2つのポイント
『要精密検査』の案内が届いた場合、どのような医療機関を選べばよいのでしょうか。
記事にもありましたが、確認してほしいのは、次の2点です。
① 組織診(針生検)ができるか
医療機関のホームページなどで、マンモグラフィやエコーだけでなく、組織診まで行っているかどうかを確認しましょう。
わからない場合は、問い合わせてみてください。
②乳がん治療に対する実績が客観的に開示されているか?
精密検査をどれくらい行っているかを公表している医療機関はあまりないですが、手術の件数はホームページ等に掲載していることがあるため、公開されているかを確認しましょう。
新聞等でも、定期的に医療機関ごとの乳がん手術実績が掲載されています。乳がんの手術数がわかったら、その数を対象の乳腺専門科の在籍医師数で割り、医師1名あたりの手術件数を割り出してみることもおすすめします。
ちなみに、日本乳癌学会が乳腺専門医・指導医や認定施設を紹介していますので、こちらも参考にしてください。
https://www.jbcs.gr.jp/modules/elearning/index.php?content_id=6
大病院とクリニック、どちらを選べばよい?
今回の調査では、精密検査先として最初に検討する医療機関について、
- 乳腺専門医がいるクリニック:62.1%
- 乳腺専門医がいる総合病院・大学病院:37.9%
という結果でした。

では、どちらを選ぶべきなのでしょうか。
乳腺診療を専門とするクリニックでも、質の高い画像検査や組織診を行っている施設はあります。
また、大病院は必ずしも早く検査を受けられるわけではありません。
まず乳腺専門のクリニックで診察を受け、必要になれば専門病院に紹介してもらうという方法も合理的です。
反対に、画像で強く乳がんが疑われている場合や、特別な組織診が必要な場合などには、初めから専門性の高い施設を受診する方が効率的なこともあります。
病院の大きさではなく、必要な検査と診断につながるかどうかで選ぶことが大切です。
精密検査は、どのくらい急いで受けるべき?
「要精密検査」と言われると、明日にでも検査を受けなければと焦る方もいらっしゃいます。
しかし、多くの場合、数日以内に精密検査を受けなければ手遅れになるというものではありません。
だからといって、何か月も放置してよいわけでもありません。
検診結果を受け取ったら、早めに乳腺外科などに連絡して予約を取りましょう。
なお、実際にしこりが急に大きくなっている、乳房に明らかな変化がある、血液の混じった乳頭分泌が出ているなどの場合は、単なる検診後の精密検査とは事情が異なります。
こうした症状があれば、予約時に伝えて、早めに診察を受ける必要があります。
まとめ:乳がん検診は、精密検査まで受けて完了
今回のアンケートから分かったのは、乳がん検診の大切さは知られていても、精密検査をどこで受けるかについては、十分に知られていないということです。
乳がん検診で「要精密検査」と言われた場合、確認してほしいのは次の2つです。
① 組織診(針生検)ができるか
② 乳がん治療に対する実績が客観的に開示されているか?
最後に大切なことを一つだけ。
精密検査を受ける病院を慎重に選ぶことは大切ですが、病院選びに迷い続けて受診が遅れてしまっては意味がありません。
通いやすく、必要な検査につながる乳腺専門の医療機関を選び、早めに受診することをお勧めします。














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